新型コロナのパンデミックはなかったとドイツ政府が認めた?【ファクトチェック】

新型コロナのパンデミックはなかったとドイツ政府が認めた?【ファクトチェック】

「ドイツ政府が新型コロナ・パンデミックはなかったと認めた」とする言説が拡散しましたが、誤りです。ドイツ大使館が否定しました。また、情報の発信者は誤情報の発信を繰り返すサイトです。

検証対象

2024年4月4日、「ドイツ政府、パンデミックは存在しなかったと認める」とする投稿が拡散した。この投稿は2024年4月30日現在、146万回以上の表示回数と3600件以上のリポストを獲得している。

検証過程

拡散した投稿はThe People’s Voice(TPV)というサイトの記事「German Gov’t Admits There Was No Pandemic(ドイツ政府がパンデミックはなかったと認める)」を引用している。

記事は「ドイツ政府のデータによると、パンデミックはまったくなく、悲惨な結果をもたらす実験用ワクチンを大衆に受け入れさせるために綿密に仕組まれた軍事級の心理作戦が行われただけだった」と伝えている。

TPVは「大手メディアの扱わないニュースを扱うことで読者に真実を伝える」と自称するサイトで、米国に拠点を置く。日本ファクトチェックセンター(JFC)は2023年5月にも、TPVが発信した新型コロナ関連の偽情報をファクトチェックして「誤り」と判定している。サイトの信頼性を評価するサービスNewsGuardは「間違った発信を繰り返すサイト」として最低の0点をつけている。

JFCがドイツ大使館に、「ドイツ政府は過去に、パンデミックを否定する発表をしたことはあるか」と取材したところ、ドイツ大使館広報課は「ご指摘のような内容の政府発表はなく、当該投稿は偽情報です」と回答した。

判定

「ドイツ政府、パンデミックは存在しなかったと認める」という投稿に対して、ドイツ大使館は「偽情報です」と回答。発信元サイトの信頼性も著しく低いため、誤り。

検証:リサーチチーム
編集:宮本聖二、古田大輔、藤森かもめ、野上英文

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兵庫・迎山県議 「私を批判すれば国民にツケが回る」と発言? コメントを歪曲【ファクトチェック】

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兵庫県の迎山志保県議が「私を批判すれば国民にツケが回る」などと発言したという情報が拡散しましたが、不正確です。公人に向けた批判に対する迎山県議のコメントを歪曲したものです。 検証対象 迎山県議が「私を批判すれば、やがては国民にツケがまわる」などと言ったかのような情報が繰り返し拡散している(例1、例2)。 2024年11月の投稿は「迎山しほ議員、斎藤知事を辞任させておいて 私を批判するな!批判を続ければ政治は劣化する!国民にツケが回るからな!この態度は流石にヤバくないか?」という内容で、斎藤知事を擁護し、迎山議員を批判する内容だ。 この投稿は2025年2月18日にも「迎山しほ議員『私を批判すれば、やがては国民にツケがまわる』国民にこんな事言う県議初めて見ました」という文言と共に再び拡散している。 これらの投稿には迎山県議の「全てが公人ということでさらされるのが当たり前 批判されるのが当たり前」「政治の世界もどんどんと結果的には劣化をしていく」「国民にツケが回っていく」などのコメントが抜き出された画像が添付されている。 検証過程 画像にある「報道特集」

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「USAIDが日本メディアを操作」 デマ拡散の背景にある報道不信

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By 古田大輔(Daisuke Furuta)
兵庫・百条委員会が議事録をすべて破棄? 県議会サイトで公開【ファクトチェック】(追記あり)

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