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岩手県大槌町の山林火災はレーザーによるもの? 大規模火災のたびに拡散する陰謀論【ファクトチェック】

岩手県大槌町の山林火災はレーザーによるもの? 大規模火災のたびに拡散する陰謀論【ファクトチェック】

2026年4月に岩手県大槌町で発生した山林火災について、レーザーのせいだと主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。4月28日現在、出火原因は調査中で、まだ特定されていません。大規模な火災のたびに、国内外で広がる陰謀論です。 検証対象 拡散した言説 2026年4月26日、大槌町の山火事だという山林火災の画像を引用し、「不自然。なぜ一直線?変な燃え方。レーザーでしょ」という文言をつけた投稿が拡散した。 検証する理由 4月28日現在、投稿は2400回以上リポストされ、表示は20.8万件を超える。 投稿には、「風の影響」「山火事ってこういう風に燃え広がるんですよ。少しは調べたら?」などの指摘もあるが、「違和感しかない」や「It could be DEW. Direct Energy Weapon.(指向性兵器DEWの可能性)」など、真に受けた反応も多いため検証する。 検証過程 公式発表では「出火原因は調査中」 総務省消防庁の公式Xアカウントは、大槌町の火災についてこまめに情報発信している。 「岩手県大槌町の林野火災による被害及び 消防機関等の対

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
企業やゲームのキャンペーンを装って偽サイトやLINE登録を促すXアカウントに注意

企業やゲームのキャンペーンを装って偽サイトやLINE登録を促すXアカウントに注意

X上で、実在する企業や人気ゲームのアカウントを装い「特別なご案内」「PayPayマネーがもらえる」などと個人宛てにメンションを送る不審な投稿が複数確認されています。誘導先は公式とは無関係の偽サイトで、LINEアカウントの登録などを求めるため注意が必要です。 個人をメンションした「特別なご案内」 2026年4月から、「平素よりありがとうございます\✨特別なご案内を✨ 4名様にお届けしております プロフィールの固定ポストにまとめています 本日23時まで」という文言で個人のアカウントにメンションを付けた投稿が複数確認されている(例1、例2)。28日時点で、これらのアカウントは「凍結」されている。 投稿したアカウントは、Softbankや人気ゲーム「ツムツム」の「広報課」や「発信課」を名乗っている。固定ポストには「SoftBank」と「PayPay」のロゴとともに、「最短1分で受け取り完了」「1,000円~10万円分Pay Payマネーその場でもらえる!」などと書かれたリンクが添付されている。 リンク先はSoftbankの偽サイト リンクにアクセスすると、So

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
オバマ米元大統領が暴力を肯定する投稿? Xの自動翻訳の誤り【ファクトチェック】

オバマ米元大統領が暴力を肯定する投稿? Xの自動翻訳の誤り【ファクトチェック】

米国のトランプ大統領が出席していた夕食会での銃撃事件をめぐり、オバマ元大統領がXに投稿した文章が、自動翻訳によって「暴力が我々の民主主義に何の居場所もないという考えを、私たち全員が拒絶する責任があります」と日本語表示されました。これは誤訳です。原文を見ると英語で「我々の民主主義に暴力の居場所があるという考えを私たち全員が拒絶する責任がある」と反対の内容を書いています。 検証対象 拡散した言説 2026年4月27日、オバマ氏が自身のXアカウントで「Although we don’t yet have the details about the motives behind last night's shooting at the White House Correspondents Dinner, it’s incumbent upon all us to reject the idea that violence has

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
小野田紀美大臣が園遊会で着ていた衣装はTemuで買ったもの? 異なる帽子、本人も否定【ファクトチェック】

