「(画像)堀江貴文氏:ワクチンの危険性が発覚しました」は誤り 本人の発言ではなく、切り抜き動画から

「(画像)堀江貴文氏:ワクチンの危険性が発覚しました」は誤り 本人の発言ではなく、切り抜き動画から

実業家の堀江貴文氏が「ワクチンの危険性がついに発覚しました」と語っているかのような画像が拡散しましたが誤りです。本人が直接否定している他、画像の出典元はYouTubeの切り抜き動画で、元動画にもそのような発言はありません。

検証対象

2024年2月20日に投稿されたポストで、堀江氏の顔とともに「ワクチンの危険性が遂に発覚しました」という文言があしらわれた画像が拡散した。

この投稿は2024年2月22日現在、978万回以上の表示と、9700件以上のいいねを獲得している。

2月21日には堀江氏本人が「フェイク画像が本物と信じて、私の名誉を毀損しているツイートですが、大丈夫でしょうか?」と引用投稿している。

検証過程

出典元はYoutubeの切り抜き動画

拡散した画像を投稿した内海聡氏は、この画像の引用元として2023年9月30日のポストを挙げている(アーカイブ)。

引用元のポストを見るとYouTubeリンクがある。引用元ポストの投稿者はプロフィール欄に陰謀論を多数投稿するサイト「rapt理論+α」のリンクを掲載していた。

このポストに添付されているYouTube動画は現在非公開だ。しかし、動画IDから検索すると、YouTubeに関する情報発信サイト「yutura」で動画タイトルと概要欄が見つかる。確認すると、この発信元はYouTubeの切り抜き動画チャンネルで、概要欄には元動画のリンクもある。

元動画は「科学研究にはリスクをとる投資も重要?医学では分からないことこそ発展のチャンス【山中伸弥×堀江貴文】」。新型コロナウイルスのワクチン開発と投資をテーマに、堀江氏とiPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授の対談だ。ニュースメディアNewsPicksが制作したものだ。

動画内でワクチンに積極的な評価

この動画を見ると新型コロナウイルスのmRNAワクチン開発について話しあっている。山中教授は「もちろんワクチンですから、いろんな副反応の問題もあるんですけれども、でも大きな考えで見るとそれによって助かった命というのは相当あると思います」と発言。堀江氏は「不幸な出来事(コロナ禍)が起こって科学研究が一気に進行するケースってありますよね」と答えている。

二人は、基礎研究から実用化に至ったのはリスクをとりながらも長期にわたる投資が続いたためだと評価している。「ワクチンの危険性が遂に発覚しました」にあたるような発言はない。

判定

実業家の堀江貴文氏が「ワクチンの危険性がついに発覚しました」と語っているかのような画像は、誤り。元となった動画ではそうした発言は確認できず、本人も明確に否定している。

あとがき

今回、YouTubeのサムネイル的なデザインで堀江氏が「ワクチンの危険性が発覚」と発言したかのような画像が拡散しました。よくあるタイプのデザインで、そのような発言をした動画が実在するかのように勘違いした人もいたようです。

このようなサムネイルは無料ツールで誰でも簡単に作れるようになっています。また、切り抜き動画などで本人が言っていないことを言ったかのように誤認させる手法も蔓延しています。注意しましょう。

検証:本橋瑞紀
編集:古田大輔、宮本聖二

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。検証記事を広げるため、XFacebookYouTubeInstagramでのフォロー・拡散をよろしくお願いします。毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンからどうぞ。

また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報について質問すると、AIが関連性の高い過去のJFC記事をお届けします。詳しくはこちらの記事を

もっと見る

能登半島地震「5月14日から珠洲市で弁当なくなる」は不正確 避難所では提供を継続【ファクトチェック】

能登半島地震「5月14日から珠洲市で弁当なくなる」は不正確 避難所では提供を継続【ファクトチェック】

「5月14日から珠洲市では弁当がなくなる」という言説が拡散しましたが不正確(ミスリード)です。5月15日以降支給されなくなる人はいますが、珠洲市は避難所で生活している人や生活に困窮している人などには弁当の提供を続けます。 検証対象 2024年5月6日、能登半島地震で被災した珠洲市について、X(旧Twitter)で、「5月14日から珠洲市では弁当すら無くなります...」「理由は食中の危険性があるから」などと書いた投稿が拡散した。投稿には、珠洲市健康増進センターとの電話のやりとりだとする内容も載せている。この投稿は2024年5月10日現在、320万回以上の表示回数と9900件以上のリポストを獲得している。 検証過程 珠洲市は3月14日から、被災者に夕食弁当を支給してきた(NHK、北陸中日新聞七尾支局)。 これは避難所で申し込み用紙に記入した人全てに提供してきたもので、避難所で生活している人以外も弁当を受けとっており、5月10日現在で約2000人の市民が利用している。 珠洲市のウェブサイトによると、仮設住宅の完成・入居が進んだことや、気温の上昇による食

