自民党総裁選で偽・誤情報の標的になっているのは誰か その理由は【解説】

自民党総裁選で偽・誤情報の標的になっているのは誰か その理由は【解説】

自民党総裁選をめぐって、偽・誤情報が拡散しています。候補者の誰が、なぜ標的になるのか。偽・誤情報の作成者・拡散者の特徴や動機について、日本ファクトチェックセンター(JFC)がこれまで公開した検証記事やSNS、検索データなどをもとに解説します。

最初に標的となったのは

9月12日告示、27日開票の自民党総裁選への立候補をいち早く表明したのは小林鷹之議員で、8月19日だった。その後、立て続けに小林氏に関する偽・誤情報が拡散し、JFCでも2本の検証記事を出し、いずれも「誤り」と判定した。

小林鷹之議員の会見後、メディア一同が拍手で送り出す? 同席した議員から【ファクトチェック】
2024年の自民党総裁選に立候補を表明した小林鷹之議員の会見で「メディア一同が拍手で送り出す」という言説が拡散しましたが、誤りです。拍手したのは同席した国会議員で、取材に来た記者たちではありません。 検証対象 2024年8月19日、自民党総裁選への立候補を表明した小林氏の会見について「政治家の会見終了後の退出をメディア一同が拍手で送り出すシーンは初めて見ました」という動画付き言説が拡散した。 拡散した動画には、会見終了後、小林氏が拍手を受けるシーンが映されている。 2024年9月22日時点、この投稿は1700件以上リポストされ、表示回数は109万件を超える。投稿について「相当ヤバイ」「迎合してる」というコメントの一方で「勘違いですね」という指摘もある。 検証過程 添付された動画は2024年8月19日に小林氏が自民党総裁選への立候補を表明した記者会見の様子。会見後に会場を去っていく小林氏に対して、会場から拍手がわいている。カメラは会釈する小林氏を映していて、誰が拍手をしているかはわからない。 この動画は、YouTubeチャンネル「TBS NEWS D
小林鷹之衆院議員は「再エネ議連」役員?6年前の画像が拡散、本人は退会済み【ファクトチェック】
2024年自民党総裁選に立候補を表明した小林鷹之議員が「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟(再エネ議連)の役員」という言説が拡散しましたが、誤りです。拡散した表は2018年のもので、本人は3月に退会を公表しています。 検証対象 2024年8月19日、自民党総裁選への立候補を表明した小林氏について「再エネ議連役員が判明」という言説が拡散した。言説にはまとめサイト「トータルニュースワールド」のリンクが添付されている。 2024年8月22日時点で投稿は3200件以上リポストされ、表示回数は33万件を超える。投稿について「グローバリスト側」「ベッタリですね」というコメントの一方で「情報が古い」という指摘もある。 検証過程 再エネ議連とは 自民党の再エネ議連は、太陽光発電や風力発電などの再エネ技術の開発と実用化を促す為に2016年に設立された。2023年に洋上風力発電事業を巡る汚職事件で秋本真利事務局長(当時)が強制捜査を受けて休眠状態に。2024年3月に体制を新たに再始動している(東京新聞)。 拡散した表は2018年のもの 拡散した言説に添付された、

一つは小林氏に批判的な内容で、もう一つは小林氏本人以上にメディアを批判する内容だった。

小泉進次郎氏をめぐる偽・誤情報

その後、出馬表明が相次ぎ、候補者は9人に及んだ。その中で、特に偽・誤情報が拡散したのは、小泉進次郎氏に関するものだった。

日本ファクトチェックセンター(JFC)は9月19日までに、小泉氏に直接関わる偽・誤情報を4つ検証して記事にしている。いずれも小泉氏に批判的で不正確や誤り、根拠不明な内容だった。

