総選挙ファクトチェックまとめ 偽・誤情報は何がどう広がった 【解説】

総選挙ファクトチェックまとめ 偽・誤情報は何がどう広がった 【解説】

総選挙が終わりました。どんな偽情報・誤情報が拡散し、どんな影響があったのか。来年の参院選に備えるためにも、振り返ります。

選挙で拡散しがちな偽・誤情報の類型

総選挙が始まる前の10月12日に「総選挙で拡散した/する偽・誤情報への『情報のワクチン』」という解説記事を書いた。その中で示したのが以下の表だ。選挙の際に、どのタイミングでどんな偽・誤情報が拡散するかを分類した。

総選挙の公示は10月15日だが、事実上の選挙戦は9月の自民党総裁選で石破茂氏が選出され、早期解散総選挙の方針を打ち出した段階から始まっていた。

この間、JFCは11月1日までに総選挙に関連するファクトチェック記事を28本公開しています(解説記事は今回含めて5本)。順を追って見ていく。

自民総裁選から続いた石破首相に関する偽・誤情報

初期に立て続けに出したのは、石破首相の発言に関する偽・誤情報のファクトチェック記事だった。

石破首相「中国の領空侵犯は即射撃を検討」などと発言? 表現を改変【ファクトチェック】
2024年10月1日に首相となった石破茂氏が「中国の領空侵犯は即射撃を検討。今できないから中国が調子乗ってる」と発言したとする投稿が拡散しましたが、不正確です。引用元の記事にある発言を改変しています。 検証対象 2024年9月28日、「石破茂、さっそく終わる。『中国の領空侵犯は即射撃を検討。今できないから中国が調子乗ってる』」という言説が拡散した。 2024年10月4日現在、この投稿は1800件以上リポストされ、表示回数は70万件を超える。投稿について「本当にやるなら、評価する」「対中国強硬発言」というコメントの一方で、「デマ」という指摘もある。 検証過程 投稿はまとめサイト「ツイッター速報」による投稿だ。リンク先を確認すると時事通信が9月22日にYahoo! ニュースに投稿した「領空侵犯に『危害射撃』検討を 自民・石破氏が提起」という記事を引用している。 記事によると、石破氏は9月22日、フジテレビの番組で「警察権で対応しているので、(正当防衛や緊急避難の場合でなければ)危害射撃ができない。中国は知っているから抑止力が効かない」と発言。相手を標的に
石破首相「裏金議員が気にいらないというのであれば自民党に投票しなければいいのではないか」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
石破茂首相が「裏金議員が気にいらないというのであれば自民党に投票しなければいいのではないか」と発言したかのような言説が拡散しましたが、誤りです。まとめサイトによるもので、本人の発言ではありません。 検証対象 2024年10月4日、石破首相が「裏金議員が気にいらないというのであれば自民党に投票しなければいいのではないか」と発言したかのような言説が拡散した。 10月7日現在、この投稿は1400件以上リポストされ、表示回数は13万件を超える。投稿について「清々しい」「その通りに致します!」とコメントがつく一方で「石破総理はそんな発言してない」という指摘もある。 検証過程 投稿はまとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」による投稿だ。リンク先を確認すると日刊ゲンダイがYahoo! ニュースに10月3日に配信した「自民裏金問題『うやむやになってしまう』…刑事告発した上脇博之教授が石破新首相に苦言」という記事を引用元にしている。 記事は、裏金問題に関連する議員の公認について、石破首相が総裁選中は「(候補としてふさわしいか)選挙対策委
石破首相が「私は今、権力の頂点の座に君臨している」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
石破茂首相が「私は今、権力の頂点の座に君臨している」と発言したかのような記事が拡散しましたが、誤りです。これはまとめサイトのスレッドのタイトルで、引用元の記事に同様の発言はありません。 検証対象 2024年10月8日、X(旧Twitter)で「石破首相 『私は今、権力の頂点の座に君臨している』」という投稿があった。 投稿は10月10日時点で2万件以上のインプレッションを獲得している。 投稿したアカウントは「ツイッター速報~BreakingNews」だ。この投稿には「明智光秀は三日天下 石破茂は三十日天下」「神輿にのってるだけだよぉ、わかるかなぁ?」などのコメントが寄せられる一方で、「こういう見出しで低脳な馬鹿を釣るなよ。やってることが下衆な週刊誌だって」などの指摘の声もある。 検証過程 投稿はまとめサイト 検証対象の投稿に添付されたリンクは「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」というまとめサイトの記事だ。記事には匿名掲示板「5ちゃんねる」のスレッド「石破首相 『私は今、権力の頂点の座に君臨している』 」と、FNNプライムオンラ

いずれもまとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」による発言の捏造だ。ネット匿名掲示板の文言を石破首相の発言であるかのように見せかける手法は、まとめサイトの常套手段で、Xの自らのアカウントで拡散させている。

表で言えば、政党・候補者を貶める内容と言える。リンク先の記事に中身はなく、政治的な目的と言うよりは、広告収入目的の故意犯と見られる。

総選挙1ヶ月前の自民党総裁選は、候補者が乱立し、激しい戦いとなった。保守派からの人気が高い高市早苗衆院議員と競っていた石破首相は、自民党支持者の一部からも批判される立場となった。

石破首相を批判的に見る人は、発言を捏造して偽情報を作るようなことまではしなくとも、石破首相を貶める偽情報をシェアしやすくなる。これが今回、石破首相にとってマイナスな偽・誤情報が拡散しやすくなった一因だ。

なりすましによる政党批判や発言の捏造

偽アカウントを作り、候補者や政党を批判する手法もあった。

市民運動家・菱山南帆子氏が共産・立憲民主批判? 偽アカウントのなりすましに注意
市民運動家・菱山南帆子氏の名前を騙って「共産党は候補おろせ56すぞ」「連続落選爺72歳立憲有田ももっと謙虚に感謝しろ」などと投稿するアカウントが出現しましたが、なりすましです。 検証対象 2024年10月9日、菱山氏本人のX(旧Twitter)への投稿に、菱山氏と同じアイコンを使用したアカウントが「共産党は候補おろせ56すぞ」「連続落選爺72歳立憲有田ももっと謙虚に感謝しろ」とリプライ形式で投稿した。 2024年10月10日現在、投稿の表示回数は9.3万回を超える。投稿には「え。これなりすましなのか」といったコメントがついている。 検証過程 IDやフォロワー数に注目 なりすましと本人のアカウントを比較すると、アイコンは同じだが、ヘッダーやプロフィール欄が異なる。偽アカウントのIDはアルファベットと数字の羅列だ。 アカウント名には「共産党は候補おろせ56すぞ」「連続落選爺72歳立憲有田ももっと謙虚に感謝しろ」といった文言が追加されている。また、フォロワー数も少なく、Xの登録日は2024年10月となっており、作成して間もないアカウントということが分か

Xでは誰でも自由にユーザー名をつけることができ、アイコンの写真も本人の公式アカウントのものをコピーすれば、簡単になりすませる。

市民運動家の菱山南帆子さんのなりすましアカウントの事例では、本人の投稿に続いて、なりすましアカウントが一連の投稿を装って、政党批判をしていた。

アカウントの名前と写真ではなく、IDを確認すれば公式かどうかは一目瞭然だ。候補者や政党の公式アカウントになりすます手法もあるため、注意が必要だ。

上が本人、下がなりすましアカウント。IDが異なる。

上記のようななりすましはアカウントのIDを確認すればよいが、より巧妙な手法もある。

下に示した画像は一見、立憲民主党の候補者である有田芳生氏によるXへの投稿に見える。小学生への性行為を肯定する内容だが、これは捏造だ。

有田氏の投稿のように見せかけた画像の捏造

有田氏のXアイコン、名前、ID部分の画像に、本人が言っていない文言部分を画像として合成し、あたかも本人の投稿のように見せかける手法だ。

複数アカウントが捏造された画像を拡散させていたが、画像にある投稿日付「2024年1月6日」の有田氏本人のXを見ても、この投稿はない。そもそも、本人がこのような投稿をしていたら、その当時話題になっていたはずだ。

有田芳生氏が小学生への性的行為を認める発言? 投稿画像は捏造【ファクトチェック】
立憲民主党の有田芳生氏が小学生への性的行為を認める投稿をしたような画像が拡散しましたが、捏造によるもので誤りです。有田氏がそのような投稿をした事実はありません。 検証対象 2024年10月8日、有田氏のX(旧Twitter)アカウントが「もちろん同意が必要だけど/年齢なんてのは人が勝手に決めたただの概念であって/女子小学生でも乳がぷっくり出始めればもうご賞味あれ!って/合図なんじゃないかな」と投稿したかのような画像を添付したXの投稿が拡散した。 この投稿は2024年10月10日現在、96万回以上の閲覧回数と900回以上のリポストを獲得している。 検証過程 画像は2024年1月末には存在 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、拡散した画像を検索した。Google画像検索の結果、2024年1月30日の画像や2024年6月29日の画像などが「完全に一致した画像」としてヒットした。少なくとも、2024年1月末には拡散した画像が存在したことがわかる。 ただし、TinEyeでは該当の画像はヒットせず、Factcheck exploreでも最も古い画像がい