小野田紀美大臣が園遊会で着ていた衣装はTemuで買ったもの? 異なる帽子、本人も否定【ファクトチェック】

天皇、皇后両陛下主催の「園遊会」に出席した小野田紀美・経済安全保障大臣の衣装は中国通販サイトTemuで買ったもの、という投稿が拡散しましたが、誤りです。証拠として添付された画像の帽子は、小野田氏の帽子とは別のものです。また、本人も否定しています。 検証対象 2026年4月21日「悲報 小野田紀美さん、園遊会に着ていった衣装が、大嫌いな中国の通販サイト、Temuで買った事がバレてしまう……」という投稿が拡散した。 投稿には、小野田氏が赤いドレスと赤い帽子を着用している画像と、Temuの販売ページのスクリーンショットが添付されている。 検証する理由 4月24日現在、この投稿は3400件以上リポストされ、表示回数は552万回を超える。投稿について「スーツでいいでしょ」「超笑える」というコメントの一方で「良く調べてから物申せ」という指摘もある。 検証過程 小野田氏の画像は、自民党の赤沢亮正衆議院議員が4月18日にXに投稿したものだ。 拡散した投稿に添付されたTemuの商品ページのスクリーンショットは、帽子の商品ページだ。商品名で検索すると、同じ商品のペ

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
世界のファクトチェック団体の苦境と成長/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

世界のファクトチェック団体の苦境と成長/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

毎年恒例の国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の「ファクトチェッカー実態リポート」。トランプ政権からの逆風で、状況は厳しくなると予想されていた通りの結果が出ています。 資金面で67.2%が「脆弱」と答え、8.8%は半年以内に閉鎖されるかもしれない「危機的」な状況にあります。詳しくはリンクから読んでみてください。 ファクトチェックは偽・誤情報対策として十分ではありませんが、必要不可欠です。誤った情報が無尽蔵に拡散することを留めるだけでなく、根拠を明示してわかりやすく書かれたファクトチェック記事を読むこと自体に教育的な効果や予防効果もあるからです。検証ツールの開発や法的規制の議論の土台ともなります。 そして、そういったファクトチェック記事をコツコツと積み上げているのが、各国で活動している数少ないファクトチェック団体です。レポートでは苦しい経済状況だけでなく、動画や音声への展開、多言語発信、他業界とのコラボなどを通じた成長にも触れています。 残念ながら日本ファクトチェックセンター(JFC)もこの実態レポートのアンケート調査に財務状況は「脆弱」と回答しました。同時に

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
2026年4月の三陸沖地震での津波? 2011年の東日本大震災の動画【ファクトチェック】

2026年4月の三陸沖地震での津波? 2011年の東日本大震災の動画【ファクトチェック】

2026年4月20日に発生した三陸沖の大地震を受け、「日本のために祈る」などと文言をつけた津波被害動画が拡散しましたが、今回の地震の映像ではありません。拡散した動画の元動画が2011年にYouTubeに公開されており、東日本大震災の津波を映したものです。 検証対象 拡散した言説 4月21日、「日本のために祈ろう M7.4の地震と沿岸部を襲った津波の後、日本に心を寄せています。皆さんの安全と迅速な復旧を祈っています。強くあれ、日本」という英語の文言付きの動画がXで拡散した。 検証する理由 4月24日現在、投稿は1800回以上リポストされ、表示は66.4万件を超える。 投稿には「これ、2011年のビデオじゃないの???」「君がシェアした動画は、2011年頃に起きた津波のものだよ」などの指摘もあるが「邦人の皆さんが被害に遭いませんように」「水が早く引きますように」など真に受けた反応も多いため検証する。 検証過程 動画は2011年のもの 拡散した動画は2分54秒。津波が街中で車などを押し流す様子を高所から映しており、「もっと高いよ」「ここもヤバい

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
京都・南丹市の男児遺体遺棄事件で拡散した偽・誤情報:無関係な人の容疑者扱いや根拠のない国籍情報など、ビュー集めや詐欺に注意を

