WHOが未接種の反ワクを「殺人者」と公式に位置付けた?【ファクトチェック】
Twitter上で「世界保健機関(WHO)が未接種の反ワクを『殺人者』と公式に位置付け」という情報が拡散されていますが、これは不正確(ミスリード)です。WHOが公式に位置付けたものではなく、Twitterアカウントで紹介した医師のコメントを意訳したものです。
検証対象
12月18日にTwitter上で以下のようなツイートがあり、3000件以上のいいねと1100件以上のリツイート・引用リツイートを獲得した。
“世界保健機関(WHO)は、ワクチン未接種の反ワクを「殺人者」と公式に位置づけ、ワクチン未接種は殺人犯と変わらないと警告。さらに反ワクチン活動は反科学的攻撃であると宣言”
このツイートには「ひでぇ話だな」「こういうのを自己紹介というのでは?」などの反応があった。
検証過程
この言説が引用しているニュースはアメリカのサイト「News Punch」。繰り返し誤った情報を流しており、信頼性の格付けツール「NewsGuard」は最低レベルの「最大限の注意が必要なサイト」に位置づける。
引用された記事の見出しは「World Health Organization Declares That Unvaccinated Citizens Are ‘Murderers’(WHOがワクチン未接種の市民は「殺人者」と宣言)」。検証対象のツイートは、このニュースサイトの内容を直訳的に紹介したものだ。
このニュースサイトが記事の根拠にしているのは、WHOが2022年12月14日に投稿したツイート。このツイートでは医師のPeter Hotez氏が、世界に広がる反ワクチン運動の影響についてコメントしている。
Hotez氏は動画の中で、アメリカではワクチンが広く利用可能になってからも、200,000人がワクチン接種を拒絶したことで、本来、失う必要のない命を落としたと指摘。反ワクチン運動は世界に広がって中・低所得国にも浸透し、多くの命が失われていると批判している。
ツイートはテキストでも発言を紹介しており、英語でこう書いてある。「反ワクチン運動、私はそれを反科学的侵略と呼んでいますが、それは今や世界的に大きな殺傷力のある運動となっています」
判定
「ワクチン未接種の反ワクを『殺人者』と公式に位置づけ」という言説は、WHOのTwitterアカウントで紹介された医師の発言を元にした信頼性の低い海外サイトの記事を直訳的に紹介したもので不正確(ミスリード)。
あとがき
海外には、一般的なニュースサイトと区別がつきにくいけれど、記事の信頼性が非常に低い、いわゆる「フェイクニュースサイト」が大量に存在します。それらの記事を引用し、簡単な日本語訳をつけて、間違えたり、不正確な情報を投稿する事例は、数多く存在します。
NewsGuard(有料)のようなサービスや、そのサイトの評判を調べてみるなどの対策が必要です。
検証:本橋瑞紀
編集:古田大輔
検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。
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