動画の意図的な編集や改ざん

都知事選の石丸伸二候補の健闘や総選挙の国民民主党の躍進を後押ししたのがYouTubeやTikTokなどの動画の訴求力だ。特に若者世代への影響は年々大きくなっている。

当然、動画の偽・誤情報も増えている。画像と同じく一部を改変したり、生成AIで捏造したりする他、一部を切り出して全体とは異なる文脈にする手法もある。

例えば、自民党の河野太郎氏の演説の一部を切り取って「河野氏が『子宮頸がんワクチンは危険だ』と演説した」という投稿。この投稿に添付された動画では確かに河野氏は「子宮頸がんワクチンで命を落としている人がまだいます」と語っている。本人の言葉を改変しているわけではない。

しかし、演説の前後の文脈や河野氏の普段の発言を考慮すると、これは「子宮頸がんで命を落としている人がいるからワクチンの普及が重要だ」と訴えようとしていることは容易に読み取れる。

河野太郎氏が子宮頸がんワクチンは危険だと演説? 発言の切り取り【ファクトチェック】
自民党の河野太郎氏が、街頭演説で「子宮頸がんワクチンは危険だ」と話す動画が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。そのような発言はありますが、前後の文脈を無視して切り取ったものです。 検証対象 2024年10月21日、X(旧Twitter)で、「河野太郎、子宮頸がんワクチンの危険をうっかりバラした」という投稿が、河野氏の演説の動画と共に拡散した。10月25日現在、閲覧数は97万を超え、5600以上のリポストがある。 この投稿に対して、「子宮頸がん…といったつもりが、本当の事、言っちゃいましたね」「ワクチンで命落としたって言ってるよー」などのコメントのほか、「残念ながら日本では子宮頚ガンで命を落としている人がいます。と言おうとしたら、間違えワクチンと言ってしまったのか?」という指摘がある。 検証過程 河野氏の選挙演説の内容は 拡散した動画は8秒間で、河野氏が「今、日本で残念ながら子宮頸がんワクチンで命を落としている人がまだいます」と話す様子が映っている。拡散した投稿のリプライ欄には同じ演説を別の角度から撮影した2分55秒間の動画もある。 2分55秒

テレビ局がネットにアップした動画の一部が改変された事例もあった。

テレビ朝日は選挙特番「選挙ステーション」でAIをコメンテーター「エレク」として活用した。このエレクが「不正選挙です」「若者の多くは参政党にしか興味がない」と発言している動画が拡散した。

これはオリジナル動画のエレクの発言音声を改変したものだった。

テレ朝でAIが「間違いなく不正選挙」「若者の多くは参政党にしか興味がない」などと発言? 改変された動画【ファクトチェック】
2024年10月27日投開票の衆院選で当選した自民党の河野太郎氏について、テレビ朝日の選挙特番でAIが「間違いなく不正選挙」「若者の多くは参政党にしか興味がない」などと発言している動画が拡散しましたが、誤りです。AIへの質問と回答の音声を改変したもので、実際の放送とは異なります。 検証対象 2024年10月29日、テレビ朝日の選挙特番「選挙ステーション」でコメンテーター役を務めたAIが「人工知能が選挙解析 不正選挙 確定と判定した」「人工知能が選挙不正を発見 河野太郎の当選は不正です」などと発言する動画主張する動画が拡散した(例1、例2)。 これらの投稿には「デマ」「フェイク動画」などの指摘もある。 一方、「テレ朝の番組かな?主流メディアとしては、知られたくない回答内容だと思うが、良く放送したものと驚いた」「デジタル大臣のくせにAIにまで否定されてるの草超えて花畑」といったコメントが付いており、この動画を信じてしまう人が一定数いることを示している。 検証過程 動画に映る「AIコメンテーター」 拡散した投稿は複数あるが、いずれも同じ49秒間の動画が

この改変はオリジナルと比較することによって簡単に検証できたが、今後、AIの発達によって画像や動画や音声の改変や捏造はより簡単になり、検証はより難しくなる。

選挙制度やマスメディアに関する偽・誤情報

10月27日の投開票日が近づくにつれて、今回も拡散したのが「投票は操作されている」という偽・誤情報だ。選挙のたびに拡散し、投票が無意味であるかのような主張が繰り返される。

開票機器大手「ムサシ」の筆頭株主は安倍晋三氏で票を操作? 選挙のたびに拡散する誤情報【ファクトチェック】
総選挙に関連して、「開票機器大手の筆頭株主は安倍晋三氏」「不正が行われやすい」という言説が拡散しましたが、誤りです。筆頭株主が安倍氏だったという事実はなく、また開票作業は不正防止のため、機械だけでなく、人の目でも監視しています。 検証対象 2024年10月24日、森友学園事件で有罪判決を受けた籠池泰典氏が「我が国の選挙制度について、本来、手で開票していましたが、いまではムサシという機械が使われています」「ムサシという機械の筆頭株主も、安倍晋三首相とも聞いております」「自動集票することによって、不正が行われやすい状況」と語る過去の動画が再拡散した。投稿には「#ムサシ」のハッシュタグがつけられていた。 2024年10月24日午後2時現在、この投稿は240件以上リポストされ、表示回数は8000件を超える。投稿について「日本も選挙は茶番」「これは大事な情報」というコメントが付いている。 検証過程 筆頭株主は「上毛実業株式会社」 筆頭株主は、企業の有価証券報告書から確認することができる。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、開票システム「ムサシ」を展開す
期日前投票はブラックボックスで不正し放題? 各選管で厳重な対策【ファクトチェック】
2024年10月27日投開票の衆院選で「期日前投票は完全なブラックボックスで不正し放題」という言説が拡散しましたが、誤りです。各自治体の選挙管理委員会は投票箱に複数の錠をかけたうえで封印し、施錠された倉庫への運び込み・運び出しは複数職員で実施するなど厳重な不正対策を実施しています。 検証対象 衆院選投開票直後の2024年10月28日未明、「不正選挙と言えばムサシと思われがちですが、現在は『期日前投票の入れ替え』がメインです。やり方は、勝たせたい候補者票とゴッソリ入れ替えるという方法ですよ。期日前投票は完全なブラックボックスでセキュリティもガバガバなので、不正し放題なのです」という投稿が拡散した。 投稿に添付された動画には投票所のような場所の手前で、人がピンク色のカギを見せる様子が映っている。100万を超える閲覧があり、3100以上のリポストがついている。 この投稿に関連して「期日前投票はごっそりすげ替えられてしまうんですね」「知らずに期日前投票に行ってしまった」「期日前投票は身分証がなくても投票できる、不正ができちゃうんじゃ…」などの書き込みや動画が並ぶ(

JFCでは同様の言説をこれまでに検証してきた他、NHKは9月に検証記事「不正選挙? 選挙に関する“偽情報”を調べてみると…」を配信している。

この他にも、今回は衆院選と同時に実施される最高裁裁判官の国民審査について「本来◯か☓を記入する制度」という誤った情報が拡散した。「◯」を記入すると無効票となってしまうため、誤解が広がれば影響は大きい。

最高裁の国民審査は○か✖️を記入する制度? 〇を書くと無効票【ファクトチェック】
「最高裁判所裁判官国民審査は本来○か✖️を記入する制度」という言説が拡散しましたが、誤りです。辞めさせたい裁判官に「×」を記載し、なければ何も記載せずに投票する制度です。「×」以外の記号を書くと無効票になります。 検証対象 2024年10月15日、「最高裁判所裁判官国民審査は本来○か✖️を記入する制度」という言説が拡散した。 2024年10月25日現在、この投稿は9600件以上リポストされ、表示回数は300万回を超える。投稿について「今の制度はいびつ」「制度を変えるべき」というコメントの一方で「〇を書いたら無効票と聞いたのですが」という指摘もある。 検証過程 最高裁判所裁判官国民審査とは 既に任命されている最高裁判所の裁判官が、その職責にふさわしい者かどうかを国民が審査する制度。最高裁判所の裁判官は任命された後に初めて実施される衆議院選挙の投票日に国民審査を受ける。また、この審査の日から10年経過後の総選挙の投票日に次の審査を受ける(総務省「制度のポイントを知ろう!」)。 投票の方法は 総務省のサイトには投票の方法について「裁判官ごとに、辞め