京都・南丹市の男児遺体遺棄事件で拡散した偽・誤情報:無関係な人の容疑者扱いや根拠のない国籍情報など、ビュー集めや詐欺に注意を

京都府南丹市の山林に男子児童の遺体が遺棄された事件で、SNS上では大量の偽・誤情報があふれています。注目を集める事件・事故が起きた時にSNSで流れがちな偽情報の典型的な手口と、事実かどうかを確認するポイントについて解説します。 情報開示:世界中の類似事例を含む偽・誤情報の分類と分析には、AI「Claude」を活用しました。記事にする際には、事例の内容や経緯など、すべて編集部のスタッフが確認しています。 事件の概要 2026年3月23日、京都府南丹市・園部小学校5年生の安達結希さん(11)が卒業式に登校をせず、行方不明となりました。京都府警の捜索で4月13日に小学校から2キロメートル離れた山中で遺体が発見されました。 京都府警は4月16日、被害者の養父である安達優季容疑者(37)を死体遺棄容疑で逮捕しました(以上、朝日新聞”京都府南丹市の男児遺体、父親を逮捕 死体遺棄容疑「間違いない」”)。 小学生が行方不明となり、3週間を超える捜索と養父の逮捕という展開に世間の注目が集まり、大量の偽・誤情報が拡散しました。大きな事件が発生した際には、常に広がる偽・誤情報

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
ヨーロッパでワクチンの強制接種が進められている? 4年前の記者会見の恣意的切り抜き【ファクトチェック】

ヨーロッパでワクチンの強制接種が進められている? 4年前の記者会見の恣意的切り抜き【ファクトチェック】

「ヨーロッパで今、強制ワクチン接種が強引に進められている」と主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。投稿には欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長が「ワクチンの義務化について議論することは理解できる」などと述べている動画が添付されていますが、この動画はコロナ禍の2021年12月の記者会見から文脈を無視して切り抜いたものです。 検証対象 拡散した言説 2026年4月17日、「ヨーロッパで今、強制ワクチン接種が強引に進められている!」などと主張する投稿がXで拡散した。 投稿には、フォン・デア・ライエン氏が「ワクチンの義務化について議論することは理解できる」などと述べる44秒の動画が付いている。 検証する理由 4月21日現在、投稿は5800回以上リポストされ、表示は33.9万件を超える。 投稿には「この動画は4年前のものです」や「大規模な義務化の証拠はない」などの指摘もあるが、「このワクチンは生物兵器だってことで今裁判沙汰になってんだよ」「この魔女は逮捕されるべき」など、真に受けた反応も多いため検証する。 検証過程 動画は2021年12月の会

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
76%が資金難で「脆弱・危機的」、それでも広がる読者とコラボ IFCN報告書から見える世界のファクトチェックの現状【解説】

76%が資金難で「脆弱・危機的」、それでも広がる読者とコラボ IFCN報告書から見える世界のファクトチェックの現状【解説】

国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)が、業界の現状をまとめた「ファクトチェッカー実態レポート」2025年版を公開しました。 IFCNの加盟団体を対象に2026年2月にアンケート、71カ国141団体から回答を得ました。回答率はIFCN加盟団体の77.5%。毎年恒例の公開で、過去分は2024年版で解説しています。 2025年は、多くのファクトチェック団体の資金源となっていたMetaの第三者ファクトチェックプログラムのアメリカでの廃止、米国際開発庁(USAID)の閉鎖など、業界を揺るがす出来事が相次ぎました。レポートからは、資金難がさらに深刻化し、スタッフを減らさざるを得ない団体が増えた一方、読者層は広がり、他団体との協力やAIの活用は加速している複雑な姿が浮かび上がります。 76%の団体が「財務的に脆弱か危機的」 最も深刻なのは、各団体の財務状況です。「持続可能」と答えたのは22.6%、67.2%が「脆弱」、8.8%が「危機的」と回答しました。合わせて76%の団体が、財政的に厳しい状況にあると自己評価しています。 「脆弱」と回答した団体は運営を続けて

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
ウクライナのゼレンスキー大統領はモサドのエージェントだった? 画像に多くの矛盾【ファクトチェック】

