コロナワクチン接種者の献血を日本政府が禁止?【ファクトチェック】
日本政府がコロナワクチンを接種した人の献血を禁止するという言説が拡散しましたが、誤りです。日本赤十字社では接種から一定期間が経過すれば献血を受け入れています。「ワクチン接種者の献血禁止」は繰り返し拡散しています。
検証対象
2024年5月1日、X(旧Twitter)で、「日本政府はワクチンを接種した人の献血を禁止。"汚染された血液"」というコメントと、岸田文雄首相の写真を付けたポストが拡散した。ポストは、科学者を名乗る人物の英文の投稿「Japan to ban vaccinated people from donating ‘tainted blood’」を引用している。
5月7日から8日にかけてこの投稿はXによって削除されたが、120万を超える閲覧数があり、「80%の日本人のは、もう献血できない」「日本赤十字社どうするんだろうね?」 と言ったコメントがついたほか、「こないだ献血しましたよワクチン2回と問診にこたえてますが」という投稿に疑問を投げかけるコメントもあった。
検証過程
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、厚生労働省医薬局血液対策課に取材した。新型コロナワクチン接種者による献血はこれまでも禁止していないし、現時点で禁止する予定はないと回答した。
新型コロナのワクチンを接種した人の献血については、厚労省で設置した審議会で検討が行われて、ワクチンの種類によって接種後1日から6週間の経過時間をあけて献血ができるとしている(「厚労省令和4年度薬事・食品衛生審議会血液事業部会安全技術調査会 資料2」)。
ワクチンなど予防接種をした人の献血を一定期間受け入れていないのは、「献血する人の保護の観点から」と「血液製剤の安全性の向上の観点から」だとしている(「厚労省・新型コロナワクチン接種に伴う献血の影響について」)
また、献血事業を行う日本赤十字社のウェブサイトには「献血について」というページがあり、そこでも「一定期間に予防接種を受けた方」に向けてコロナも含む様々なワクチン接種後はどの程度の期間をおけば献血できるのか公開している。
インフルエンザや日本脳炎、おたふくかぜ、風疹などでもワクチン接種後は一定期間、「献血をご遠慮いただいています」とあり、新型コロナに限った呼びかけではない。
これまでも、「コロナワクチンを接種した人が献血した血液が回収されている」という誤った言説が拡散しており、JFCでは検証記事を出している。
判定
「コロナワクチン接種者の献血を日本が禁止した」は誤り。禁止されておらず、接種から一定期間経過すれば献血できる。
あとがき
ワクチン接種が始まった当初、接種した人の献血を受け入れない時期がありましたが、それは安全性などの確認のためで禁止ではありませんでした。
こうした情報に接したときは関連機関のウェブサイトなどで確認するようにしましょう。情報の探し方、検索の手法についてJFCの講座で解説しています。参考にしてください。
検証:宮本聖二
編集:藤森かもめ、野上英文
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。検証記事を広げるため、X、Facebook、YouTube、Instagramでのフォロー・拡散をよろしくお願いします。毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンからどうぞ。
また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報について質問すると、AIが関連性の高い過去のJFC記事をお届けします。詳しくはこちらの記事を。