小泉進次郎氏「無理して大学行くな。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」と発言? まとめサイトによる歪曲【ファクトチェック】
自民党総裁選に立候補している小泉進次郎氏が「無理して大学行くな。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」と発言したかのような言説が拡散しましたが、不正確です。2024年9月16日の討論会での小泉氏の「大学に行くのが全てじゃない」という発言を歪曲しています。 検証対象 2024年9月18日、自民党総裁選に立候補している小泉氏が「無理して大学行くな。求められているところはいっぱいある。例えば田舎の旅館の従業員とかになればいい」と発言して炎上したとする言説が拡散した。投稿には、まとめサイト「NewsSharing」のリンクがある。 9月19日現在、この投稿は1.7万件以上リポストされ、表示回数は854万件を超える。投稿について「悪気なく本気で思ってそう」「国民を馬鹿にしすぎ」というコメントの一方で「全文読むとだいぶ印象が違います」という指摘もある。 検証過程 まとめサイトの記事は、2024年9月16日にスポニチがYahoo!ニュースで公開した記事を参照元にしている。 このスポニチの記事は、自民党総裁選の立候補者9人による9月16日の金沢市での討論会を報じ
小泉進次郎氏「年金受給は80歳から」? 開始年齢の選択肢を広げる発言【ファクトチェック】
自民党総裁選に立候補している小泉進次郎氏が「年金受給年齢は80歳からでいい」と発言したかのような言説が拡散しましたが、不正確です。現在の制度では、原則65歳受給開始で、60歳から75歳までの繰り上げ・繰り下げが選択できますが、小泉氏の発言は80歳まで選択肢を増やすものです。 検証対象 2024年9月の自民党総裁選に合わせて小泉進次郎氏が「65歳以上は『高齢者』なんてナンセンス』」「年金の受給開始年齢は『80歳でもいいのでは』」などと発言したという言説が拡散した(例1、例2、例3)。多いものは800万超の閲覧がある。 「いいわけねーだろ 親父は73で死んだわ」「国民の半数は一生年金を払って1円も認められないまま死んでいくんですね」と言った批判も広がっており、その多くは小泉氏が年金受給開始年齢を80歳まで遅らせるような発言をしたと受け止めている。 一方で、「進次郎は『年金80歳から』なんて言っていない」「あくまで個人の選択肢を広げるかどうか、という提案」などと拡散した投稿を否定する投稿や引用リポストもある。 この言説をめぐっては、InFactが検証して「不正
小泉進次郎氏が「これにお金を払ったらただで貰えました」などと発言? 大喜利サイトの書き込みが拡散【ファクトチェック】
自民党総裁選への立候補を予定している小泉進次郎氏が「これにお金を払ったらただで貰えました」「朝食は朝食べるに限ります。昼食は絶対にランチがいいですね」などと発言したとする言説が拡散しましたが、根拠不明です。これらの言説は大喜利サイトで匿名ユーザーが投稿したジョークが元になっていて、小泉氏本人が発言した事実は確認できません。 検証対象 2024年8月25日、「小泉進次郎曰く。『これにお金を払ったらただで貰えました』『朝食は朝食べるに限ります。昼食は絶体にランチがいいですね』こんな日本語の人間を日本のトップに据えていいのか?」という投稿が拡散した。 投稿は2024年9月2日時点で約1900件のリポストと110万回以上のインプレッションを獲得している。 「語彙力の欠損落第だ」「はぁー、どーなるんだニッポンは。。。」などといったコメントが寄せられる一方で、「ソースがboketeの人は初めてみた」「大喜利を本当に言ったと思ってる」との指摘もある。 検証過程 「進次郎構文」がインターネット上で話題に 小泉氏の発言や言い回しはインターネットを中心に「ポエム」「
小泉進次郎氏の祖父は朝鮮人?総裁選を前に誤情報が拡散【ファクトチェック】
「小泉進次郎氏は、朝鮮人『小泉組・小泉純也』氏(写真)の孫」という言説が拡散しましたが、誤りです。小泉氏の祖父は防衛庁長官をつとめた小泉純也氏で、純也氏は朝鮮人ではありません。また添付画像の刺青をした男性は、純也氏とは別人です。 検証対象 2024年8月23日、上半身に刺青をした男性の写真とともに「小泉進次郎氏は、朝鮮人『小泉組・小泉純也』氏(写真)の孫」というX(旧Twitter)の投稿が拡散した。 8月26日現在で290万の閲覧数と3200のリポストがあり、「こんなの、絶対総理にしちゃいけない案件」といったコメントがあるほか、「印象操作」「一枚目の画像は別人です」という投稿への批判もある。 検証過程 小泉純也氏は朝鮮人なのか 衆議院議員の小泉進次郎氏の祖父の小泉純也氏(元総理大臣の小泉純一郎氏の父)は元衆議院議員。1960年代の池田勇人内閣、佐藤栄作内閣で防衛庁長官を務めた。 公職選挙法10条の規定で、国会議員になるには「日本国民」であることが条件なので、純也氏は朝鮮人ではない。 さらに小泉氏が日本国籍に帰化したかどうかを官報情報検索サービ