ウクライナのゼレンスキー大統領はモサドのエージェントだった? 画像に多くの矛盾【ファクトチェック】

ゼレンスキー大統領が、イスラエルのモサドのエージェントだったことを示すパスポートだという画像が拡散しましたが、偽画像で誤りです。画像の氏名はつづりが間違えており、国籍の表記にも矛盾があります。 検証対象 拡散した言説 2026年4月19日、「ゼレンスキーがモサドのエージェントだったことが身元から判明!」という文言付きの画像がXで拡散した。 拡散した画像の上部には「State of Israel(イスラエル国)」、Passportとあり、イスラエルが発行したパスポートのように見える。国名コードの欄には「ISR(イスラエル)」、姓の欄に「ZELENSKY」、名の欄に「VOLODYMYR」、国籍の欄に「ISRAELI」と書いてある。 検証する理由 4月20日現在、投稿は3000回以上リポストされ、表示は41.8万件を超える。 投稿には「これは偽造ネタっぽい」「フェイク!」などの指摘もあるが、「初めから、そう思っていました」「知ってた」など真に受けた反応も多いため、検証する。 検証過程 姓のつづりに間違い ウクライナ大統領の公式サイトによると、

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
南丹事件で拡散した偽・誤情報/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

南丹事件で拡散した偽・誤情報/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

京都・南丹市の男児遺棄事件をめぐって、「犯人は外国籍」などの偽・誤情報が大量に拡散しました。注目を集める事件では、必ず真偽が不確かな情報が広がります。そして、その傾向は年々強まっています。 特に増えているのは、AIで作った映像や報道の無断転載なども使った「解説動画」です。事件の背景など知るはずもない第三者が、センセーショナルな「真実」や「見立て」を堂々と語り、「マスゴミは報道しない」などと喧伝します。 日本ファクトチェックセンター(JFC)が電通総研と実施した情報インテグリティ調査2026では、71.5%の人が「情報が正しいか疑うことも必要」と考えているのに「ニュースや情報をファクトチェックしたことがある」と答えたのはわずか26%でした。 さらに、どのように情報を確認するか聞いた項目では、そもそも「真偽を確かめたいと思わない」が31.9%で最多でした。偽・誤情報への危機感は高まっているのに、実際の行動が追いついていないことがわかります。 詳しくは4月2日に開催した情報インテグリティ調査を文字起こしした一連の解説記事やアーカイブ動画をご覧ください。 これでは偽・誤情

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
「陰謀論」と「批判的思考」は紙一重――Z世代が考える楽しくて伝わるリテラシー教育とは【情報インテグリティ】

「陰謀論」と「批判的思考」は紙一重――Z世代が考える楽しくて伝わるリテラシー教育とは【情報インテグリティ】

大量拡散する偽・誤情報にどう対応するか。一人ひとりが抵抗力を身につけるメディア情報リテラシーの普及は遅れています。どこに課題があるのか。Z世代が考えた革新的な手法は。日本ファクトチェックセンター(JFC)と電通総研が4月2日に共催した情報インテグリティシンポジウムで議論しました。 パネル討論「メディアリテラシーを広げるには:革新的な取り組みの現在地」に登壇したのは、ファクトチェック団体、メディア情報リテラシー教育に取り組む学生スタートアップ、新聞社、研究者。話題は教育にとどまらず、メディアの役割や情報の信頼性、必要とされる「批判的思考」が実は「陰謀論」と紙一重という話題にも広がりました。 ※シンポの議論を文字起こししたものですが、読みやすさを考慮して一部修正を加えています。 登壇者 モデレーター:古田 大輔 今井 善太郎氏(株式会社Classroom Adventure 代表取締役) 坂本 旬氏(法政大学総合情報センター 所長) 仲村 和代氏(朝日新聞東京本社 ゼネラルエディター補佐) Z世代が考えるゲーム形式のリテラシー教育 今井:株式会社Clas

By 古田大輔(Daisuke Furuta)