古田大輔(Daisuke Furuta)

ジャーナリスト/ファクトチェッカー 朝日新聞記者、BuzzFeed Japan創刊編集長を経て独立。2020-2022年Google News Labティーチングフェロー。2022年9月に日本ファクトチェックセンター編集長に就任。その他、デジタル・ジャーナリスト育成機構事務局長など。ニューヨーク市立大院News Innovation and Leadership 2021修了。

Tokyo
古田大輔(Daisuke Furuta)
日本ファクトチェックセンターがAI活用 LINEでユーザーからの質問に答えます

その他

日本ファクトチェックセンターがAI活用 LINEでユーザーからの質問に答えます

日本ファクトチェックセンター(JFC)は12月8日、AIを活用してファクトチェックをLINEユーザーに届けるサービスを開始します。サンフランシスコに本拠を置くグローバルな非営利組織Meedanの技術を活用し、AIによるLINEボットがユーザーからの質問にJFCのファクトチェック記事で回答します。 AIがJFCデータベースを活用して回答 JFCは昨年10月の設立からこれまでに約200本のファクトチェック記事や動画を公開しており、現在は毎月約20本の記事と4本のショート動画をウェブサイト、YouTube、各種ソーシャルメディアなどで配信しています。 今回、公開するLINEボットはJFCのデータベースと接続されています。LINEアプリで日本ファクトチェックセンターを友達に追加(URLとQRコードは記事の下部)し、質問すると、AIが関係しそうな記事を自動的に返信します。 ユーザーが寄せた質問をもとに情報の検証も また、データベースの中に関連しそうな記事がない場合には、その質問はJFCに届けられます。 この機能によって、JFCは拡散している誤情報/偽情報をLI

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
イスラエル・パレスチナ情勢をめぐり大量の誤情報/偽情報 検証方法を解説【ファクトチェックまとめ】

国際

イスラエル・パレスチナ情勢をめぐり大量の誤情報/偽情報 検証方法を解説【ファクトチェックまとめ】

イスラエル・パレスチナの武力衝突に関連し、大量の誤情報/偽情報が世界的に拡散しています。互いの憎悪を煽るような投稿もあり、混乱に拍車をかけています。日本ファクトチェックセンター(JFC)がこれまでに検証した事例とともに、対応策をまとめました。 ※新たな検証があれば記事を更新します(最終更新2023年11月17日)。 対立煽る誤情報/偽情報 間違った情報に関して、一般的には「フェイクニュース」や「デマ」という言葉が使われることが多いですが、その内実は複雑です。 真偽が不確かな情報で社会が混乱する「情報汚染」を情報の意図と正誤で3つに分類すると、図のようになります。「誤情報:意図的ではないが誤っている」「悪意ある情報:意図的だが誤っていない」「偽情報:意図的に誤っている」の3つです。 ロシアとウクライナの戦争がそうであるように、イスラエル・パレスチナをめぐっても、大量の誤情報/偽情報/悪意ある情報が拡散しています。情報汚染は対立を煽り、混乱を悪化させます。発信元の確認や他の情報源との比較をするようにしましょう。 誤情報/偽情報の検証方法 大量に流れる情

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
(動画)ハマスがイスラエルにパラシュートで侵入した?【ファクトチェック】

国際

(動画)ハマスがイスラエルにパラシュートで侵入した?【ファクトチェック】

2023年10月7日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが、イスラエルに大規模攻撃を仕掛けて軍事衝突が発生。これに関して、「ハマスがイスラエルにパラシュートで侵入した映像」と主張する動画が世界中で拡散していますが、誤りです。動画は別の日時、場所で撮影されたもので2023年10月の戦闘とは無関係です。 検証対象 2023年10月の戦闘開始の直後から、SNS上で、パラシュートに乗った人が次々に街中に降下する映像が拡散( 例1、例2,)。「ハマスがイスラエルにパラシュートで降下」などのコメントがついている。 例1の動画はインドのファクトチェックメディアBOOMが検証。動画はエジプトで撮影されたもので、「イスラエルやハマスとは無関係で誤りだ」と判定している。例2の動画はハフポスト日本版が検証し、イスラエルとハマスの戦闘開始よりも前に投稿されていることから誤りと判定している。 検証過程 例1の動画に映っている建物に掲げられている文字をGoogleレンズで翻訳すると、アラビア語で「陸軍大学」と書かれていることがわかる。 ネット上では、この動

