小林製薬の紅麹がありとあらゆる食品に赤色着色料として使われていた?【ファクトチェック】
小林製薬の紅麹原料による健康被害をめぐり、「小林製薬の紅麹があらゆる食品に赤色着色料として使われている」という言説が拡散していますが、誤りです。着色料は食品添加物のベニコウジ(紅麹)色素で、問題となった紅麹とは別物です。
検証対象
「『小林製薬の件、大変そうだなぁ〜。ま、サプリメント飲めないから関係ないや!』 ↓実際↓ありとあらゆる食品に、安全な天然の赤色着色料として使われました。」という投稿が、X(旧Twitter)などで拡散した。
1万1000以上のリポストのあったこの投稿は現在削除されているが、コピーした投稿がその後も拡散している。「紅麹色素で染めてる カニを模したかまぼこが投げ売りされている」などといった投稿もある。
検証過程
問題となったのは小林製薬が製造した「紅麹」
今回、問題となっているのは小林製薬の「紅麹」で、その成分が含まれた健康食品を食べた後に腎臓の病気などで5人が死亡、のべ93人が入院しており、小林製薬が「原因となった疑いがある」として調べている(NHK)。
小林製薬によると、販売している機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人で腎疾患などが発生したと報告を受け、調査の結果、同製品と自社製造の「紅麹原料」に「当社の意図しない成分が含まれている可能性が判明」したという(小林製薬)。
機能性表示食品とは、「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品」だ(消費者庁・「機能性表示食品」って何?)。販売前に安全性や機能性の根拠などが消費者庁長官へ届け出られるが、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではない。
小林製薬は「紅麹コレステヘルプ」の機能性について「悪玉コレステロールを下げる」と説明していた。
また、小林製薬製造の紅麹原料は173社に出荷され、原材料としても使用されている(厚労省)。3月28日現在これら出荷先企業の製品での健康被害の報告はない(NHK)。
ベニコウジ色素は食品安全委員会の評価を受けた「食品添加物」
ベニコウジ色素は紅麹とは異なる。着色料として使われる「食品添加物」の一つだ。
食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるもので、安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なう恐れのない場合に限って、成分の規格や、使用基準を定めた上で、使用が認められている(厚労省・食品添加物)。
厚労省が作成する、食品添加物の成分規格と製造及び使用に関する規格・基準を掲載した「食品添加物公定書」にベニコウジ色素は載っている(食品添加物公定書911ページ)
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、日本食品添加物協会に取材した。
日本食品添加物協会は「今回の健康被害が出た紅麹のサプリは『食品』で『食品添加物』とは異なる、食品添加物は食品の着色において必要最少量で使用することになっており、上記の管理のもとで、これまでに健康被害が発生したことはない」と話している。
判定
「小林製薬の紅麹があらゆる食品に着色料として使われている」という言説が拡散したが、誤り。着色料として使われるベニコウジ色素は、食品安全委員会の評価を受けた食品添加物で小林製薬の紅麹とは別物だ。
検証:宮本聖二
編集:古田大輔、野上英文
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