特定候補に関する検証が多くなると「JFCは特定候補を応援しているのではないか」という批判が広がりがちだが、そうではない。

小泉氏に関する検証が多くなるのは、単純に小泉氏に関する偽・誤情報がSNSを中心に多く拡散しているからだ。JFCはこの4つの検証以外に、小泉氏自身の選択的夫婦別姓に関わる発言を、同じく候補者である高市早苗氏の発言とともに検証し、ともに不正確だと判定している。

旧姓で不動産登記はできる? 自民党総裁選で小泉氏と高市氏が正反対の発言【ファクトチェック】
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎議員が「旧姓では不動産登記ができない」、高市早苗議員が「今年の4月から旧氏(旧姓)でできる」と発言しました。これはともに不正確です。4月から旧姓併記が可能になりましたが、旧姓だけでの登記は現在もできません。 検証対象 2024年9月6日、総裁選立候補を表明した小泉氏は総裁選立候補会見で「旧姓では不動産登記ができません」と発言した(48:33〜48:36)。 一方、同じく立候補を表明した高市氏は9月9日の立候補会見で「候補予定者の方に不動産登記ができないじゃないかと答えた方がいましたが、不動産登記できます。今年の4月から旧氏でできるようになっております」と発言している(1:20:32〜1:21:00)。 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、旧姓で登記できるか確認した。 検証過程 不動産登記における併記 不動産登記は、土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを登記簿に記載し、権利関係などを明確にするもの(法務省)。旧氏(旧姓)併記については、法務省ウェブサイトで確認することができる(所有権の登記名義

関心の高い話題が標的になる

JFCはX(旧Twitter)だけでなく、YouTubeやTikTokなど、様々なプラットフォームをチェックして怪しい情報が拡散していないかを探している。様々なツールを用いて、候補者の名前や総裁選を検索ワードにしたり、偽・誤情報をシェアしがちなグループやアカウントをフォローしたりしている。

自民党総裁選にまつわる偽・誤情報として拡散したものの多くは、2週間余りの総裁選序盤から中盤にかけては小泉氏に関してだった。これはJFCと同様に、検証対象となりうる疑義のある言説を探しているファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)が運用しているクレイムモニターというツールでも同じ傾向が見られる。

なぜ、小泉氏を対象に、小泉氏が不利になるような言説ばかりが拡散するのか。背景にあるのは小泉氏の注目度の高さだろう。

各社の世論調査で上位にくるのは、小泉氏、高市氏、石破茂氏の3人だ。この3人の名前が自民党総裁選の最初の1週間ほど(9月19日まで)にどれだけウェブ検索されていたかをGoogleトレンドで調べると、ほぼ一貫して1位小泉氏、2位高市氏、3位石破氏だった。これはYouTube検索でも同様だ。

Googleトレンド:ウェブ検索

Googleトレンド:YouTube検索

ソーシャルメディア上でも同様だ。日経新聞の9月21日の記事によると、X(旧Twitter)上で候補者名(フルネームまたは性+総裁選)を含んだ投稿(8月14日〜9月19日)を集計したところ、小泉氏がトップ、高市氏が2番手でともに300万投稿を超え、3番手の河野太郎氏との間には差があった。

