北九州の中学生殺傷事件、被害者の父親は警察署長?同姓なだけ【ファクトチェック】

北九州の中学生殺傷事件、被害者の父親は警察署長?同姓なだけ【ファクトチェック】

2024年12月14日夜、北九州市小倉南区のファストフード店で起きた中学生殺傷事件をめぐって、被害者の父親が福岡県警の警察署長だとする情報が拡散しましたが、誤りです。同姓ですが、県警が否定しています。 

検証対象

12月14日夜、北九州市小倉南区のファーストフード店で、塾帰りの中学3年生の2人が男に刃物で刺されて、そのうち中島咲彩さん(15)が死亡した。12月17日以降、中島さんについて「福岡県の中学生殺害事件は父親が警察署長でした」「父親は福岡県警の若松警察署長(マル暴系)だった…犯人はプロ説が浮上 」などの情報が拡散。投稿の中には540万を超える閲覧と1800のリポストがついたものがあった。

この投稿に対して「なかなか防犯カメラの映像が公開されないし、闇が深い」「工藤会か?」などのコメントの他、「被害者のお父様、知ってます デマです」という指摘がある。

検証過程

拡散した投稿に「父親は福岡県警の若松警察署長だった」とある。現在の若松警察署(北九州市)の署長は中島健氏で、被害者と同姓だ。これまで暴力団犯罪の取締なども経験している(福岡県警「署長の部屋 第1号」)。

北九州市では、同市に本部がある暴力団工藤会が、民間人や企業を標的にした数多くの襲撃事件を起こし、2012年に福岡県公安委員会が工藤会を全国初の「特定危険指定暴力団」に指定した。福岡県警は工藤会壊滅を目指して組織トップの野村悟総裁を逮捕するなどの「頂上作戦」を進め、工藤会は弱体化した(NHK朝日新聞)。

「被害者の父親が警察署長」という情報が拡散し、容疑者像について「工藤会か?」などの投稿が出た背景となっている。しかし、これらの拡散した情報には根拠が書かれておらず、同姓という以外にはつながりが示されていない。

日本ファクトチェックセンター(JFC)が捜査本部の置かれた小倉南警察署に取材したところ「若松警察署長は被害者の中島咲彩さんの父親ではありません、誤った情報です」という回答を得た。

事件から5日後の19日午前、現場近くに住む男(43)が容疑者として逮捕された。

判定

北九州市小倉南区のファストフード店で起きた中学生殺傷事件をめぐって、被害者の父親が福岡県警若松警察署の署長だとする情報が拡散したが、誤り。同姓だという以外に根拠はなく、警察は誤った情報だと否定している。

検証:宮本聖二
編集:藤森かもめ、古田大輔、野上英文

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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