小林製薬社長が「ワクチン被害のスケープゴートにされた」と発言?【ファクトチェック】
小林製薬の紅麹問題で記者会見した小林章浩社長が「『小林製薬はワクチン被害のスケープゴートにされた』と発言した」とする言説が拡散しましたが、誤りです。会見は動画で公開されていますが、そのような発言はありません。
検証対象
紅麹の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、2024年4月2日、小林製薬の小林社長が、「日本政府と厚労省は、ワクチン被害のスケープゴートとして、我が社を利用し、潰しにかかっています」と発言したとする投稿が拡散した。
この投稿は4月4日時点で、140万回以上の表示回数と1万件以上のリポストを獲得している。「エイプリルフール」というコメントの一方で「応援してます!」「素晴らしい」といった反応もある。賛意を示すコメントの多くはワクチンに批判的な人たちから出ている。
検証過程
検証対象のポストは、投稿の3分後に編集されている。編集後は、「※注意 最後までちゃんと読んでね!」という文字が加わった(下の画像の赤枠で囲まれた部分)。
文末には、「元記事のリンクに真実あり」や「毎年エイプリールフールに騙される」といったハッシュタグとURLが記されている。
URLに書かれた「jeje.com」というサイトにアクセスしてみたが、サイトは存在しなかった。また黄色線が引かれた部分には「usodesu&demosoudayone(うそです&でもそうだよね)」と書いている。
小林製薬は、3月22日と29日の2回、記者会見している。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、会見での小林章浩社長の発言を確認した。
22日の会見では、小林社長は健康被害が出ていることを謝罪し、「小林製薬製造の健康食品の成分分析をしたところ本来想定していない成分が含まれていた可能性があることがわかった、自主回収する」と述べたものの、投稿のような発言はしていない。
3月29日の会見も、日テレNEWS LIVEのYouTubeですべての内容を見ることができる。会見は約4時間半で、小林社長は、冒頭で概要を説明した後、社員らと記者の質問に答えている。会見の中で、小林社長も社員も「コロナウイルス」や「ワクチン」との関連性や、「小林製薬がスケープゴートにされた」という発言をしていない。
判定
「小林製薬がワクチン被害のスケープゴートにされたと小林社長が発言」は、誤り。
検証:リサーチチーム
編集:宮本聖二、藤森かもめ、野上英文
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