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
福島第一原発の処理水と汚染水の違いは何?海洋放出は危険?【ファクトチェックまとめ】

原発・放射能

福島第一原発の処理水と汚染水の違いは何?海洋放出は危険?【ファクトチェックまとめ】

日本政府が夏ごろに始める方針を示している福島第一原発の処理水の海洋放出に関して、国内外で不確かな情報が拡散しています。処理水とは何か。環境への影響は。ファクトチェックのポイントをまとめました。 ※新たな誤情報の検証を更新していきます(最終更新2023年12月13日)。 参照資料は、各省庁や東京電力から、また、2023年7月4日に公開された国際原子力機関(IAEA)の「福島第一原子力発電所ALPS処理水の安全審査に関する包括的報告書(以下、IAEA報告書)」などです。 処理水か汚染水か 2011年3月11日の東日本大震災による津波で、福島第一原発ではウラン燃料を冷やすことができなくなる事故が起きました。燃料は格納容器内で溶け、今も温度を下げるための冷却水をかけ続けています。使用された水は放射性物質で汚染され、雨水などと混ざって毎日約90トンずつ増えています。これを「汚染水」と呼びます。 汚染水は原発の施設内に並ぶ1000基を超える巨大タンクに貯められますが、2024年の前半にはタンク容量に限界が来る見込みです。日本政府は、トリチウムを除く62種類の放射性物

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCリテラシー講座5:ファクトチェックとリテラシーは両輪

講座

JFCリテラシー講座5:ファクトチェックとリテラシーは両輪

日本ファクトチェックセンター(JFC)は2023年5月に国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)に加盟し、6月に韓国ソウルで開催された年に1度の会合「Global Fact」に参加しました。 世界中から500人を超えるファクトチェッカーや研究者らが集まり、3日間で60 を超えるセッションで最新の事例や課題について議論しました。そのうち4つは直接的にメディアリテラシーに関するもので、リテラシー教育の重要性に一部でも触れたセッションを入れるとかなりの数になります。 ファクトチェッカーはリテラシー教育の重要性に気づき、リテラシー教育者はファクトチェックの技術を取り入れていく。相互の乗り入れと協力が進んでいます。 JFCリテラシー講座の最終回はオンラインですぐに学ぶことができるサイトや、日本や海外の取り組みなどを紹介します(この記事では今後も新しい事例をアップデートしていく予定です)。 国内での取り組み 専門家による具体的な解説 Yahoo!ニュースでは、フェイクニュースや選挙に関する誤情報について学ぶ「フェイクニュースへの備え~デマや不確かな情報に惑わ

By 宮本聖二, 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCリテラシー講座4: 健全な吟味に活用するためのリテラシー教育

講座

JFCリテラシー講座4: 健全な吟味に活用するためのリテラシー教育

前回のJFCリテラシー講座3で解説したように、私達はみな、バイアスがあります。情報を発信する側にも受信する側にも。そのため、客観的で正確な情報発信も、内容の客観的・正確な理解も簡単ではありません。 結果として、すべての情報に疑心暗鬼になる人もいます。しかし、「何も信じない。外部からの情報は受け取らない」という姿勢では生きていけません。情報を健全に吟味し、真偽を見極めるにはどうしたらよいでしょうか。 すべての情報は再構成されている JFCリテラシー講座2では、山脇岳志スマートニュースメディア研究所長が「すべてのメディアメッセージは再構成されていると意識する」ことを指摘していました。 「マスゴミは情報を切り取る」という批判がありますが、切り取るのはマスコミだけではありません。人は何かを他者に伝えようとするとき、情報を切り取って伝えます。自分が見聞きした事柄を、そのまま100%人に伝えることは不可能に近いからです。 自分が読んだ本、旅行で目にした風景、人から聞いた話...。それが何であれ、他者に伝えるときは、印象的な部分を切り取り、まとめ、再構成して伝えます。

By 宮本聖二, 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCリテラシー講座3:情報の発信者にも受信者にもバイアスはある