ちなみに告示前を含む初期に標的となった小林氏は出馬表明した8月19日のみ、小泉氏を上回る注目を集めていた。

主要なデマの現象を実験に基づいて分析・考察したG.W. オルポートとL. ポストマンの『デマの心理学』では、根拠のない「流言」が拡散する量について、「問題の重要性」と「証拠の曖昧さ」の積に比例する、と定式化した。

日本の次の首相を決める自民党総裁選という重要なイベントにおいて、最も注目を集める小泉氏(問題の重要性)。さらに、政治への関心がそれほど高くない日本において、人々は普段から小泉氏の言動を追いかけているわけではなく、拡散する言説の証拠は曖昧なことが多い(証拠の曖昧さ)。総裁選での小泉氏の偽・誤情報拡散は、まさにこの定式に当てはまる。

さらに、2番手につける高市氏よりも小泉氏の方が偽・誤情報が拡散しやすかった理由がもう一つある。

「批判」の拡散力

X上の投稿を分析するYahoo!JAPANリアルタイム検索で過去30日間(8月24日〜9月23日)の小泉氏に関する投稿を調べてみると、17万件超の投稿でポジティブ(肯定的)11%、ネガティブ(否定的)89%となっている。

最も投稿数が多かった9月6-7日にかけては出馬会見で、フリーランス記者からの「知的レベルが低い」という質問への冷静な対応が話題になったときだ。

次に多い9月11-12日にかけては、JFCでも検証した「年金受給は80歳から」と発言したという情報が拡散したときで、ネガティブが92%にまで増えている。拡散した言説は不正確で、実際には年金の支給開始を60〜75歳で選べる現状について、60〜80歳に選択肢を広げても良い、という発言だった。

高市氏に関しても否定的な投稿の方が多いが、ネガティブ75%、ポジティブ25%で小泉氏よりもポジティブ寄りだ。最も投稿が多かった9月18日は「高市候補に投票しよう」という呼びかけも目立ち、ポジティブが27%に増えていた。

Xでの政治に関する投稿は、応援よりも批判の方が拡散する傾向がある。総裁選の有力候補である小泉氏に対してもネガティブな投稿が多くなるのは、それも理由の一つだろう。

批判の方が拡散しやすいということ自体が、批判的な投稿をするモチベーションの一つとなる。

偽・誤情報の作成者と拡散者

偽・誤情報を作成したり、拡散させたりする人の動機をもとに3つに分類すれば、以下のようになる。

故意犯:間違った情報を意図的に流して政治的・経済的な利益を得ようとする人
確信犯:正しいと信じ込み、間違った情報を拡散する人
愉快犯:嘘をついて注目を集めたり、騙された人を見て面白がったりする人

偽・誤情報を「作成する動機」と「拡散する動機」の違いに着目した、より細かい分類もある。Office of the U.S Surgeon Generalの資料を元に作成した。

明確な意図がある作成者に比べて、共有者=拡散させる人の中には、中身を精査する前に気軽に・過剰にシェアをする人たちもいる。

拡散の動機は「善意」

日本国内での偽・誤情報対策の影響と対策について精査するために、JFCが国際大グロコムと実施した2万人調査で、偽・誤情報を見聞きした後に拡散した人は全体の17.3%だった(n=3700)。

拡散した理由も聞いたところ、1位は「情報が興味深いと思った」30%、2位は「情報が重要だと感じた」29.2%で、他の人にも知ってもらいたいという善意から拡散していることがわかる。

自民党総裁選に話を戻せば、有力候補の小泉氏がこんなおかしな発言をしているとしたら、より多くの人に知られるべき「興味深くて」「重要な」情報だと考えることが、偽・誤情報拡散の強力な動機となる。

