マイナンバーカードにまつわる誤情報/ファクトチェックは次の章へ【今週のファクトチェック】
マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」をめぐり、偽・誤情報が拡散しています。特に反対する人たちの間でシェアが広がる傾向があります。「三笠宮妃百合子様のお墓が朝鮮式」という誤情報も。「◯◯は朝鮮式」というのも、誤った情報が広がりやすいパターンの1つです。関連ニュースでは、公的機関による検証の問題とファクトチェックの今後の展開に関する記事を紹介しています。
JFCからのニュース
JFCはエディターやファクトチェッカーを募集しています!
日本ファクトチェックセンター(JFC)は業務拡大により、エディターやソーシャルメディア担当などを募集しております。リモートワークや勤務時間など様々な働き方を想定しています。
今週のファクトチェック
三笠宮妃百合子様のお墓は朝鮮式? 明治期以降の皇族の墓は神道式
三笠宮妃百合子さまの墓所をめぐり、「朝鮮式だ」との主張が拡散しましたが、誤りです。「朝鮮式」といった墓はなく、近代以降の皇室のお墓は天皇、皇后両陛下を除くと円丘と呼ばれる神道式によるものが基本です。
いらすとやに斎藤兵庫県知事とPR会社社長のイメージ画像? Xユーザーが独自に作成
「いらすとやさんのお仕事の早さ」という文言と共に兵庫県の斉藤元彦知事と公職選挙法違反の指摘があるPR会社の社長を連想させるいらすとや風の画像が拡散しましたが、誤りです。いらすとやではなく、Xユーザーが独自に作成したものです。
北朝鮮が有田芳生氏の身分証明書を発行? 画像は渡航用のビザで日本国籍と明記
立憲民主党の有田芳生衆院議員について「北朝鮮が発行した有田氏の身分証明書」という画像とともに、有田氏は北朝鮮国籍であるという情報が拡散しましたが、誤りです。実際は北朝鮮が発行した渡航用のビザ(査証)の画像で、日本国籍と明記されています。
嵐・大野智氏が大麻で逮捕? 所属事務所が否定、投稿者は謝罪
「嵐・大野智氏が大麻で逮捕された」という情報が複数拡散しましたが、誤りです。大野氏が所属するSTARTO ENTERTAINMENTは「事実無根」と否定する声明を出し、投稿を最初に拡散した投稿主は謝罪して撤回しています。
マイナンバーカード、意識不明で運ばれたら暗証番号が分からず使えない? 目視による本人確認で対応
マイナンバーカードに関して、意識不明で運ばれたら暗証番号が分からずに使えないという情報が拡散しましたが、誤りです。暗証番号がわからない場合、医療機関や薬局の職員が写真と本人の顔を照合して受け付ける方法があります。
その他の関連記事
村上総務大臣 インターネット上の偽情報「必要に応じ法規制も」
12月6日、インターネット上の偽情報などへの対応について、村上総務大臣は閣議のあとの記者会見で、憲法で保障されている表現の自由との関係に配慮しつつ、必要に応じて法規制も含む制度的対応を検討していく考えを示しました。
公的または非独立機関によるファクトチェックに関する調査(EDMO)
欧州デジタルメディア観測所(EDMO)が協力するファクトチェック組織とともにEU加盟22カ国で調査したところ、31.8%が公的/非独立機関がファクトチェックをしていると回答。偽情報の検出をしているのは40.9%に上った。回答者の50%はファクトチェックの信頼性や独立性に悪影響をもたらすことを懸念。公的機関は自らファクトチェックするのではなく、独立したファクトチェック組織の支援や普及の促進などに注力すべきだと主張しています。
ファクトチェックは次の章へ:情報の公正性(Poynter)
ファクトチェックは2016年以降、誤った情報が反乱する「情報障害」への対策として注目されてきましたが「偽・誤情報との闘い」というだけでは、権威主義的政府による検閲にも繋がりかねません。国連やG20で提唱された情報の公正性(Information Integrity)という概念は、ファクトチェックだけでなく、独立したジャーナリズムや国家の情報公開、メディア情報リテラシーの普及などを含んでいます。
その他の関連イベント
『情報的健康』を、日本から世界へー国際連携によるデジタル空間健全化への駆動ー(慶應義塾大学X Dignityセンター)
情報摂取のバランスなどを考慮する「情報的健康」の概念について議論し、国際的な普及を目指したシンポジウム。対面とオンライン配信のハイブリッドで参加費は無料です。JFC編集長の古田大輔も登壇します。申込締切は12月20日12時。
https://www.x-dignity.kgri.keio.ac.jp/news/408/
みやぎデジタルスキル向上講座
宮城県がGoogleと連携し、シニア世代のデジタルリテラシー向上のためのスキルアップ講座を開きます。対面とオンライン配信のハイブリッドで参加無料(対象は宮城県在住者)。JFC編集長の古田大輔が「検索の達人になる!」と題して講師を務めます。申込締切は12月17日。
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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