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
東京新聞編集局の偽Xアカウントが出現 公式が注意喚起

東京新聞編集局の偽Xアカウントが出現 公式が注意喚起

東京新聞編集局の偽Xアカウントが出現しています。公式アカウントが「投資の勧誘をする『なりすまし』アカウントが確認されています。東京新聞とは全く関係ありません」と注意を呼びかけています。 リプライに投資を呼びかける偽アカウント X(旧Twitter)で東京新聞編集局の投稿にリプライ形式で投資を呼びかけるなりすましのアカウントが出現した。 2024年5月8日、東京新聞編集局の公式アカウントが「『東京新聞編集局』を名乗って、同じアイコン、背景を使って投資の勧誘をする『なりすまし』アカウントが確認されています。東京新聞とは全く関係ありません」と注意を呼びかけている。 なりすましアカウントは、公式アカウントの投稿にツリー形式で表示されるリプライを付けている。公式アカウントと同じアイコンでLINEの友達追加を促している。 公式アカウントは8万以上のフォロワーがいるのに対し、偽アカウントは5月9日15時の時点で0人だ。またIDも英数字の羅列になっている。 あとがき 著名人のなりすましアカウントや偽の広告がSNSに次々と出てきています。詐欺サイトへの誘導や個人情報

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
杉田水脈氏「『民族衣装のコスプレおばさん』なんて投稿していない」 は誤り 自身が国会で認め、記録も存在【ファクトチェック】

杉田水脈氏「『民族衣装のコスプレおばさん』なんて投稿していない」 は誤り 自身が国会で認め、記録も存在【ファクトチェック】

自民党の杉田水脈衆議院議員が「そもそも『民族衣装のコスプレおばさん』なんて投稿していません」とX(旧Twitter)に投稿しましたが、誤りです。2016年2月に投稿した記録がアーカイブで残っており、2022年11月の参議院予算委員会で杉田氏自身も認めています。 検証対象 2024年5月2日、自民党の杉田水脈衆議院議員がX(旧Twitter)で、「杉田水脈議員の在日コリアン投稿 人権侵犯と認定 大阪法務局」というNHKの記事(2023年10月)を否定した。 杉田氏は、NHK記事を引用した別アカウントに返信する形で「残念ながらこのNHKの記事、事実とは程遠いです。そもそも『民族衣装のコスプレおばさん』なんて投稿していませんし」などと主張している。 2024年5月7日時点で、杉田氏のポストは180万回以上の視聴と3600回のリポストがあり、引用元のコメントにも37万回以上の閲覧がある。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、杉田氏が「民族衣装のコスプレおばさん」と投稿したかどうかを調べた。 「大阪法務局が杉田氏を人権侵犯と認定」と各社が報

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
「日本政府がコロナワクチン接種者の献血を禁止」は誤り 接種から一定期間経過すれば献血できる【ファクトチェック】

「日本政府がコロナワクチン接種者の献血を禁止」は誤り 接種から一定期間経過すれば献血できる【ファクトチェック】

日本政府がコロナワクチンを接種した人の献血を禁止するという言説が拡散しましたが、誤りです。日本赤十字社では接種から一定期間が経過すれば献血を受け入れています。「ワクチン接種者の献血禁止」は繰り返し拡散しています。 検証対象 2024年5月1日、X(旧Twitter)で、「日本政府はワクチンを接種した人の献血を禁止。"汚染された血液"」というコメントと、岸田文雄首相の写真を付けたポストが拡散した。ポストは、科学者を名乗る人物の英文の投稿「Japan to ban vaccinated people from donating ‘tainted blood’」を引用している。 5月7日から8日にかけてこの投稿はXによって削除されたが、120万を超える閲覧数があり、「80%の日本人のは、もう献血できない」「日本赤十字社どうするんだろうね?」 と言ったコメントがついたほか、「こないだ献血しましたよワクチン2回と問診にこたえてますが」という投稿に疑問を投げかけるコメントもあった。 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、厚生労働省医薬局血液対策課に取

By 宮本聖二