講座

JFCリテラシー講座3:情報の発信者にも受信者にもバイアスはある

日本ファクトチェックセンター(JFC)では、リテラシー講座に先立ち、情報の真偽を検証するファクトチェック講座を公開しました。即効性がありますが、情報氾濫時代をより広い観点から見るには、リテラシーに関係する幅広い知識が不可欠です。 3回目に紹介するのはバイアス(偏り)について。誤情報/偽情報を問題視する前に、そもそも私達自身が情報を間違って理解しがちだという点について解説します。 私達は認知バイアスで間違い続ける この図を見たことがある人は多いでしょう。同じ長さの線分なのに、向きの異なる矢印がつくと、下の線分の方が短く感じてしまいます。「ミュラー・リヤーの錯視」と呼ばれる現象です。 私たちの認知は正確ではありません。線分の長さですら間違えます。私たちのものの見方や判断は、偏りから自由ではありません。こうした偏りを「認知バイアス」と呼びます。 60の認知バイアスを紹介した「認知バイアス事典」(情報文化研究所)では、認知バイアスについて「偏見や先入観、固執断定や歪んだデータ、一方的な思い込みや誤解などを幅広く指す言葉」と説明しています。 都合の良い情報に着目

By 宮本聖二, 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCリテラシー講座2:クリティカルシンキングで自分自身も吟味する

講座

JFCリテラシー講座2:クリティカルシンキングで自分自身も吟味する

講座1で見たように、情報氾濫によって不可避的にフィルターバブルやエコーチェンバー、極性化や偽情報/誤情報などの課題が大きくなっていきました。日本ファクトチェックセンター(JFC)ではその対策として、日々の検証と同時に「リテラシー」の普及に取り組んでいます。 リテラシー(literacy)とは、英語で「読み書きする能力」という意味で、インターネット上だけでなく、日常で接するあらゆる情報や言説を適切に理解、解釈、分析して、活用する能力のことです。 まずは、様々なリテラシーを紹介します。 ニュース/情報/デジタル/メディアリテラシー 「リテラシー」は様々な言葉を組み合わせて、それを理解し、活用する能力という意味に使われます。例えば、ニュースリテラシー、情報リテラシー、デジタルリテラシー、メディアリテラシーなどです。 大雑把に言えば、ニュースリテラシーはニュースを、情報リテラシーは情報を、デジタルリテラシーはデジタルを、メディアリテラシーはメディアを、理解・活用する能力という意味になります。 それぞれの「リテラシー」の領域は重なっています。これは「ニュース」な

By 宮本聖二, 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCリテラシー講座1:情報氾濫の時代に検証より重要な能力

講座

JFCリテラシー講座1:情報氾濫の時代に検証より重要な能力

玉石混交の情報が大量に氾濫する時代には、情報の真偽を検証する「ファクトチェック」の能力だけではなく、より広く現代のメディア環境を理解し、活用する「リテラシー」が欠かせません。 リテラシーは「読み書き能力」を意味する言葉ですが、現在は、様々な言葉と結びついて「その分野について理解し、活用する能力」という使われ方をしています。「メディアリテラシー」「情報リテラシー」「ニュースリテラシー」「デジタルリテラシー」などです。 日本ファクトチェックセンター(JFC)はファクトチェックの実践や普及だけでなく、リテラシー教育にも取り組もうとしています。今回の連載講座では、そもそも現代におけるリテラシーとは何かという基礎から解説します。 キーワードは太字にし、最後に一覧にまとめています。そちらもご参照ください。  激増する情報とプラットフォーム 不確かな情報やデマや誹謗中傷などは、昔から存在しました。それが瞬時に大量に拡散し、民主主義社会への脅威とまで認識されるようになったのは、近年のことです。 背景にあるのがテクノロジーの発達による社会の変化です。インターネット、スマ

By 宮本聖二, 古田大輔(Daisuke Furuta)
日本ファクトチェックセンターは国際ファクトチェックネットワークに加盟しました!

その他

日本ファクトチェックセンターは国際ファクトチェックネットワークに加盟しました!