NHKも注意を呼びかける記事を出した。

また、開票率0%で当選確実と報道する「ゼロ打ち」や「出口調査」などに関連して、マスコミもグルになった不正選挙だなどという言説も拡散した。これも毎回のことだ。

開票率0%で当選確実と報道するゼロ打ちは不正選挙? 取材と統計学に基づく精度の高い予測【ファクトチェック】
報道機関選挙のゼロ打ち(開票率0%で「当選確実」と報じること)について「ゼロ打ちすんな、選挙まで不正すんな」「#ゼロ打ちやめろ #不正選挙反対」といった言説が複数拡散しましたが誤りです。これはメディア各社が取材や統計学に基づいて非常に精度の高い予測を報じているものです。 検証対象 2024年10月27日に投開票される衆議院選挙について、報道機関の「ゼロ打ち」を投票が操作される不正選挙の証拠であるとするような言説が複数投稿されている(例1、例2、例3)。 検証過程 選挙において開票率が0%の段階でメディアが「当選確実」と報じることを「ゼロ打ち」「ゼロ票当打ち」などと呼ぶ。選挙報道では一般的な手法だ。 担当記者が選挙前から選挙区でどの候補者が優位に立っているかを各陣営などに取材。世論調査や期日前投票と当日の出口調査(投票所から出てきた人に誰に投票したか聞くこと)などで、その選挙区で誰がどれだけリードしているかを予測する。 逆転不可能なほどに差が開いている場合には、投票が締め切られた段階で、開票がまだ進んでいなくても「ゼロ打ち」をする。ゼロ打ちをするほどの
総選挙の出口調査でメディアは老人だけを選ぶ? サンプル調査のため全員には聞かない【ファクトチェック】
衆議院選挙で報道機関が実施した出口調査について「自分は調査されなかった、報道機関の出口調査は老人ばかり選んでいる」という言説が拡散しましたが、誤りです。出口調査はサンプル調査のため全員には聞かず、世代などによる偏りを避けるために万遍なく聞くように設計されています。 検証対象 2024年10月27日投開票の衆議院選挙で「期日前投票行ったら出口調査やってたんだけど老人は待たせてでもアンケ取ってたのにボクは自然にスルーされてまさかなと思ってしばらく観察してたらマジで老人“だけ”選んで声掛けてたw」という言説がX(旧Twitter)で拡散した。10月28日現在で、670万の閲覧があり、リポストは1万6000を超えている。 この投稿に「いつもそうだね」「老人の人口が多いですからね、この国は」などのコメントの他、「出口調査は各年齢層満遍なく取りますよ」といった書き込みがある。 検証過程 選挙報道に欠かせない出口調査 選挙報道では、選挙前から選挙区の情勢を細かく取材。さらに世論調査や期日前と当日の出口調査(投票所から出てきた人への聞き取り)で、誰がどれだけリード

選挙制度や選挙について報じるマスメディアへの批判は、根拠に基づいていれば正当なものだが、偽・誤情報で不当に貶めることは、民主主義を不安定にする。

特定の候補者への攻撃

すでに例に挙げた石破首相、有田氏、河野氏は、これまでにもネット上で度々、批判の対象となっており、注目度も高いために偽・誤情報の標的になりやすい。

千葉5区から立候補して比例区の南関東ブロックで復活当選した自民党の英利アルフィヤ氏も標的となった一人だ。2022年7月の参院選、2023年4月の衆院補選のときから「二重国籍だ」「中国のスパイだ」などの言説を繰り返し流されている。

今回の選挙では自身の公式ホームページで「誤情報、偽情報に対しての訂正情報」を公開した。しかし、「中国のスパイだ」などという主張は、それを主張する側に明確な根拠がなくとも、その主張を否定する証拠を出すことが難しい。いわゆる「悪魔の証明」だ。

外国人や移民に否定的な言説を拡散させている人たちの間では、訂正情報が公開された後も繰り返し、同様の情報が流れていた。

少なかったファクトチェック

大量に流れていた偽・誤情報に対して、ファクトチェックはどれだけなされていたか。

JFC以外では選挙関連のファクトチェック記事は非常に少なかった。国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の認証を日本で受けている他の2団体では、リトマス3本、InFact0本。大手メディアでは朝日新聞2本。共同通信1本だった。

その他では、個々の言説に関する検証ではなく、偽情報が拡散していることを指摘する内容の記事が目立った。このような記事は有権者への注意喚起として重要だ。しかし、すでに拡散している偽・誤情報の歯止めにはなりにくい。

筆者(古田)はBuzzFeed Japan創刊編集長だった2016年からファクトチェックを始め、2017年の総選挙後に日本におけるファクトチェックの普及の遅れを指摘するオピニオン記事「日本の問題は『フェイクニュース』の強さよりもそれと戦う力の弱さだ」を書いた。

残念ながら、状況は変わっていない。

AIや影響工作、脅威はさらに高まる

2024年は世界的な選挙イヤーで、特に生成AIによる混乱が懸念されていた。結論から言えば、日本においてAIによる偽情報はそれほど見られなかったし、拡散もしていなかった。

すでに国政選挙を終えたインドや台湾などでも同様に、懸念していたほどの影響はなかったという報告が6月に開かれたIFCNの年次総会「グローバルファクト」で語られていた。

AIは本物っぽいものを作るレベルには発達している。しかし、人が見たい・シェアしたいと思うものを作るレベルには達していない。どういう人がどういう情報に反応するのか。それを分析し、偽情報を作るのは人間のほうがまだ長けている。

しかし、これは2024年10月の日本での話だ。アメリカ大統領選ではすでに大量のAI生成の偽情報が見られており、技術の発展とともにその量は拡大するだろう。

他国からの影響工作の脅威も増している。Microsoftはアメリカ大統領選において、ロシア、イラン、中国が影響工作を拡大していると報告している

候補者の評判を落としたり、選挙のボイコットを呼びかけたりするなど、AIも活用して多様な手法で選挙に影響を与えようとしているという。

偽情報対策に組織を超えた協力を

日本において偽・誤情報を事実だと受け止めている人は、多数派ではないが一定数いるのは間違いない。だからこそ、根強く拡散する。数が増えてくれば、選挙結果にも影響を与えかねず、アメリカのように大統領選の結果を受け入れずに暴動が発生する危険性もある。

偽・誤情報はそれを作るだけでは広がらない。それを事実だと誤解して熱心に見たり、シェアしたりする人がいることで拡散していく。だからこそ、ファクトチェックだけが偽・誤情報対策ではない。メディアリテラシー教育や信頼性の高い情報発信も重要だ。

人は信頼できる情報が少ないときに、眼の前にある情報を品質問わずに受け入れがちになる。「情報の空白」と呼ばれる問題だ。JFCでは対策の一環として、選挙期間中に投票の判断に役立つサイトを紹介する解説記事を出した。

選挙で偽情報対策以上に重要なのは? 投票に役立つ正確で信頼性の高いサイト【解説】
偽情報・誤情報の対策は、ファクトチェックに限りません。重要なことは、正確で信頼性の高い情報を元に有権者が判断することです。総選挙の投開票日が10月27日に迫る中、誰に投票するかを決めるために役に立つ、信頼性の高い情報を提供するサイトを紹介します。 候補者アンケート一覧で個人と政党の政策チェック 新聞社やテレビ局などは、衆院選の候補者に様々なテーマについてのアンケートをとっています。特にNHKと朝日新聞の候補者アンケートは非常に見やすくまとめられています。 NHK衆院選2024候補者アンケート 衆議院選挙2024 候補者アンケート 衆院選立候補者へ質問と回答 NHK【NHK】NHKが独自で行った衆議院選挙候補者に政治とカネの問題や経済政策など、さまざまなテーマについてアンケートした調査結果です。衆議院議員選挙2024(公示日2024年10月15日/投票日10月27日)の情報はNHK「衆院選2024」特設サイトで。NHK選挙WEB日本放送協会 朝日・東大谷口研究室共同調査 https://digital.asahi.com/senkyo/shui

ファクトチェックだけで大量に拡散する偽・誤情報の対策をすることは不可能だ。しかし、実際に検証を続けることで、世の中にどのような情報が拡散し、それを検証するためにはどんなデータや手法やツールが必要かが明確になる。あらゆる対策の起点になりうる。

他国では組織や業界を超えて協力し、これらの対策を重層的に実施する体制を整えようとしている。日本もそういった事例に学ぶべきだ。

偽・誤情報はある候補者について「強い支持」をしている人よりも「やや支持する」という人により大きな影響を与えるという研究が有る(国際大グロコム「Innovation Nippon2019」)。無党派層が多い日本にとって、気になるデータだ。偽・誤情報がいまより力を持つ前に、対策が急がれる。

