深圳の日本人学校前に手向けられた献花が撤去された? 学校は屋内で保管、総領事館も発表【ファクトチェック】
中国・深圳で日本人学校の男子児童が刺殺された事件で、「日本人学校に手向けられた献花が撤去された」との言説が拡散しましたが、誤りです。日本人学校は屋内で献花を保管しています。広州の日本総領事館も学校が気候を考慮して献花室に移動させたと発表しています。
検証対象
2024年9月20日、「中国で日本人学校に通う10歳男児が殺害されたのを受け、深圳日本人学校前に1000束以上の花が献花されたがメディアが撮影した後に直ぐに撤去された」などと主張する投稿がX(旧Twitter)上で拡散した。
投稿には中国のショート動画投稿サービス「微博视频号」の透かしが入った動画が添付されている。動画には門前に手向けられた花束を警備員風の男性が持ち上げようとするのに対し、動画撮影者とみられる人物が中国語で詰め寄る様子が映っている。
投稿は9月25日時点で6000件以上のリポストと1000万回以上のインプレッションを獲得している。
「ただのパフォーマンスでしょ。メディアに放映させるためです」「これが普段の姿、マスコミ用と使い分けてる腐った民族だよ」といったコメントが付く一方で「間違った情報でヘイトが広がりませんように」「冷房の効いた講堂にあつめていると共同通信で報道がありましたよ」などの指摘の声もある。
検証過程
2024年9月18日の事件発生後、地元の中国人が献花する様子が報じられている。共同通信は9月20日配信の記事で、現地の中国人らから1000以上の花束が日本人学校に贈られたと報じ、「花束は冷房が効いた講堂で保管している。その様子を撮影した写真が遺族に送られた」と伝えている。
広東省を管轄する広州の日本総領事館は9月20日、「皆様のお気持ちはご遺族にお届けします」というタイトルの声明を公式サイトで発表した。
この中で在広州日本総領事館は、「深圳日本人学校には、既に1,000を超える花束が届いております。学校は、現地の気候を考慮して、冷房の効いた献花室にお花を移しました。ご遺族にも刻々お届けしております。当館にも3,000件を超えるお見舞いの書き込みを頂いております。こうした哀悼とお見舞いのお気持ちもご遺族に必ずお届けします」と述べている。
インターネットメディア「まいどなニュース」も、実際に日本人学校に訪れて献花が保管されていることを確認したとXで発信する現地邦人に取材した記事を配信している。
判定
深圳で日本人男子児童が殺害された事件について「日本人学校の校門に手向けられた献花が撤去された」との言説は誤り。学校は屋内で花束を保管している。
あとがき
日本人児童の襲撃事件をめぐっては、中国国内で日本を敵視したり、事件をでっち上げだと主張したりするような偽・誤情報が多数拡散しています。
日本に対する敵対心を煽るような偽・誤情報自体が今回の事件の引き金になったのではないかという指摘もあります。中国国内において中国語で拡散する言説をJFCは原則的に検証対象としていませんが、日本に関連し、日本語でも拡散する内容は、より積極的に検証していきます。
検証:リサーチチーム
編集:古田大輔、野上英文
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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