WHOや日本医師会のロゴは「悪魔の手先として人間を支配する」という意味?【ファクトチェック】
WHO=世界保健機関や日本医師会のヘビを使ったロゴマークについて、「悪魔の手先として人間を支配する意味だ」という言説が拡散しましたが、誤りです。杖に蛇が巻き付いた紋様は、ギリシャ神話に登場する治療の神様「アスクレピオス」に由来しており、医術や医療の象徴です。
検証対象
2024年5月7日、「『WHO』のロゴも「日本医師会」のロゴも同じで『ヘビ』が広く使われている。旧約聖書で『ヘビ』とは、サタン = 悪魔の象徴であり、ヘビをロゴにするということは『悪魔の手先として人間を支配します』ということを意味する」と主張する言説が拡散した。WHOと日本医師会のロゴの画像も添付されている。
5月31日現在、150万以上の閲覧と1800以上のリポストがあるが、「デマはいけない」「ギリシャ神話の医術の神だ」という内容を否定するコメントが数多くついている。
また、海外のアカウントでも、このロゴを使って、「なぜ地球をターゲットにしているのか、なぜピンで刺しているのか、なぜ舌をだす蛇なのか、WHOの意図は一目瞭然だ」という英文の投稿がある。
検証過程
WHOや日本医師会をはじめ医療機関は、蛇が巻き付いた杖の紋様をロゴに使うところが少なくない。
この蛇が巻き付いた杖は、ギリシャ神話に登場する「アスクレピオス」が常に手にしていたとされている。
アスクレピオスは、医術の神様で、この杖は医療や医術を象徴すると言われる。
WHOのウェブサイトでも、「蛇のついた杖は、昔から医学と医療の象徴でした。 これは、古代ギリシャ人から治癒の神として崇められ、蛇を使った信仰の対象となっていたアスクレピオスの物語に由来しています」と、ロゴとエンブレムの由来を紹介している。地図は国連を意味するという。
日本医師会もウェブサイトで、そのロゴの由来をギリシャ神話の「アスクレピオスの杖だ」と解説している。
世界医師会(WMA)のロゴも蛇と杖がモチーフになっている。
秋田県大仙市の大曲仙北広域市町村圏組合の解説でも、救急車につけられたロゴはアスクレピオスの杖が由来だとし、蛇と杖がブルーの星に乗ったマークは世界中の救急医療のシンボルマークで、蛇と杖は国際的に共通のものになったと紹介している。
判定
WHOと日本医師会のロゴは「悪魔の手先で人間を支配する」は誤り。「杖と蛇」はギリシャ神話の医の神様「アスクレピオス」に由来し、医療を象徴する紋様。
あとがき
新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以降、ワクチン接種の普及を主導したWHO=世界保健機関に対する誤情報、偽情報が拡散するようになりました。
特に現在進められている感染症対策の一層の強化を図る「パンデミック条約」をめぐって、WHOへの攻撃的な言説が増えています。
WHOや事務局長のテドロス氏に対し誹謗するような情報には注意が必要です。
検証:宮本聖二
編集:野上英文、藤森かもめ
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