世界大戦を止めるために英国民がトランプ大統領と連帯? 2018年の支持者の集会【ファクトチェック】

世界大戦の危機を止めるために、英国民がトランプ大統領と連帯を表明したという投稿が拡散しましたが、誤りです。添付動画は2018年に撮影されたトランプ支持集会で、現在のものでも世界情勢がらみでもありません。
検証対象
2025年3月5日、「イギリスがばかげた戦争に突っ込んで世界大戦を引き起こす危機を止めるために、英国民がトランプと連帯する。誰がこんな未来を想像しただろう?」という投稿がXで拡散した。
投稿は2025年3月10日現在、2000回以上リポストされ、表示回数は29.9万回を超える。投稿には「国境を越えて、思いがひとつに」「凄い」などのほか、全く別の映像では、という指摘もある。
検証過程
動画は2018年のトランプ支持集会
検証対象が引用リポストしているのは3月5日付けの英語の投稿だ。「私たちはあなたを愛しています、大統領!」「ウクライナ支持など放っておけ——イギリス国民は、ドナルド・トランプとアメリカを支持する!!」などと書かれている。
添付動画は32秒で、イギリスの国旗などが掲げられた集会で、ステージ上の男性がマイクで次のように訴えている。
「トランプ大統領、もしこれを見ているなら、知ってほしい。イギリスの人々はあなたを愛し、あなたと共にあり、あなたの成功を願っていることを。イギリスの本当の人々は、あなたを愛しています、大統領!」
YouTubeで「トランプ支持集会 ロンドン(Pro Trump Rally London)」と検索すると、複数の動画が表示される。8つ目の動画を確認すると、添付動画と同じものだ(ただし、冒頭と末尾の数秒がカットされ、YouTube動画より約12秒短くなっている)。
YouTube動画のタイトルは「7月14日、ロンドンで開催されたトランプ支持集会、大規模な英国の群衆(Pro Trump Rally London MASSIVE UK Crowd London 14th July)」だ。
キャプションには「「WE LOVE TRUMP」— 2018年7月14日、ロンドン・ホワイトホールでのトランプ支持集会および「トミー・ロビンソンを自由に」抗議デモには、大勢の人々が集まった。前日の反トランプデモが一日中報道されていたのに対し、主流メディアがほとんど取り上げなかったのも驚くことではない!」と書かれている。
ロイター通信「文脈が違う」
この動画は、2025年3月4日ごろから「イギリスはドナルド・トランプとアメリカと連帯する」「キア・スターマーと労働党は、まともなイギリス人の意見をまったく代表していない」などのメッセージ付きで拡散されている(例1)(例2)。
ロイター通信がこうした投稿を検証し、この集会は2018年7月14日に、前日に開かれたトランプ訪英への抗議デモに対抗する形で開かれた支持集会であることから、「文脈が違う(missing context)」と判定している。
判定
拡散した動画は2018年撮影のもので、反トランプ集会に対抗して開かれた支持集会であり、現在のものでも「世界大戦をとめるため」でもない。よって誤りと判定した。
検証:リサーチチーム
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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