(画像)中国の水道水は茶色?【ファクトチェック】

(画像)中国の水道水は茶色?【ファクトチェック】

「中国の水道水は茶色」であるかのように示す画像が拡散しましたが、誤りです。添付された画像は断水後に水を流すときに水道管の汚れが混ざった茶色の水が一時的に流れたものです。日本でも見られる現象で、中国の水道水が日常的に茶色なわけではありません。

検証対象

2023年9月2日、「中国では、これを『汚染水』ではなく『水道水』といいます。」という投稿がX(Twitter) で拡散した。水道の蛇口から茶色の水のようなものが流れ出る画像に「中国の水道」というキャプションがついている。9月12日時点で94万件超の表示と2700件超のリポストがある。

画像

返信欄では「まじかよ」などと驚きの声がある。一方で、「さすがにへんだなと思って調べたら断水直後の写真ですね」と指摘する声もある。

検証過程

この画像をGoogle画像検索すると「中国で水道水は飲めますか?」というブログ記事が見つかる。

画像

同サイトでは、検証対象の画像を左右反転させた画像が見つかる。ただし、検証対象画像の右上にある「中国の水道」というキャプションはない。

画像

ブログ記事によると、この写真は、断水の解除直後に水を流した時に撮影されたものだ。約1時間程度で透明な水に戻ったとの記述もある。

また同サイトでは、同じく断水していたという台所の水道で流した他の写真もある。こちらでは透明な水が出ており、茶色い水ではない。

画像

断水直後に茶色い水が出るのは日本でも見られる。濁り水と呼ばれ、地方自治体などが原因と解消法をホームページに掲載している。(例1、例2)。例えば、茨城県結城市では「水道管(配水管や給水管)に、長い年月の経過によって地下水由来の鉄分やマンガンが付着し、地震や火災など水の流れの変化によって剥がれ落ちることで発生する、茶色の水のことです」と説明している。これら「赤サビ」を原因と解説するケースも多い。

判定

対象の画像は断水直後に水を流すときに、水道管に付着していた鉄分やマンガンが流れ、一時的に茶色くなったものであり、日常的に水道水が茶色なわけではない。日本でも濁り水として見られる現象である。したがって、「中国の水道水は茶色」なわけではなく、言説は誤りと判定した。

検証:鈴木刀磨
編集:古田大輔、野上英文、藤森かもめ、宮本聖二

検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

「ファクトチェックが役に立った」という方は、シェアやいいねなどで拡散にご協力ください。誤った情報よりも、検証した情報が広がるには、みなさんの力が必要です。

X(Twitter)FacebookYouTubeInstagramなどのフォローもよろしくお願いします。またこちらのQRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、真偽が気になる情報について質問すると、AIが関連性の高い過去のJFC記事をお届けします。詳しくはこちらの記事を

もっと見る

自民総裁選/種苗法改正/人種めぐるヘイト混じりの偽情報/ブラジル最高裁がXにサービス停止命令など【今週のファクトチェック】

自民総裁選/種苗法改正/人種めぐるヘイト混じりの偽情報/ブラジル最高裁がXにサービス停止命令など【今週のファクトチェック】

自民総裁選で候補者に関する誤った情報が広がっています。自分の畑で採れた種を無断でまくと懲役10年という不正確な情報も繰り返し拡散。ブラジルでは偽情報の拡散を放置しているとしてX(旧Twitter)に対してサービス停止命令がじました。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 今週のファクトチェック 小泉進次郎氏が「これにお金を払ったらただで貰えました」などと発言? 大喜利サイトの書き込みが拡散 自民党総裁選への立候補を予定している小泉進次郎氏が「これにお金を払ったらただで貰えました」「朝食は朝食べるに限ります。昼食は絶対にランチがいいですね」などと発言したとする言説が拡散しましたが、根拠不明です。これらの言説は大喜利サイトで匿名ユーザーが投稿したジョークが元になっていて、小泉氏本人が発言した事実は確認できません。 小泉進次郎氏が「これにお金を払ったらただで貰えました」などと発言? 大喜

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
カーニバルで原爆投下を揶揄して喜ぶブラジルの朝鮮人? 原爆の被害を表現し日系人も協力【ファクトチェック】