来年には早くも参院選が控えている。時間は限られている。

JFCの選挙関連・ファクトチェック記事一覧

自民党議員「石破茂って書きたくないんだが」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
自民党議員が「石破茂って書きたくないんだが」と発言したという言説が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのXアカウントで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。議員の発言ではありません。 検証対象 2024年10月31日、自民党議員が「石破茂って書きたくないんだが」と発言したという言説が拡散した。 2024年10月31日現在、この投稿は380件以上リポストされ、表示回数は4万回を超える。投稿について「高市早苗と書けばいい」「自分達で選んだのに」とコメントが付いている。 検証過程 検証対象の投稿に添付されたリンクはまとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」の記事だ。引用元は産経新聞「どうなる首相指名選挙 石破首相選出の流れも自民内造反の可能性に懸念」(2024年10月30日)と、掲示板サイト5ちゃんねるのスレッドになっている。 産経新聞の記事は、11月11日に召集予定の特別国会で行われる首相指名選挙で、石破首相選出の流れが強まったと報じている。自民内造反の可能性についても言及しているが、
テレ朝でAIが「間違いなく不正選挙」「若者の多くは参政党にしか興味がない」などと発言? 改変された動画【ファクトチェック】
2024年10月27日投開票の衆院選で当選した自民党の河野太郎氏について、テレビ朝日の選挙特番でAIが「間違いなく不正選挙」「若者の多くは参政党にしか興味がない」などと発言している動画が拡散しましたが、誤りです。AIへの質問と回答の音声を改変したもので、実際の放送とは異なります。 検証対象 2024年10月29日、テレビ朝日の選挙特番「選挙ステーション」でコメンテーター役を務めたAIが「人工知能が選挙解析 不正選挙 確定と判定した」「人工知能が選挙不正を発見 河野太郎の当選は不正です」などと発言する動画主張する動画が拡散した(例1、例2)。 これらの投稿には「デマ」「フェイク動画」などの指摘もある。 一方、「テレ朝の番組かな?主流メディアとしては、知られたくない回答内容だと思うが、良く放送したものと驚いた」「デジタル大臣のくせにAIにまで否定されてるの草超えて花畑」といったコメントが付いており、この動画を信じてしまう人が一定数いることを示している。 検証過程 動画に映る「AIコメンテーター」 拡散した投稿は複数あるが、いずれも同じ49秒間の動画が
萩生田光一氏は落選していた? 選挙区で当選【ファクトチェック】
2024年の衆議院議員選挙における萩生田光一氏の当選について「これはおかしいですね。速報では落選でしたから」との主張が拡散しましたが、誤りです。萩生田氏は選挙区で当選しました。また、「落選」と報じたメディアは確認できません。 検証対象 2024年10月27日、衆院選における萩生田光一氏の当選について、「これはおかしいですね。速報では落選でしたから」と、否定するような投稿がX(旧Twitter)で拡散した。 投稿は10月31日時点で1700件以上のリポストと61万件以上のインプレッションを獲得している。投稿には「確実に不正やってますね。」「もう不正は確実です」などのコメントが付く一方で、「その逆も見ましたよ。当確だったのが今日見たら落選してる方を」といった指摘もある。 検証過程 自民党元政調会長の萩生田光一氏は、自民党派閥の裏金事件に関わったとして公認を得られず、今回の衆院選に無所属で立候補した。 この選挙区では、萩生田氏と立憲民主党の元参院議員・有田芳生氏が接戦となったが、投開票日午後11時29分には朝日新聞が萩生田氏の当選確実を報じている(朝日新聞
期日前投票はブラックボックスで不正し放題? 各選管で厳重な対策【ファクトチェック】
2024年10月27日投開票の衆院選で「期日前投票は完全なブラックボックスで不正し放題」という言説が拡散しましたが、誤りです。各自治体の選挙管理委員会は投票箱に複数の錠をかけたうえで封印し、施錠された倉庫への運び込み・運び出しは複数職員で実施するなど厳重な不正対策を実施しています。 検証対象 衆院選投開票直後の2024年10月28日未明、「不正選挙と言えばムサシと思われがちですが、現在は『期日前投票の入れ替え』がメインです。やり方は、勝たせたい候補者票とゴッソリ入れ替えるという方法ですよ。期日前投票は完全なブラックボックスでセキュリティもガバガバなので、不正し放題なのです」という投稿が拡散した。 投稿に添付された動画には投票所のような場所の手前で、人がピンク色のカギを見せる様子が映っている。100万を超える閲覧があり、3100以上のリポストがついている。 この投稿に関連して「期日前投票はごっそりすげ替えられてしまうんですね」「知らずに期日前投票に行ってしまった」「期日前投票は身分証がなくても投票できる、不正ができちゃうんじゃ…」などの書き込みや動画が並ぶ(
総選挙の出口調査でメディアは老人だけを選ぶ? サンプル調査のため全員には聞かない【ファクトチェック】
衆議院選挙で報道機関が実施した出口調査について「自分は調査されなかった、報道機関の出口調査は老人ばかり選んでいる」という言説が拡散しましたが、誤りです。出口調査はサンプル調査のため全員には聞かず、世代などによる偏りを避けるために万遍なく聞くように設計されています。 検証対象 2024年10月27日投開票の衆議院選挙で「期日前投票行ったら出口調査やってたんだけど老人は待たせてでもアンケ取ってたのにボクは自然にスルーされてまさかなと思ってしばらく観察してたらマジで老人“だけ”選んで声掛けてたw」という言説がX(旧Twitter)で拡散した。10月28日現在で、670万の閲覧があり、リポストは1万6000を超えている。 この投稿に「いつもそうだね」「老人の人口が多いですからね、この国は」などのコメントの他、「出口調査は各年齢層満遍なく取りますよ」といった書き込みがある。 検証過程 選挙報道に欠かせない出口調査 選挙報道では、選挙前から選挙区の情勢を細かく取材。さらに世論調査や期日前と当日の出口調査(投票所から出てきた人への聞き取り)で、誰がどれだけリード
衆院選の自公過半数割れで石破内閣総辞職? まとめサイトの見出し【ファクトチェック】
2024年10月27日投開票の衆議院選挙で、自民党と公明党は選挙前の計279議席から64議席減らして215議席となりました。過半数割れが判明した直後、「石破 総辞職へ」という言説が拡散しましたが、誤りです。拡散させたまとめサイトは根拠を示しておらず、石破茂首相は、衆院選から一夜明けた28日午後、記者会見で「現下の厳しい課題に取り組んでいく。職責を果たしてまいりたい」と述べ、続投する意欲を明らかにしています。 検証対象 衆院選では自民党が大きく議席を減らした。公明党と合わせた与党が過半数を下回る状況が判明しつつあった10月27日の夜、「石破 総辞職へ」という言説がX(旧Twitter)で拡散した。28日には110万を超す閲覧があり、リポストも1700を超えた。 この投稿に対しては「石破さんお疲れ様」「やったね!!!それで次は誰がなるの」といったコメントのほか「まだそのような報道はなされていません。ミスリードを招く投稿はやめましょう」という指摘もある。 検証過程 まとめサイトによるもの 検証対象の投稿に添付されたリンクは「Tweeter Breakin
衆院選の投票所で用紙が発行されず比例区の投票ができなかった? 東京で報告事例はない【ファクトチェック】
2024年10月27日の衆議院選挙で、東京の投票所にある投票用紙交付機のシステム障害で投票用紙が出てこず、比例区投票ができなかったという言説が拡散しましたが、根拠不明です。選挙管理委員会にはトラブルの報告は入っていません。 検証対象 2024年10月27日、「東京に住んでいる友達が、投票に行ったら、小選挙区は投票できたけど、比例票はシステム障害で投票用紙が出てこないから、投票できずに帰ってきたとか…そんなことってありえるの?比例票が重要なんじゃないの?」という投稿が拡散した(現在投稿は非公開)。 投稿には多くのリプライが寄せられ、東京7区(渋谷区・港区)について、比例代表の投票用紙が発行されなかったという情報が出回った。東京都議2人がそのような事態は確認されていないと反応している(投稿2、投稿3)。 検証過程 東京都選管「そうした事実も報告もなかった」 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、拡散した投稿2と投稿3について東京都選挙管理委員会(都選管)に問い合わせた。 都選管によると、10月27日に東京7区を管轄する渋谷区と港区の各選挙管理委員