誤情報対策の分野で世界的に影響力がある「国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)」の加盟団体として、日本ファクトチェックセンター(JFC)が認証されました。IFCNへの加盟が認められることは、ファクトチェック団体として高い評価を得たことを意味し、国際的なネットワークの一員として、活動へのサポートを得ることになります。 加盟団体は世界で120、JFCは審査で高い評価 アメリカ・フロリダ州のジャーナリズム研究機関「ポインター研究所」を拠点とするIFCNは、誤情報対策で世界をリードしています。より効果的なファクトチェックのあり方について情報発信し、世界中で情報の検証に従事する団体をネットワーク化してきました。 IFCNの公開リストによると、活動中のIFCN加盟団体は5月31日現在、JFCを含めて120団体です。加盟にはIFCNが公開するファクトチェック5原則の遵守や実際に検証記事を公開してきた活動実績が必要で、IFCNの委託を受けた有識者の評価を経て、認証されます。 JFCは2022年10月1日に正式発足しました。半年間の活動実績をもって3月に登録申請し

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェック講座9:国際的な標準ルール 信頼性を確保する

講座

JFCファクトチェック講座9:国際的な標準ルール 信頼性を確保する

「ファクトチェック」を名乗りながら相手の意見をチェックしたり、自論の正当性を補強するための道具にしたりする例もあります。信頼されるファクトチェックとはどうあるべきか。国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)は守るべき原則を公開しています。 IFCNが公開するの5つの原則 アメリカに本拠を置くIFCNは、世界中のファクトチェック組織のハブになっている組織です。ファクトチェックを実践する上で守るべき原則(Code of Principles)を公開し、遵守している組織が加盟できます。 IFCNに加盟しているかどうかが、国際的に認められる団体かどうかの試金石ともなっています。認証は毎年更新する必要があり、2023年5月21日現在、114の加盟団体が活動中です。 欧米だけでなく、アジア、アフリカなど世界中の団体が加盟していますが、残念ながら、日本からはいまだゼロです。半年以上の活動実績がある団体が申し込み可能で、日本ファクトチェックセンター(JFC)は現在、審査を受けているところです。 それでは、加盟団体が遵守を求められるIFCN5原則を一つずつ見ていきまし

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェック講座8:公開情報こそ重要 OSINT技術を使いこなす

講座

JFCファクトチェック講座8:公開情報こそ重要 OSINT技術を使いこなす

オープンソース・インテリジェンス(OSINT)とは、一般公開されている情報を収集・分析し、活用する手法です。デジタル技術を用いて多くの情報がネットで公開されるようになり、取材だけでなくあらゆる調査にとって重要な技術であり、ファクトチェックでも多用します。解説します。 正しいものを正しいと検証するには 日本ファクトチェックセンター(JFC)の記事を例に見ていきます。これは「なぜニュースにならないの?」 静岡県内の水害画像は本物、というJFCのファクトチェック記事です。 2022年9月の静岡県の水害では、前回の講座7で紹介したようにAIで作成した画像が「ドローンで撮影した静岡の様子」として拡散しました。JFCなどのファクトチェックもあり、本物の災害画像ではないという検証はできました。しかし、AI画像が出回ることで、「正しい画像」までも「これはAIによるフェイクでは」という疑心暗鬼が広がりました。 JFCでは、AIではないかという疑問が出ていた画像を検証し、それが実際の災害画像であることを証明しました。検証に活用したのは、誰でも無料で使えるGoogleマップです

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェック講座7:AIコンテンツの検証 細部を見る

講座

JFCファクトチェック講座7:AIコンテンツの検証 細部を見る

AIで生成されたテキストや画像などのコンテンツが激増しています。その中から偽情報/誤情報をどう検証するかは、ファクトチェックにとって大きな課題です。現状では、自動で完璧に検知する万能ツールはまだ存在しません。では、人の目でどのように検証できるのか。解説します。 AIによる偽情報の実例 日本ファクトチェックセンター(JFC)の記事を例に、解説していきます。これは「 ドローンで撮影された静岡県の災害」はAI作成の偽画像というJFCのファクトチェック記事です。 2022年9月に静岡県を襲った台風15号による水害をめぐって、「ドローンで撮影した画像」とされる3枚の写真がツイッター上で拡散しました。建物や木々が茶色い水に屋根近くまで浸かり、大規模な浸水被害が出ているように見えます。 結論から言うと、この3枚の画像はすべてAIで作成したもので、静岡県の水害とはまったく関係がないものでした。どうやって検証していったかを見ていきます。 拡大して細部を確認する 1枚目の写真を拡大してみます。右側と奥に山並み。手前に住宅地と木々の茂みが広がり、大規模に浸水している写真で