これは選挙で注目を集める議員が偽・誤情報の標的になりやすいことを端的に示す事例と言えるだろう。

もう一つ、データを示すとすれば、自民党総裁選と同時期に開かれた立憲民主党の代表選だ。4人が立候補し、9月23日に野田佳彦議員が選出された。

自民党総裁選と比較すると、立憲民主党の代表選に関する偽・誤情報は、それほど拡散していない。理由の一つとして、注目度が挙げられるだろう。新聞やテレビなどの主要メディアでの報道が少なく、ネット上での言及も少ない。Googleトレンドで主要候補者の検索量を比較しても、野田氏の当選のその日まで大きな差がついていた。

当選し、注目を集めたことで、今後、野田氏が標的となることは十分に考えられる。

同じことは、自民党総裁選でも言える。最新の各社の世論調査では、小泉氏が失速し、石破氏と高市氏が上位に並んだ。Googleトレンドのデータでも9月22日以降は高市氏が小泉氏を上回る。

高市氏を標的とした偽・誤情報が拡散しやすくなる土壌ができてきたということになる。高市氏に関する情報に関してもJFCではすでに一つ検証をしているが、今後はさらなる注意が必要だ。

高市大臣は親韓派? 韓国式の飲み方をする画像【ファクトチェック】=訂正あり
経済安全保障担当大臣の高市早苗氏が、口元を手で隠して水を飲む画像とともに「親韓派」だという言説が拡散しましたが、根拠不明です。口元を隠すような飲み方は韓国式で親韓派だという主張はネット上で繰り返し拡散しています。 検証対象 2024年8月16日、国会で高市大臣が口元を手で隠して水を飲む画像付きで「分かる人には分かるやつ」という投稿が拡散した。 この投稿には「朝鮮飲み」「日本人でこんな飲み方見たことない」「高市氏が保守ではなく反日なのは明らか」などのコメントが付き、8月19日現在150万超の閲覧と1200件のリポストがある。 検証過程 この画像をGoogleのFactCheck ExplorerのImage contexts機能で調べたところ、2023年4月4日のX(旧Twitter)投稿まで遡ることができた。ネット上で確認できるのはいずれもXかブログだ。 2023年3月3日の参議院予算委員会の映像で確認したところ、この画像と同じ服装で同じように右手を添えながら高市大臣が水を飲んでいる姿が確認できる。画質が荒く右手の描写が不自然に見えるが、この画像自体

次回:選挙で気をつけるべき偽・誤情報

選挙では繰り返し拡散する偽・誤情報があり、そのパターンは世界的に共通しています。事前に特徴を知っておけば「この情報はよくある偽・誤情報ではないか」と気づきやすくなります。

日本では立憲民主党の代表選、自民党総裁選に続いて、早期の総選挙が実施される可能性があります。次回は、どのような種類の偽・誤情報が、どのタイミングで拡散しやすいのか。また、なぜ、アメリカと比較して、候補者の発言そのものに対するファクトチェックが少ないのかなどを解説します。

(※サムネイルの画像はAIで生成しました)

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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理論から実践まで学べるJFCファクチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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「(斎藤知事の)パワハラはなかった」と百条委の委員長が発言? 前後の文脈を無視した切り取り動画【ファクトチェック】

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兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事をめぐって、百条委員会(調査特別委員会)の奥谷謙一委員長が「パワハラはなかった」と発言したという動画付きの言説が拡散しましたが、不正確です。拡散した動画は発言の一部を切り取ったもの。奥谷委員長は拡散した動画の発言後、「厳しい叱責を受けたという人はいたか?」と問われて「整理できていないが、『厳しい叱責を受けたことがある』と答えた人は結構おられたと思う」と説明。パワハラに当たるかどうか評価したいと答えています。 検証対象 2024年11月19日、「奥谷委員長が発言してます。パワハラはなかったと」という言説が拡散した。 添付された25秒間の動画では、奥谷委員長が記者から、この日の証人尋問に呼ばれた6人について「パワハラを受けたという人は何人いるのか」という質問を受け、「私の認識では明確に知事の方からパワハラを受けたという方はいらっしゃらなかった」と答えている。 2024年11月20日現在、この投稿は180件以上リポストされ、表示回数は32万回を超える。投稿について「これが正解」「まだ言うかね」というコメントがつく一方で、「そんな

