鳥インフルエンザは鳥から人間に感染しない? 国外では感染、発症例も【ファクトチェック】

鳥インフルエンザは鳥から人間に感染しない? 国外では感染、発症例も【ファクトチェック】

「鳥インフルエンザは鳥から人間に感染しない」という言説が拡散しましたが、誤りです。国外では感染した事例があり、国内でも監視を続けています。

検証対象

2024年10月16日、「鳥から人間に感染しないのに、何でこんなニュースをやるのか」「卵を食べても感染しない、鶏肉を食べても感染しない」などと書かれた投稿が拡散した。

検証過程

リンクにあるNHKニュースには

投稿には鳥インフルに関連するNHKニュース記事「鳥インフル 北海道の野鳥で検出 対応レベルを引き上げ 環境省」へのリンクがある。

記事は、北海道内の2か所で見つかった野鳥の死骸などから高病原性の鳥インフルエンザウイルスが検出され、環境省が全国の対応レベルを最も高い「3」に引き上げたことを伝えている。

記事の後半では「鳥インフルエンザウイルスは感染した鳥と過度な接触をしない限り、人には感染しないとみられる」と書いている。

鳥ーヒト感染は国外では発生

鳥インフルエンザは、A型インフルエンザウイルス(H5N1亜型)が病原体で、鳥類(主に水禽類)に感染する。2021年以降、世界的な感染拡大で野生の哺乳類や農場のミンクなどで感染が報告され、2024年3月には、米国の乳牛の感染も確認されているという(厚生労働省)。

また、人間への感染事例もあり、2003年から2024年9月27日時点までに東南アジアを中心に報告されている。感染経路として、感染した家禽やその排泄物、死体、臓器などへの濃厚な接触を挙げている。()。

同サイトには、WHO(世界保健機関)の公表に基づく、「鳥インフルエンザA(H5N1)発生国・地域及びヒトでの確定症例」の資料も載っており、世界各地で発症者や死者が出ていることがわかる。

日本でも人への感染を警戒

日本ファクトチェックセンター(JFC)は厚労省感染症対策課に取材した。

日本では2024年10月21日現在、鳥からヒトへの感染、発症の報告は確認されていない。しかし、アジアを中心に世界で感染が確認されているため、鳥からヒトを経て、今後ヒトからヒトへの感染が起きることに備え、監視を続けながらワクチンを備蓄しているという。

首相官邸ホームページの鳥インフルエンザ対策のページは「これまで、鶏肉や鶏卵を食べることによってヒトに感染したという事例の報告はありません」と述べている。

判定

鳥インフルエンザは鳥から人間に感染しないという言説が拡散したが、誤り。鳥から人間への感染は、アジアを中心に世界で報告されており、日本も警戒している。

検証:リサーチチーム、宮本聖二
編集:藤森かもめ、古田大輔

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