河野太郎氏が子宮頸がんワクチンは危険だと演説? 発言の切り取り【ファクトチェック】
自民党の河野太郎氏が、街頭演説で「子宮頸がんワクチンは危険だ」と話す動画が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。そのような発言はありますが、前後の文脈を無視して切り取ったものです。 検証対象 2024年10月21日、X(旧Twitter)で、「河野太郎、子宮頸がんワクチンの危険をうっかりバラした」という投稿が、河野氏の演説の動画と共に拡散した。10月25日現在、閲覧数は97万を超え、5600以上のリポストがある。 この投稿に対して、「子宮頸がん…といったつもりが、本当の事、言っちゃいましたね」「ワクチンで命落としたって言ってるよー」などのコメントのほか、「残念ながら日本では子宮頚ガンで命を落としている人がいます。と言おうとしたら、間違えワクチンと言ってしまったのか?」という指摘がある。 検証過程 河野氏の選挙演説の内容は 拡散した動画は8秒間で、河野氏が「今、日本で残念ながら子宮頸がんワクチンで命を落としている人がまだいます」と話す様子が映っている。拡散した投稿のリプライ欄には同じ演説を別の角度から撮影した2分55秒間の動画もある。 2分55秒
維新・馬場代表「企業団体献金を受け取らないのは日本維新の会だけ」? 共産党は受け取らず、綱領に明記【ファクトチェック】
衆議院選の演説で、日本維新の会の馬場伸幸代表が「企業団体献金を受け取っていないのは日本維新の会だけ」と発言しましたが、不正確です。日本共産党は綱領に「受け取らない」と明記し、企業・団体献金を受け取っていません。 検証対象 2024年10月11日、日本維新の会の馬場代表が「日本維新の会だけが企業・団体献金を受け取らないようにしています」と演説している動画をYouTubeの「維新の馬場ちゃんねる」で公開した。 「馬場代表頑張って下さい。」というコメントがある一方で「嘘ですね。政治資金パーティーやってるじゃん。政治資金収支報告書にも書いてあるけど」という指摘もある。 検証過程 日本共産党「企業・団体の献金を禁止」 日本共産党は企業・団体献金を受け取っていない。党員の党費や「しんぶん赤旗」の事業収入、寄付が主な収入だ(しんぶん赤旗「日本共産党の政治資金」)。 日本ファクトチェックセンター(JFC)が改めて共産党に話を聞いたところ、結党以来、受け取っておらず、2004年1月には党綱領を改定して「憲法と民主主義の分野で」という項目に「汚職・腐敗・利権の政治を
開票率0%で当選確実と報道するゼロ打ちは不正選挙? 取材と統計学に基づく精度の高い予測【ファクトチェック】
報道機関選挙のゼロ打ち(開票率0%で「当選確実」と報じること)について「ゼロ打ちすんな、選挙まで不正すんな」「#ゼロ打ちやめろ #不正選挙反対」といった言説が複数拡散しましたが誤りです。これはメディア各社が取材や統計学に基づいて非常に精度の高い予測を報じているものです。 検証対象 2024年10月27日に投開票される衆議院選挙について、報道機関の「ゼロ打ち」を投票が操作される不正選挙の証拠であるとするような言説が複数投稿されている(例1、例2、例3)。 検証過程 選挙において開票率が0%の段階でメディアが「当選確実」と報じることを「ゼロ打ち」「ゼロ票当打ち」などと呼ぶ。選挙報道では一般的な手法だ。 担当記者が選挙前から選挙区でどの候補者が優位に立っているかを各陣営などに取材。世論調査や期日前投票と当日の出口調査(投票所から出てきた人に誰に投票したか聞くこと)などで、その選挙区で誰がどれだけリードしているかを予測する。 逆転不可能なほどに差が開いている場合には、投票が締め切られた段階で、開票がまだ進んでいなくても「ゼロ打ち」をする。ゼロ打ちをするほどの
最高裁の国民審査は○か✖️を記入する制度? 〇を書くと無効票【ファクトチェック】
「最高裁判所裁判官国民審査は本来○か✖️を記入する制度」という言説が拡散しましたが、誤りです。辞めさせたい裁判官に「×」を記載し、なければ何も記載せずに投票する制度です。「×」以外の記号を書くと無効票になります。 検証対象 2024年10月15日、「最高裁判所裁判官国民審査は本来○か✖️を記入する制度」という言説が拡散した。 2024年10月25日現在、この投稿は9600件以上リポストされ、表示回数は300万回を超える。投稿について「今の制度はいびつ」「制度を変えるべき」というコメントの一方で「〇を書いたら無効票と聞いたのですが」という指摘もある。 検証過程 最高裁判所裁判官国民審査とは 既に任命されている最高裁判所の裁判官が、その職責にふさわしい者かどうかを国民が審査する制度。最高裁判所の裁判官は任命された後に初めて実施される衆議院選挙の投票日に国民審査を受ける。また、この審査の日から10年経過後の総選挙の投票日に次の審査を受ける(総務省「制度のポイントを知ろう!」)。 投票の方法は 総務省のサイトには投票の方法について「裁判官ごとに、辞め
開票機器大手「ムサシ」の筆頭株主は安倍晋三氏で票を操作? 選挙のたびに拡散する誤情報【ファクトチェック】
総選挙に関連して、「開票機器大手の筆頭株主は安倍晋三氏」「不正が行われやすい」という言説が拡散しましたが、誤りです。筆頭株主が安倍氏だったという事実はなく、また開票作業は不正防止のため、機械だけでなく、人の目でも監視しています。 検証対象 2024年10月24日、森友学園事件で有罪判決を受けた籠池泰典氏が「我が国の選挙制度について、本来、手で開票していましたが、いまではムサシという機械が使われています」「ムサシという機械の筆頭株主も、安倍晋三首相とも聞いております」「自動集票することによって、不正が行われやすい状況」と語る過去の動画が再拡散した。投稿には「#ムサシ」のハッシュタグがつけられていた。 2024年10月24日午後2時現在、この投稿は240件以上リポストされ、表示回数は8000件を超える。投稿について「日本も選挙は茶番」「これは大事な情報」というコメントが付いている。 検証過程 筆頭株主は「上毛実業株式会社」 筆頭株主は、企業の有価証券報告書から確認することができる。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、開票システム「ムサシ」を展開す
有田芳生氏が女性器を携帯で撮影? 何度も拡散したコラ画像【ファクトチェック】
2024年10月27日に投開票される衆院選で東京24区から立候補している有田芳生氏(立憲民主党)が女性の下半身を携帯電話で撮影しているような画像が拡散しましたが、偽物です。画像はこれまでに何度も拡散した合成写真で、捏造されたものです。 検証対象 2024年10月21日、「なんでこんなヨシフが優勢なのよ?萩生田さんてワンチャン総理大臣候補者だぞ!?」などという文言とともに、台の上で寝そべっている女性の下半身を有田氏が携帯電話で撮影しているような画像が投稿された。 画像には仰向けになりながらワンピースの裾をたくし上げる女性と、女性の足元側から携帯電話を手にする有田氏が写っている。また、背景に写っているホワイトボードには、「性器(世紀)のまん中3Dスキャン撮影会」「写真・動画撮影すべてOKです」「SNSへの投稿もご自由に 拡散希望」などと書かれている。 投稿には「はぁ気持ち悪い」「こんな奴を政治家にしちゃダメだろ」などのコメントが付く一方で、「コラ画像」との指摘もある。 検証過程 画像に写る女性は漫画家のろくでなし子氏 日本ファクトチェックセンター(J
民主党政権下では株価が7000円台だった?日経平均株価が8000円を切ったのは自民党政権【ファクトチェック】
「民主党政権下で株価が7000円台だった」との主張が拡散しましたが、誤りです。日経平均株価の終値が、バブル崩壊以降で最安値となる7054円98銭をつけたのは2009年3月10日で、この時は自民党政権です。民主党が政権を握っていた2009年9月16日〜2012年12月26日で株価が8000円を切ったことはありません。 検証対象 2024年10月15日、「民主党政権は失敗のデカさがレベチなんだよ。株価7000円台とか想像できるか?」などと主張する投稿がX(旧Twitter)で拡散した。 投稿は10月22日時点で1500件以上のリポストと80万件以上のインプレッションを獲得している。投稿には「民主党政権を知る世代の人たちはさすがに立憲民主には入れないよね?」「民主党政権時は就活100社200社って人もザラだったからねぇ」などのコメントが付く一方で、「株価7000円台になったのは2009年の3月。民主党政権になったのは9月から」といった指摘もある。 2024年10月21日には「リトマス」がこの言説を検証し、「誤り」と判定している。 検証過程 日経平均株価とは
