JFCの設立経緯と組織構造

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、民主主義の基盤となるインターネットの言論空間の健全性を向上させることを目的とし、ファクトチェックとメディアリテラシー普及に取り組む非営利組織です。
拡散する不確かな情報について、証拠に基づいて真偽を確かめる「ファクトチェック(事実の検証)」、現代の情報環境への理解と対応力を高める「メディアリテラシー教育」が活動の2本柱です(JFC設置規定)。
ここでは、JFCの設立経緯や体制を紹介します。
設立の経緯
JFCは2022年10月、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)のもとで設立されました。きっかけは2020年2月に公表された総務省「プラットフォームサービスに関する研究会」の報告書が言及した「民間による取り組みの推進」です。
ネット上の違法・有害情報対策に取り組むために国内ネット企業を中心に構成するSIAは、有識者を集めて「Disinformation対策フォーラム」を設置。そこでの議論をもとにJFCを設立しました。

組織の構造
JFCはSIA内部の組織ですが、SIA自身や会員企業からの独立性を保ってファクトチェックに取り組むため、編集部の運営はSIAの活動から切り離されています。
日々のファクトチェックの対象の選定や検証の実務、記事の公開などはJFC編集部に一任されています。JFC編集部が非党派性と公正性を保ってファクトチェックに取り組んでいるかについては、専門家で作る運営委員会が評価をします。
運営委員会はJFCが定めるファクトチェックガイドラインに則って編集部が検証を実施しているかを評価し、編集長の解任を理事会に勧告する権限も持っています。また、運営委員会と編集部全体のガバナンスが適正か確認する監査委員会も設けています。
これらのルールを定めたJFC設置規定はこちらに公開しています。

運営委員会
運営委員長
曽我部 真裕(京都大学大学院法学研究科教授)
副委員長
山本 龍彦(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)
委員
市原 麻衣子(一橋大学大学院法学研究科教授)
小川 一(毎日新聞客員編集委員)
平 和博(桜美林大学教授)
水谷 瑛嗣郎(関西大学准教授)
監査委員会
監査委員長
山室 惠(弁護士 弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所特別顧問)
委員
小町谷 育子(弁護士・ニューヨーク州弁護士 法律事務所Legal iプラス)
宍戸 常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
事務局
事務局長
吉田 奨(セーファーインターネット協会専務理事)
JFC編集部
JFC編集部は経験を積んだプロのジャーナリストやエディターらと学生らインターンで構成されています。また、SIAに所属し、ネット調査に詳しいリサーチチームの協力も得ています。
以下がJFC編集部のメンバーです。インターネットやOSINTに強いエディター、ファクトチェックに関心がある学生など、今後も拡充していく予定ですので、ご興味ある方はこちらからお申し込みください。
編集長:古田大輔
朝日新聞で社会部、シンガポール支局長などを経てデジタル編集部。2015年に退社し、BuzzFeed Japan創刊編集長。2019年に独立し、2020-22年にGoogle News Labティーチングフェローとして、記者ら延べ2万人超にデジタル報道セミナーを実施。その他の主な役職に、デジタル・ジャーナリスト育成機構(D-JEDI)事務局長など。慶應義塾、早稲田、近畿大で非常勤講師。ニューヨーク市立大ジャーナリズムスクール News Innovation and Leadership 2021修了。US-Japan Leadership Program Japan Delegate(2022-2023)。US Department of State International Visitor Leadership Program, “Integrity of Journalism” 2018修了
副編集長:宮本聖二
1981年にNHKに入局。鹿児島、沖縄放送局など
を経て報道局アジアセンター、おはよう日本で報道
番組を制作。編成局を経て、東日本大震災証言プロ
ジェクトで番組とデジタルアーカイブの制作後、ヤ
フー入社。Yahoo!ニュースで信頼性の確保や新聞、
テレビ局との共同取材、制作にあたる。
立教大学大学院社会デザイン研究科客員教授、
成城大学文芸学部非常勤講師としてメディアリテラ
シー、社会課題を映像で可視化する授業・研究を
行う。
インターン
JFCでは学生インターン(有給)を採用しており、ファクトチェック対象の選定や実際の検証などに取り組んでいます。報道機関を目指す学生が多いですが、研究者志望やインターネット、情報環境に関心がある学部生や院生など、様々です。ご関心ある方はこちらからお申し込みください。
リサーチチーム
JFCの設置母体となっている一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)は、ネットの悪用や誹謗中傷対策に取り組んできた団体で、ネット上で拡散する様々な情報に精通したスタッフがいます。JFCがファクトチェックをしていく上で、SIAスタッフもリサーチチームとして協力しています。
IFCNの認証
JFCは国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の審査を経て、認証を得ているファクトチェック組織です。IFCNはファクトチェックの5つの原則を掲げており、認証団体はそれを遵守することが求められています(詳しくは「ファクトチェックとは何か」)。
JFCがIFCNのルールに違反していると考える方は、こちらのIFCN窓口からJFCについて報告することが可能です。
