日本は車の安全試験でボンネットにボウリング球を落とす? 過去に否定された誤情報【ファクトチェック】

アメリカのトランプ大統領が各国との関税交渉に関連して、非関税障壁の一例として日本ではボウリング球を車に落とす安全試験があると主張しましたが、誤りです。過去にも検証された誤情報です。
検証対象
4月20日、トランプ氏は自らが設立したソーシャルメディアTruth Socialで各国の非関税障壁の例を8つ記して投稿した。6番目に「Protective Technical Standards(保護技術基準)」として「Japan’s bowling ball test(日本のボウリング球テスト)」を挙げている。
検証過程
トランプ氏は、大統領1期目の2018年に同様の発言をしていた。ワシントンポストの当時の記事によると、日本では車体の耐久性を確認するために「ボーリング球テスト」があり、「車のボンネットに20フィート(約6メートル)の高さからボウリング球を落としてへこんだら不合格になる」と演説したという。
ボウリングボールを落とすテストはない
国土交通省によると、日本の自動車の製造・販売業者は、国が定める安全や環境の基準について、43項目の審査に合格したうえで同じモデルの大量生産と販売が可能になる(国交省「自動車の型式認証制度について」)。
輸入車も、販売台数が多い場合はこの認証を受ける必要がある。輸入台数が5000台以下の場合には、日本の安全・環境基準を満たしていることを証明する書類で審査される(国交省「輸入自動車特別取扱制度」)。
日本ファクトチェックセンター(JFC)が国交省車両基準・国際課に取材したところ、自動車の安全基準の審査に、自動車のボンネットに6mの高さからボウリング球を落とすテストはないと回答した。
トランプ氏の発言、POLITIFACTが2018年にファクトチェック
2018年のトランプ氏のボウリング球テストの発言について、アメリカのファクトチェック団体POLITIFACTがファクトチェックをしている。
当時のホワイトハウスの広報担当が記者会見で「彼(トランプ大統領)は冗談を言っただけだ」という言葉を引用し、日本にそのような検査はないことから「誤り」と判定している。
判定
トランプ大統領が、日本の非関税障壁として、ボウリング球を車のボンネットに落としてへこまないか確認する安全テストがあるとSNSに投稿したが、誤り。日本の自動車の安全基準テストにそのような項目はなく、過去にも検証されている。
検証:宮本聖二
編集:古田大輔、藤森かもめ
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンから。また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報を質問すると、AIが関連性の高いJFC記事をお届けします。詳しくはこちら。