山本太郎氏「在日コリアンの方々は何年も納税されてきた!参政権ぐらい与えてもいいだろう!」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
れいわ新選組・山本太郎代表が「在日コリアンの方々は何年も納税されてきた!参政権ぐらい与えてもいいだろう!」と発言したとする言説が拡散しましたが不正確です。山本氏の発言を改変しています。 検証対象 2024年10月17日、「【悲報】山本太郎『在日コリアンの方々は何年も納税されてきた!参政権ぐらい与えてもいいだろう!』」という言説が拡散した。 2024年10月17日現在、投稿は680件以上リポストされ、表示回数は5万件を超える。投稿について「納税と参政権は全く関係ない」「絶対に反対」というコメントがついている。 検証過程 投稿には掲示板サイト「5ちゃんねる」のスレッドを紹介するまとめサイト「おーるじゃんる」のリンクが添付されている。サイトには山本氏の発言について「ソースは今やってるLIVE配信」と書かれている。 書き込みの日付と、添付されている画像かられいわ新選組のYouTubeチャンネルを確認すると「【LIVE】山本太郎代表 街宣! #衆院選2024 #比例はれいわ 2024年10月16日 千葉県・津田沼駅」が一致する。 この動画では「外国人参政権は
国民民主党は強制的親子別姓を推奨? 公約は選択的夫婦別姓【ファクトチェック】
2024年の衆議院選挙をめぐり、国民民主党が「強制的親子別姓を推奨」というような言説が拡散していますが、誤りです。国民民主党の公約は選択的夫婦別姓の導入で、「強制的親子別姓」とは異なります。 検証対象 2024年10月15日、「玉木さんの国民(民主党)は強制的親子別姓を推奨よね?」という言説が投稿された。 2024年10月17日現在、この投稿は80件以上リポストされ、表示回数は1.5万件を超える。投稿について「個人的には反対してほしい」「その一件で国民民主党 の選択肢はなくなりました」というコメントの一方で、「デマ」という指摘もある。 「強制的親子別姓」というような言説は、選択的夫婦別姓を批判するものとして、これ以外にも多数拡散している(例1、例2)。 検証過程 選択的夫婦別姓制度は「強制」ではない 一般に「選択的夫婦別姓制度」と呼ばれるが、民法等の法律では、「姓」や「名字」のことを「氏(うじ)」と呼んでいることから、法務省は「選択的夫婦別氏制度」と呼んでいる。選択的夫婦別氏制度とは、
石破首相「物価高に政府も苦しいんです」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
石破茂首相が「物価高に国民は苦しんでいるが、政府も苦しいんです」と発言したかのような言説が拡散しましたが、誤りです。まとめサイトによるもので、本人の発言ではありません。 検証対象 2024年10月14日、石破首相が「物価高に国民は苦しんでいるが、政府も苦しいんです」と発言したかのような言説が拡散した。 10月17日現在、この投稿は6700件以上リポストされ、表示回数は390万回を超える。投稿について「その苦しいはずの政府が国民を締めつけ外人や外国に金をばらまくのはどういうことなんでしょうね?」「岸田が良い顔して外国に金をばら撒いた結果だろ?そう思いますね」などのコメントがついている。 検証過程 まとめサイトの引用 検証対象の投稿に添付されたリンクはまとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」の記事だ。引用元は産経新聞「石破茂首相、消費増税は「当面は考えない」 NHK番組で説明、定額減税も」になっている。 この10月13日配信の産経の記事は、与野党の9党首が出演した10月13日のNHKの番組「日曜討論」について報じている。
石破首相が最初に訪問した外国は中国?ASEAN首脳会議でラオスを訪問【ファクトチェック】
「石破は総理になり、最初に訪問したのは中国」という言説が拡散しましたが、誤りです。石破茂首相が就任後に初めて訪れた海外は、中国ではなくラオスです。東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議に出席しました。 検証対象 2024年10月12日、「石破は総理になり、最初に訪問したのは中国、慣例として、総理となり第一に訪問する国は、総理が一番親密にしたい国。あり得ない訪問国であり、訪中しても鬼畜習近平にも会えず、適当に待遇され、帰国」というX(旧Twitter)の投稿が拡散した。 この投稿は、10月15日現在18万を超える閲覧数と2300以上のリポストがある。「石破の外交センスの無さが炸裂してしまったようです」「親中、親韓総裁だから驚きはないけど、同盟国である米国から見たら面白くないと思った」といったコメントのほか「ラオスで李強首相と首脳会談したんでしょう」と中国訪問を誤りだと指摘する書き込みがついている。 検証過程 石破首相は10月10日、就任後初の外遊でラオスを訪問し、午前11時40分(日本時間午後1時40分)から約1時間、首都ビエンチャンで開催された
日本赤十字社が「レプリコンワクチン接種後の献血をお控えいただく場合がある」と広報? 接種後48時間で献血できる【ファクトチェック】
元総務大臣で立憲民主党の原口一博氏が「日本赤十字社はレプリコンワクチン接種後の献血をお控えいただく場合があることを広報」と投稿しましたが、ミスリードで不正確です。日赤は他のワクチンと同様に採血制限の時間を設けているだけで、レプリコンは接種後48時間で献血できます。 検証対象 2024年10月5日、原口氏が「日本赤十字社はレプリコンワクチン接種後の献血をお控えいただく場合があることを広報(2023.12.22) 同社はレプリコンが今までのワクチンと違うことを認識している」とX(旧Twitter)に投稿した。 投稿には原口氏が語る動画が添付されている。その中で原口氏はワクチン、特にレプリコンワクチンの危険性を主張しており、採血制限にも触れている。 この投稿には10月11日までに33万以上の閲覧と600を超すリポストがある。「大切な情報ですね」などとレプリコンワクチンの危険性を懸念する投稿がある一方で、「どんなワクチンでも接種後一定期間献血できないって今まで通りだろ」「国会議員が間違った情報を流すのはどうなんですかね」といった批判的なコメントもついている。
有田芳生氏が小学生への性的行為を認める発言? 投稿画像は捏造【ファクトチェック】
立憲民主党の有田芳生氏が小学生への性的行為を認める投稿をしたような画像が拡散しましたが、捏造によるもので誤りです。有田氏がそのような投稿をした事実はありません。 検証対象 2024年10月8日、有田氏のX(旧Twitter)アカウントが「もちろん同意が必要だけど/年齢なんてのは人が勝手に決めたただの概念であって/女子小学生でも乳がぷっくり出始めればもうご賞味あれ!って/合図なんじゃないかな」と投稿したかのような画像を添付したXの投稿が拡散した。 この投稿は2024年10月10日現在、96万回以上の閲覧回数と900回以上のリポストを獲得している。 検証過程 画像は2024年1月末には存在 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、拡散した画像を検索した。Google画像検索の結果、2024年1月30日の画像や2024年6月29日の画像などが「完全に一致した画像」としてヒットした。少なくとも、2024年1月末には拡散した画像が存在したことがわかる。 ただし、TinEyeでは該当の画像はヒットせず、Factcheck exploreでも最も古い画像がい
萩生田光一氏「裏金と統一教会ごときで何回処分する気だ!」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
