日銀、生放送の発言で柳井正を提訴?【ファクトチェック】
日本銀行が、ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏を提訴したという言説が拡散しましたが誤りです。ネットニュースの記事を装った投稿で、読者を投資サイトへ誘導するための偽広告です。
検証対象
2023年12月20日、「日銀、柳井正を提訴 生放送の発言で」という投稿がX(旧Twitter)の広告機能で拡散した。2023年12月21日現在、表示回数は19万件を超える。
投稿について「こんなのわざとやっている」「マジか」「ツイッターちゃんと広告審査しろよ」などのコメントがついている。
検証過程
投稿に添付されたリンクをクリックすると「日本銀行が生放送での発言で柳井正さんを提訴」という記事が出てくる。
柳井正氏と政治評論家の寺島実郎氏が対談する写真が添えられており、「このスキャンダルは、生放送中に柳井正さんが誤って番組で秘密を暴露したことから勃発した」という書き出しで始まっている。
サイトにはNTTドコモが運営する「gooニュース」のロゴがあり、記事には提供元として「読売新聞オンライン」のロゴもあるが、報道記事の見出しや書き出しとしては不自然だ。記事の後半では投資情報サイトへのアクセスを促し、サイト内のリンクは同じ投資情報サイトへの登録を促す画面に繋がる。
これは典型的な偽サイトの手口だ。本物のgooニュースとはURLもサイト内の日付表記なども本物とは異なる。文章を注意してみると、日本語の表現が不自然で、日本語の会話文に用いられる鍵括弧と英語で用いられるクォーテーションマークが混在するなど、不審な点がある。
gooニュースは「URLが『https://news.goo.ne.jp/ ~』となっていないサイトのリンクは開かないよう、ご注意ください』と呼びかけている。
柳井氏と寺島氏の対談は実際に実施されている。両氏の名前で検索すると、偽記事についている画像と同様の姿で対談する動画がYoutubeに投稿されていた。TOKYO MX「寺島実郎の世界を知る力」という番組だが、偽記事の内容とは全く関係がなく、世界情勢、日本の針路について議論している。
判定
柳井正氏が日本銀行に提訴されたという言説がネットニュースの記事をもとに拡散したが、誤り。記事は、偽造された広告だ。
あとがき
著名人の画像を使い、その人物の発言だとして投資を促したり、商品を買わせたりする詐欺的なサイトに誘導する広告がSNSで多数拡散しています。注意してください。
検証:木山竣策
編集:古田大輔、野上英文、宮本聖二
検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。
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