カーニバルで原爆投下を揶揄して喜ぶブラジルの朝鮮人? 原爆の被害を表現し日系人も協力【ファクトチェック】

「ブラジルのカーニバルで原爆投下を揶揄して喜ぶブラジルの朝鮮人」という言説が拡散しましたが、誤りです。拡散した動画の山車はブラジルのサンバチームが原爆の被害を伝えようと作成し、日系人が協力したものです。 検証対象 2024年9月5日、「ブラジルのカーニバルで原爆投下を揶揄して喜ぶブラジルの朝鮮人」という言説が拡散した。添付された動画には広島の原爆ドームやきのこ雲をモチーフにした山車が映っている。 2024年9月6日現在、この投稿は5200件以上リポストされ、表示回数は770万件を超える。投稿について「これは酷い」「日本でニュースにしないといけない内容」などのコメントがある。 検証過程 動画は2020年のカーニバル 動画をGoogleレンズで検索すると、ブラジル・サンパウロで開催されたカーニバルについての記事(南米のカーニバルに原爆山車 日本人に誤解された意図 朝日新聞)がヒットする。記事によると、出場したサンバチーム「アギア・ジ・オウロ」が、B29やキノコ雲、炎に燃える原爆ドームを山車で再現し、広島や長崎にルーツを持つ日系人も参加したという。 こ

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
自分の土地で採れた種をまいたら懲役10年? 許諾が必要なのは登録品種の一部【ファクトチェック】

自分の土地で採れた種をまいたら懲役10年? 許諾が必要なのは登録品種の一部【ファクトチェック】

「自分の土地で採れた種をまくと懲役10年」という言説が繰り返し拡散していますが、不正確です。2020年に農産物や園芸植物の新品種開発者を保護する種苗法が改正され、農家が登録品種について、収穫物の一部を次の作付けに使う「自家増殖」には許諾が条件となりましたが、全ての品種が対象ではありません。 検証対象 「自分の土地で採れた種を来年まいたら懲役10年」と主張する動画の投稿がTikTokやX(旧Twitter)で拡散した(例1、例2)。9月6日現在、Xの投稿の一つだけでも340万の閲覧がある。 このXの投稿には2900件のリポストがあり、「マジで種子法異常!」と言ったコメントのほか「種苗法が権利を保護しているし、今のところ問題はないと言われている」と言った書き込みもある。 検証過程 自家増殖とは収穫物の一部を次の作付けのための種苗として使うことで、農業者にのみ認められている(農林水産省)。 改正種苗法による罰則 動画で「自分の土地で採れた種を来年まいたら懲役10年」と話しているのは、2022年4月に完全施行された改正種苗法のことだ。 農水省によると、

By 宮本聖二
小泉進次郎氏が台風10号の注意喚起をする動画はAI加工? 公式が投稿【ファクトチェック】

小泉進次郎氏が台風10号の注意喚起をする動画はAI加工? 公式が投稿【ファクトチェック】

自民党の小泉進次郎氏が台風10号の注意喚起を呼びかける動画に「偽物ではないか」という指摘が広がりました。しかし、動画は公式アカウントで配信し、小泉氏自身が発言したものです。AIで加工された偽動画の蔓延が増えて、実際の動画でも「AIで生成された、加工された映像ではないか」と疑問視される事例が増えています。 検証対象 小泉氏が台風10号への注意喚起を呼びかける動画に「進次郎⁈顎  エラ が違う」「顔が違うような」などと疑問視する声が広がった(例1、例2)。 動画はXやInstagramなどに広がり、「AI??」「不自然な歯」などAI生成を疑うコメントも多数付いている。 検証過程 「小泉進次郎 台風10号」でGoogle検索すると、小泉陣営が2024年8月27日に登録したYouTubeの公式アカウント「小泉進次郎【公式】」に投稿されたショート動画が見つかる。 「顔が違うような」などの指摘がついていた投稿に添付された動画と同様のもので、こちらがオリジナルだ。ショート動画ではない、一般のYouTube動画のバージョンも「台風10号 注意喚起」というタイトルで投

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)