自民党の元政務調査会長、萩生田光一氏が「裏金と統一教会ごときで何回処分する気だ!」と発言したという言説が拡散しましたが誤りです。まとめサイトによるもので、本人の発言ではありません。 検証対象 2024年10月7日、「萩生田光一、ブチギレか『裏金と統一教会ごときで何回処分する気だ!!😡』」という言説が拡散した。 2024年10月11日現在、この投稿は4400件以上リポストされ、表示回数は150万回を超える。投稿について「大問題」「そう思いますね」というコメントの一方で、「そんなこと言ってない」という指摘もある。 検証過程 匿名掲示板のタイトルから 検証対象の投稿に添付されたリンクは「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」というまとめサイトの記事だ。記事は東京新聞の記事「萩生田光一氏の非公認は『当然』だけど…『石破茂首相も残念』 非公認3氏の地元は怒り、不信、モヤモヤ」を引用元としている。 引用された記事は、自民党の裏金事件を巡り石破茂首相の衆院選対応が7日の衆院本会議で交わされたこと、旧安倍派の萩生田光一元政調会長をはじめ下村博
山本太郎氏「外人が日本の土地を買う事には制限をつけるべき」に自民党が「資本主義に反するのでは?」と反論? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
れいわ新選組・山本太郎代表の「外人が日本の土地を買う事には制限をつけるべき」という発言に自民党が「資本主義に反するのでは?」と反論したという言説が拡散しましたが、誤りです。投稿はまとめサイトによるもので、自民党からの発信ではありません。また、山本氏の発言も改変されています。 検証対象 2024年10月8日、山本氏の「外人が日本の土地を買う事には制限をつけるべき」という発言に自民党が「資本主義に反するのでは?」と反論したとする言説が拡散した。 2024年10月11日現在、この投稿は6000件以上リポストされ表示回数は223万件を超える。投稿について「山本太郎のほうが正論」「自民党大丈夫か」というコメントの一方で「5chのタイトル」という指摘もある。 検証過程 投稿はまとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」による投稿だ。リンク先を確認すると山本氏が発言する動画を切り抜いたXの投稿を引用している。 動画は2023年2月にれいわ新選組の公式YouTubeチャンネルが投稿した「れいわ政治的のど自慢大会2023 埼玉県・川口!」の一
市民運動家・菱山南帆子氏が共産・立憲民主批判? 偽アカウントのなりすましに注意
市民運動家・菱山南帆子氏の名前を騙って「共産党は候補おろせ56すぞ」「連続落選爺72歳立憲有田ももっと謙虚に感謝しろ」などと投稿するアカウントが出現しましたが、なりすましです。 検証対象 2024年10月9日、菱山氏本人のX(旧Twitter)への投稿に、菱山氏と同じアイコンを使用したアカウントが「共産党は候補おろせ56すぞ」「連続落選爺72歳立憲有田ももっと謙虚に感謝しろ」とリプライ形式で投稿した。 2024年10月10日現在、投稿の表示回数は9.3万回を超える。投稿には「え。これなりすましなのか」といったコメントがついている。 検証過程 IDやフォロワー数に注目 なりすましと本人のアカウントを比較すると、アイコンは同じだが、ヘッダーやプロフィール欄が異なる。偽アカウントのIDはアルファベットと数字の羅列だ。 アカウント名には「共産党は候補おろせ56すぞ」「連続落選爺72歳立憲有田ももっと謙虚に感謝しろ」といった文言が追加されている。また、フォロワー数も少なく、Xの登録日は2024年10月となっており、作成して間もないアカウントということが分か
立憲民主党の公約「消費税還付」はレシートを集めて確定申告が必要? 税額控除と給付で還付【ファクトチェック】
「立憲民主党の公約『消費税還付』では、レシートを集めて確定申告しなければならない」という言説が拡散しましたが、誤りです。立憲民主党は税額控除と給付を組み合わせた制度の導入を主張しており、レシートを集めて確定申告する必要はありません。 検証対象 2024年10月6日、「消費税還付だと、どれだけ消費税を支払ったかレシート集めて確定申告しなければならない。そんな面倒なことせずに、消費税率下げればいいだけ」という投稿が拡散した。 2024年10月10日現在、この投稿は38万回以上の閲覧回数と3200件以上のリポストがある。この投稿に「還付するくらいならば、初めから取らなければ良い」「国民に手間や手数を掛けさせること自体愚策」といったコメントや「立憲民主党の提出した法案では統計を元に算出するので『レシート集めて確定申告』はデマ」という指摘もある。 検証過程 この投稿には、10月6日の共同通信の記事「中低所得者に消費税還付 立民の衆院選公約、政治改革徹底」へのリンクがある。立憲民主党が衆議院選の公約として「消費税は軽減税率制度に代えて、中低所得者が負担する一部を税
石破首相が「私は今、権力の頂点の座に君臨している」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
石破茂首相が「私は今、権力の頂点の座に君臨している」と発言したかのような記事が拡散しましたが、誤りです。これはまとめサイトのスレッドのタイトルで、引用元の記事に同様の発言はありません。 検証対象 2024年10月8日、X(旧Twitter)で「石破首相 『私は今、権力の頂点の座に君臨している』」という投稿があった。 投稿は10月10日時点で2万件以上のインプレッションを獲得している。 投稿したアカウントは「ツイッター速報~BreakingNews」だ。この投稿には「明智光秀は三日天下 石破茂は三十日天下」「神輿にのってるだけだよぉ、わかるかなぁ?」などのコメントが寄せられる一方で、「こういう見出しで低脳な馬鹿を釣るなよ。やってることが下衆な週刊誌だって」などの指摘の声もある。 検証過程 投稿はまとめサイト 検証対象の投稿に添付されたリンクは「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」というまとめサイトの記事だ。記事には匿名掲示板「5ちゃんねる」のスレッド「石破首相 『私は今、権力の頂点の座に君臨している』 」と、FNNプライムオンラ
石破首相「裏金議員が気にいらないというのであれば自民党に投票しなければいいのではないか」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】
石破茂首相が「裏金議員が気にいらないというのであれば自民党に投票しなければいいのではないか」と発言したかのような言説が拡散しましたが、誤りです。まとめサイトによるもので、本人の発言ではありません。 検証対象 2024年10月4日、石破首相が「裏金議員が気にいらないというのであれば自民党に投票しなければいいのではないか」と発言したかのような言説が拡散した。 10月7日現在、この投稿は1400件以上リポストされ、表示回数は13万件を超える。投稿について「清々しい」「その通りに致します!」とコメントがつく一方で「石破総理はそんな発言してない」という指摘もある。 検証過程 投稿はまとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」による投稿だ。リンク先を確認すると日刊ゲンダイがYahoo! ニュースに10月3日に配信した「自民裏金問題『うやむやになってしまう』…刑事告発した上脇博之教授が石破新首相に苦言」という記事を引用元にしている。 記事は、裏金問題に関連する議員の公認について、石破首相が総裁選中は「(候補としてふさわしいか)選挙対策委
石破首相「中国の領空侵犯は即射撃を検討」などと発言? 表現を改変【ファクトチェック】
2024年10月1日に首相となった石破茂氏が「中国の領空侵犯は即射撃を検討。今できないから中国が調子乗ってる」と発言したとする投稿が拡散しましたが、不正確です。引用元の記事にある発言を改変しています。 検証対象 2024年9月28日、「石破茂、さっそく終わる。『中国の領空侵犯は即射撃を検討。今できないから中国が調子乗ってる』」という言説が拡散した。 2024年10月4日現在、この投稿は1800件以上リポストされ、表示回数は70万件を超える。投稿について「本当にやるなら、評価する」「対中国強硬発言」というコメントの一方で、「デマ」という指摘もある。 検証過程 投稿はまとめサイト「ツイッター速報」による投稿だ。リンク先を確認すると時事通信が9月22日にYahoo! ニュースに投稿した「領空侵犯に『危害射撃』検討を 自民・石破氏が提起」という記事を引用している。 記事によると、石破氏は9月22日、フジテレビの番組で「警察権で対応しているので、(正当防衛や緊急避難の場合でなければ)危害射撃ができない。中国は知っているから抑止力が効かない」と発言。相手を標的に