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェック講座6:動画の検証 InVIDとYouTube検索

講座

JFCファクトチェック講座6:動画の検証 InVIDとYouTube検索

近年、特に増えているのが動画での偽情報/誤情報です。動画プラットフォームのYouTubeやTikTokを中心に、他のソーシャルメディアへも拡散していきます。画像と同じく、改変や文脈を変えてミスリードする事例が目立ちます。オリジナルを探すという対策も共通です。見ていきましょう。 その要約や翻訳は正しいのか 動画の誤情報/偽情報というと、最近話題のAIによるフェイク動画を想像する人が多いでしょう。しかし、多くは高度な技術など使われず、オリジナル動画の一部を切り抜き、違う文脈で使ってミスリードする単純なものです。 今回も日本ファクトチェックセンター(JFC)の記事を例に、解説していきます。これはファイザー社長「私は健康だから(ワクチンを)絶対に打たない」と発言したというのは不正確というJFCのファクトチェック記事です。 米製薬大手ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)がワクチンに関するインタビューに答えた動画の一部を切り出して編集し、内容を捻じ曲げて翻訳したものです。まるで本人が「私は健康だからぜったい打たない」と言ったかのように読めます。 し

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェック講座5:画像の検証 GoogleレンズとTinEye

講座

JFCファクトチェック講座5:画像の検証 GoogleレンズとTinEye

偽情報/誤情報で多いのが写真や動画を使ったものです。ツールの活用により、改変や捏造が簡単になったことや、もともとの意味とは異なる翻訳をつけてミスリードするものもあります。まずは画像を検証するために知っておくべき手法と便利なツールの利用法を解説します。 画像で騙す2つの手法 対策はオリジナル探し 「画像があるから事実だ」などということはありません。画像は簡単に改変ができるし、違った文脈で使えばミスリードするからです。 改変やミスリードへの対策として有効なのが、オリジナル画像を発見して比較することです。改変部分が見つかったり、全く違う文脈で利用されていることがわかったりします。 ここでも重要なのは検索の技術です。画像に映り込んでいる人物や背景から検索キーワードを想像し、期間を狭めて検索していくことでオリジナルの画像にたどり着くことができます。 ここでは、それよりも簡単にオリジナル画像を見つけられるツールを、日本ファクトチェックセンター(JFC)の記事を例にして紹介します。 Googleレンズを利用する これはJFCが2023年4月に配信した「反原発デモ

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェック講座4:実践的な検索技術 効率的にソースを探す

講座

JFCファクトチェック講座4:実践的な検索技術 効率的にソースを探す

「検証の4ステップ」で公的機関の発信を調べるにも、ソースを探すにも、最も役に立つのは「検索」です。インターネット利用者に必須の基本スキルですが、「サーチオペレーター」などの使いこなし方や便利な検索ツールの存在を知らない人がほとんどです。基礎から解説します。 検索の仕組みを理解する 皆さんは検索結果が並ぶ仕組みを知っていますか? ここでは最も利用され、様々な検索技術を活用して効率的にソースを探せるGoogleを例に解説していきます。 Googleには検索の仕組みについて詳しく説明しているページがあります。その中で検索結果がどのように選ばれているかについて触れているのが「ランキング結果」の項目です。 クエリとは、検索窓に打ち込む語句を指します。単語の組み合わせでも、文章でも構いません。Googleはそのクエリの意味を読み取り、関連性が高くて、質(専門性や権威性など)が良く、ユーザビリティ(読み込み速度など)が高いコンテンツを検索結果として順番に並べます。 コンテキスト(文脈)も重要です。Googleが例として挙げるのが「フットボール」。シカゴで検索するとアメ

By 古田大輔(Daisuke Furuta)