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
アメリカでは帰化して三世代おかないと政治家になれない? 大統領や連邦議会議員に親の国籍は関係ない【ファクトチェック】

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「アメリカでは帰化して三代、間におかないと政治家になれない」という言説が拡散しましたが、誤りです。大統領や連邦議会上下院議員になるために、年齢や在住期間の規定はありますが、親の国籍は関係ありません。また、添付画像は日本に関する「帰化した国会議員」のリストですが、実際に帰化した人物はわずかで、ほとんどが誤ったものです。 検証対象 2024年11月3日、X(旧Twitter)で「米国では帰化してから3代間にないと選挙に出られない、つまり政治家になれない」という言説が拡散した。11月19日現在、230万以上の閲覧と1万件を超えるコメントがついている。 コメントには「日本も規制した方がいいですね」「日本も帰化3世までは立候補出ないようにする必要がある」などと同調する意見が続く一方で、「米国で、流石に三世代はないです。」という指摘もある。 検証過程 大統領と連邦議会上下院議員の資格要件を調べると、合衆国憲法に規定がある。 米国大統領の資格要件 合衆国憲法では、大統領は年齢35歳以上であること、生まれながらのアメリカ国民であること、最低14年間アメリカに居住

By 宮本聖二
潜在的な国民負担率は62.9%? 過去のデータで現在は改善【ファクトチェック】

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「財務省『潜在的国民負担率、62.9%に達しちゃった』」という言説が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。2020年にはそのレベルに達していますが、現在は改善傾向で50%台です。 検証対象 2024年11月12日、「財務省『潜在的国民負担率、62.9%に達しちゃった』」「1日8時間働いて5時間分は国に取られる。五公五民どころじゃねーな」という言説が拡散した。投稿にはまとめサイトのリンクが添付されている。 2024年11月12日現在、この投稿は1.1万件以上リポストされ、表示回数は185万回を超える。投稿について「財務省が全国民の敵」「働くの馬鹿みたい」というコメントが付く一方で「公式の報道機関やニュースサイトではありません」というコミュニティノートも付いている。 検証過程 国民負担率と潜在的国民負担率 国民負担率とは、国民の所得に占める税金や年金、社会保険料などの負担の割合だ。租税負担率と社会保障負担率を合計したものを国民負担率、これに財政赤字を加えたものを潜在的な国民負担率という(財務省)。 2023年投稿のまとめサイト記事を引用 検証対

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
トランプ大統領、就任が2ヵ月早まった? パーティーでの「提案」【ファクトチェック】

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アメリカのトランプ次期大統領が就任を2カ月早めるとする投稿が拡散しましたが、誤りです。自身の別荘でのパーティーでの発言で、実現する見通しはありません。 検証対象 2024年11月16日、アメリカのトランプ次期大統領が就任を2ヵ月早めるという投稿がXで拡散した。「もう就任しちゃうんですって」「トランプ大統領は、先日のマーアーラゴでのパーティーで、大統領就任を2カ月早めるという斬新な計画を発表🎉🎉🎉」と述べている。 投稿には、イギリスのMail Onlineの画像を日本語化したような画像がついており、「トランプ大統領が筋肉隆々のケネディ・ジュニアに5語の警告を発し、マール・ア・ラゴでのパーティーで任期を早めることを提案」という不自然な日本語がついている。 2024年11月18日現在、この投稿は500件以上リポストされ、表示回数は11万件を超える。投稿について「アメリカでの出来事は日本にも影響する…。」「前倒し✨だって、待てないんだもの。」というコメントが付いている。 検証過程 2024年の米大統領選挙で勝利したトランプ氏の大統領就任式は、2025年

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