JFCの選挙関連・解説記事一覧

選挙で偽情報対策以上に重要なのは? 投票に役立つ正確で信頼性の高いサイト【解説】
偽情報・誤情報の対策は、ファクトチェックに限りません。重要なことは、正確で信頼性の高い情報を元に有権者が判断することです。総選挙の投開票日が10月27日に迫る中、誰に投票するかを決めるために役に立つ、信頼性の高い情報を提供するサイトを紹介します。 候補者アンケート一覧で個人と政党の政策チェック 新聞社やテレビ局などは、衆院選の候補者に様々なテーマについてのアンケートをとっています。特にNHKと朝日新聞の候補者アンケートは非常に見やすくまとめられています。 NHK衆院選2024候補者アンケート 衆議院選挙2024 候補者アンケート 衆院選立候補者へ質問と回答 NHK【NHK】NHKが独自で行った衆議院選挙候補者に政治とカネの問題や経済政策など、さまざまなテーマについてアンケートした調査結果です。衆議院議員選挙2024(公示日2024年10月15日/投票日10月27日)の情報はNHK「衆院選2024」特設サイトで。NHK選挙WEB日本放送協会 朝日・東大谷口研究室共同調査 https://digital.asahi.com/senkyo/shui
日本の党首討論がライブ検証されないのはなぜ 選挙に関する日米台のファクトチェック比較【解説】
総選挙が始まりました。10月15日の公示から27日の投開票日まで、わずか12日間の短期決戦です。各メディアなどで党首討論が相次いで実施されましたが、アメリカなどで見られる発言のライブ検証はありませんでした。日本と他国のファクトチェックや偽・誤情報の傾向の違いを解説します。 米大統領選のファクトチェック 民主党のカマラ・ハリス副大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領の2候補が争うアメリカ大統領選。候補者が直接対決する恒例のテレビ討論会は9月10日夜(現地時間)に実施され、大手メディアやファクトチェック機関が2人の発言を細かく検証した。いくつかの事例を並べてみる。 Fact-checking Kamala Harris and Donald Trump’s 1st presidential debate (ABC) Fact-checking the presidential debate between Trump and Harris (NBC) Fact checking debate claims from Trump and Harris’ 202
総選挙で拡散した/する偽・誤情報への「情報のワクチン」【解説】
総選挙がいよいよ始まります。すでに政党や候補者に関する偽・誤情報が次々と拡散し、日本ファクトチェックセンター(JFC)は連日検証記事を出しています。すでに拡散したものだけでなく、これから拡散が予想される偽・誤情報も事前にまとめて解説します。 「情報のワクチン」を打つプレバンキング 事前に拡散が予想される偽・誤情報について解説し、人が実際にデマや不確かな情報に接した際の抵抗力を高める手法を「プレバンキング」と言う。 ウイルスに感染しないように事前に備える「情報のワクチン」とも言える手法で、事後的に情報を検証するファクトチェックよりも効果が高いという指摘もある。 筆者(古田)が「選挙で拡散する偽・誤情報、AIの影響は? 標的は候補者だけでなく民主主義」で解説したように、選挙に関する偽・誤情報には世界共通とも言える一定のパターンがある。 今回の記事ではこの類型に基づいて、すでに拡散したものやこれから拡散するものを具体的に紹介・検証し、プレバンキング記事とする。 政党・候補者を直接の標的とした情報 自分が支持する政党や候補を有利にするため、逆に対立する陣営
選挙で拡散する偽・誤情報、AIの影響は? 標的は候補者だけでなく民主主義【解説】
石破茂首相は2024年10月に解散総選挙を実施すると宣言しました。選挙は偽・誤情報の標的になります。2024年は世界中で国政選挙が実施され、生成AIによる混乱も指摘されてきました。実際にどのようなデマや噂が拡散するのでしょうか。国内外の状況について解説します。 選挙で拡散しがちな偽・誤情報の種類 選挙で拡散する偽・誤情報には世界的に共通する傾向がある。以下の表に日本で実際に拡散し、日本ファクトチェックセンター(JFC)で検証をしたものを中心に分類した。 拡散する時期を「投開票日前」「投開票日」「選挙後」に、標的となる対象を「政党・候補者」「選挙制度」「メディア」に分けた。標的と時期ごとに、これまでにJFCが実際に検証した情報をまとめている。 政党・候補者に関する偽・誤情報 候補者や政党を貶めたり、持ち上げたりする偽・誤情報が拡散する理由の一つは、自分が支持する陣営を有利にしたいという明確な意図だ。間違った情報を意図的に流して政治的な利益を得ようとする「故意犯」と言える。 ただ、これだけが拡散の理由ではない。 自分が嫌いな候補にとって不利な情報であれ
自民党総裁選で偽・誤情報の標的になっているのは誰か その理由は【解説】
自民党総裁選をめぐって、偽・誤情報が拡散しています。候補者の誰が、なぜ標的になるのか。偽・誤情報の作成者・拡散者の特徴や動機について、日本ファクトチェックセンター(JFC)がこれまで公開した検証記事やSNS、検索データなどをもとに解説します。 最初に標的となったのは 9月12日告示、27日開票の自民党総裁選への立候補をいち早く表明したのは小林鷹之議員で、8月19日だった。その後、立て続けに小林氏に関する偽・誤情報が拡散し、JFCでも2本の検証記事を出し、いずれも「誤り」と判定した。 小林鷹之議員の会見後、メディア一同が拍手で送り出す? 同席した議員から【ファクトチェック】2024年の自民党総裁選に立候補を表明した小林鷹之議員の会見で「メディア一同が拍手で送り出す」という言説が拡散しましたが、誤りです。拍手したのは同席した国会議員で、取材に来た記者たちではありません。 検証対象 2024年8月19日、自民党総裁選への立候補を表明した小林氏の会見について「政治家の会見終了後の退出をメディア一同が拍手で送り出すシーンは初めて見ました」という動画付き言説が拡散した。

(トップ画像はAIで生成しました)

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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理論から実践まで学べるJFCファクチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験
JFCファクトチェック講師養成講座を開講 お申し込みはこちら
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックや関連するメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を開始します。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 開講は10月26日で、お申し込みはこちら。1回の受講で修了となり、今後の開講予定はウェブサイトやニュースレターなどで公開します。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にどのような知識と行動が偽・誤情報対策として有効かを分析し、誰でも無料で視聴できる「ファクトチェック講座」を2024年7月に公開しまし

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総選挙後の偽・誤情報/米大統領選 終盤/JFCがデジタルアーカイブ学会賞 授賞

総選挙後の偽・誤情報/米大統領選 終盤/JFCがデジタルアーカイブ学会賞 授賞

総選挙は投開票が終わっても、偽・誤情報が止まるわけではありません。政党や当選者、選挙制度そのものに対する偽・誤情報が拡散し続けました。11月5日が投票期日のアメリカ大統領選は日本以上にAI生成含む大量の偽情報が広がっています。そんな中、日本ファクトチェックセンター(JFC)は、11月1日に「デジタルアーカイブ学会賞」を授賞しました。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 今週の解説 総選挙ファクトチェックまとめ 偽・誤情報は何がどう広がった 総選挙が終わりました。どんな偽情報・誤情報が拡散し、どんな影響があったのか。来年の参院選に備えるためにも、振り返ります。 総選挙ファクトチェックまとめ 偽・誤情報は何がどう広がった 【解説】総選挙が終わりました。どんな偽情報・誤情報が拡散し、どんな影響があったのか。来年の参院選に備えるためにも、振り返ります。 選挙で拡散しがちな偽・誤情報の類型

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自民党議員「石破茂って書きたくないんだが」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

自民党議員「石破茂って書きたくないんだが」と発言? まとめサイトによるもの【ファクトチェック】

自民党議員が「石破茂って書きたくないんだが」と発言したという言説が拡散しましたが、誤りです。拡散した投稿はまとめサイトのXアカウントで、見出しは掲示板サイトのスレッドタイトルを引用しているだけです。議員の発言ではありません。 検証対象 2024年10月31日、自民党議員が「石破茂って書きたくないんだが」と発言したという言説が拡散した。 2024年10月31日現在、この投稿は380件以上リポストされ、表示回数は4万回を超える。投稿について「高市早苗と書けばいい」「自分達で選んだのに」とコメントが付いている。 検証過程 検証対象の投稿に添付されたリンクはまとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」の記事だ。引用元は産経新聞「どうなる首相指名選挙 石破首相選出の流れも自民内造反の可能性に懸念」(2024年10月30日)と、掲示板サイト5ちゃんねるのスレッドになっている。 産経新聞の記事は、11月11日に召集予定の特別国会で行われる首相指名選挙で、石破首相選出の流れが強まったと報じている。自民内造反の可能性についても言及しているが、

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日本ファクトチェックセンターが「デジタルアーカイブ学会賞」を授賞

日本ファクトチェックセンターが「デジタルアーカイブ学会賞」を授賞

日本ファクトチェックセンター(JFC)は11月1日、デジタルアーカイブ学会賞(実践賞)を授賞しました。検証においてデジタルアーカイブされた1次情報を活用し、また、JFCのサイト自体が検証過程で活用した証拠へのリンクを多用し、アーカイブ性が高いと評価されました。 デジタルアーカイブ学会とは デジタルアーカイブとは、文書や画像、映像、音声などをデジタル形式で、アクセス可能な形で保存すること。過去の記録をデジタル化して保管するだけでなく、新たな技術によってその活用の幅を広げるなど、他分野で議論されている。 デジタルアーカイブ学会(吉見俊哉会長)は「日本のデジタル知識基盤構築」を目的とし、関係者の交流や知見の共有、人材の育成などに取り組んでいる(デジタルアーカイブ学会について)。 毎年開催される研究大会において、功労賞・実践賞・学術賞の3部門で、デジタルアーカイブに関連する団体やプロジェクト、論文や著書などを表彰している。 JFCの授賞理由 JFCの授賞理由は、以下の通り。 (以下、受賞理由) 日本ファクトチェックセンターは、ファクトチェックの実践とメデ

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日本ファクトチェックセンターのエディターなど募集【採用】

日本ファクトチェックセンターのエディターなど募集【採用】

日本ファクトチェックセンター(JFC)は業務拡大により、エディターやソーシャルメディア担当などを募集しております。リモートワークや勤務時間など様々な働き方を想定しています。 待遇はスキルや経験、勤務条件に応じます。年功序列や新卒一括採用などはありません。その人の能力に応じて、裁量がある仕事をお任せします。ファクトチェック、メディアリテラシー教育、ソーシャルメディアの分析、海外の協力団体とのコラボなど、興味がある方は、ぜひご応募ください! エディター/ファクトチェッカー 業務内容 編集部でファクトチェックを中心にコンテンツの編集や企画を担当します。自由な勤務形態を推奨しており、時間や勤務地など応相談です。 応募要件 * 必須 * 記者、編集者などメディア関係や事実検証に関わる職務経験 * JFCファクトチェックガイドラインや指針などの遵守 * チームワーク * 憎しみを原動力にしないこと * 歓迎 * デジタルメディアの経験がある方は、特に重視します * ファクトチェックや調査報道の経験 * データ収集・

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