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地震のたびに拡散する「人工地震説」や「地震予知」は何が間違っているのか 専門家が解説

地震のたびに拡散する「人工地震説」や「地震予知」は何が間違っているのか 専門家が解説

大きな地震が起きるたびにインターネット上では「人工地震だ」とか「予知されていた」「次の地震は〇月〇日」などの情報が拡散します。科学的な根拠はなく、これまでに日本ファクトチェックセンター(JFC)は何度も「誤り」と検証してきました。次の拡散を防ぐために、JFCは東京大学地震研究所/情報学環・学際情報学府の酒井慎一教授に改めて解説してもらいました。 地震予知は可能? Q「30年以内に地震が発生する確率は何十%」といった長期的な予測は政府も公表します。一方で、大きな地震が起きると「巨大地震は予知されていた」とか「次の地震は〇月〇日」など、日付や場所を特定した「予言」が拡散します。このようなピンポイントの地震予知は現代の科学で可能なのでしょうか。 できません。地震のメカニズムは、今でも多くのことが分かっていません。多くの人はプレート(岩盤)同士が押し合い、跳ね返ったり壊れたりして地震が起こると考えていますが、実際はもっと複雑です。地震は地下にある断層面にそって、岩盤同士が急激にズレることで起こります。断層面はでこぼこしており、触れ合っている岩盤と岩盤が摩擦力で固着し

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
伊東市長選挙は不正選挙だった? 画像は市議選、選挙不正の根拠なし【ファクトチェック】

伊東市長選挙は不正選挙だった? 画像は市議選、選挙不正の根拠なし【ファクトチェック】

2025年12月14日投開票の伊東市長選挙をめぐり、開票作業で不正があったと示唆する画像付きの投稿が拡散していますが、誤りです。根拠とされた画像はそもそも市長選ではなく市議選のもの。伊東市選挙委員会は開票作業について「不正はなかったと認識している」と話しています。 検証対象 検証する投稿 12月15日、「伊東市長選挙は不正選挙が行われていた?」という画像付き投稿が拡散した。画像には、票が積み上げられた画像と共に「TVで放送された卓上に積み上がっている票束の高さと選挙管理委員会から発表の票数差に不安を抱きました」と書かれている。 検証する理由 この投稿は戸田市議会議員の河合ゆうすけ氏によるもので、12月18日現在、290件以上リポストされ、表示回数は23万回を超える。 「あると思います」「不正しちゃってるね…」と同調するコメントがつく一方で「意に沿わない結果は何でも不正なのか」という指摘もある。 検証過程 伊東市長選と拡散した画像 伊東市長選挙は、学歴詐称疑惑で2度の不信任決議を受けた田久保真紀前市長の失職に伴い14日に投開票され、田久保氏

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
ユースファクトチェック選手権優勝の大学生チームが語る検証能力を鍛える鍵 「普段の生活でも使える能力ばかり」

ユースファクトチェック選手権優勝の大学生チームが語る検証能力を鍛える鍵 「普段の生活でも使える能力ばかり」

高校生や大学生ら若者世代を対象に情報検証スキルを競う「ユースファクトチェック選手権」。日本、台湾、タイ、インド、モンゴルの各国内大会を勝ち上がった計25チームによる世界大会が12月13日に開かれ、日本から参加したチームが優勝しました。 選手権はGoogleが運営していた前身の大会を引き継ぐ形で、アジアのファクトチェック団体が協力して昨年から開催。日本では日本ファクトチェックセンター(JFC)とメディア情報リテラシー教育に取り組む学生スタートアップ「Classroom Adventure」が共催しています。 75チーム194人が参加した国内大会を首位で勝ち抜き、世界大会では昨年上位を独占した台湾のチームを抑えて優勝したチーム「YAYO-SAN」の2人、札幌大谷大1年の渡辺魁哩さん(20)と北海道大2年の千葉蛍太さん(20)に検証スキルを鍛える秘訣と大会の感想を聞きました。 昨年大会の経験活かし、生成AIで「自主練」 昨年の大会に「軽いノリで参加した」という渡辺さんが、今度は本気でやってみようと誘ったのが、高校の同級生の千葉さんでした。 教育学を専攻する千葉

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
御堂筋線の看板から韓国語と中国語がなくなった? 繰り返し拡散する誤情報【ファクトチェック】

御堂筋線の看板から韓国語と中国語がなくなった? 繰り返し拡散する誤情報【ファクトチェック】

大阪の地下鉄御堂筋線の看板から韓国語と中国語がなくなったという情報が拡散しましたが誤りです。画像は梅田駅の看板ですが、もともと日本語と英語表記のみでした。繰り返し拡散する誤った情報です。 検証対象 拡散した投稿 2025年12月10日、「大阪梅田の御堂筋線 韓国語と簡体語(中国語)が無くなりスッキリ見やすくなりましたか?」という画像付き投稿が拡散した。 画像には「梅田・新大阪・江坂・箕面萱野方面」と日本語と英語で書かれた看板が写っている。 検証する理由 12月15日現在、この投稿は2400件以上リポストされ、表示回数は51万回を超える。投稿について「やったね大阪メトロ」「公明党の国交大臣いなくなったため」というコメントの一方で「これまでも2か国語表記だったことに注意が必要です」というコミュニティノートがついている。 検証過程 画像は御堂筋線のなんば駅上りホーム 拡散した投稿には「大阪うめだの御堂筋線」と書かれているが、画像は御堂筋線のなんば駅だ。看板の後ろにローソンと電車が写っており、御堂筋線のローソンを検索すると、大阪メトロ内のローソン

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
沖縄の若者の半数以上が自分を「琉球人」だと考え、日本人だと思っていない? 根拠とされる調査が存在せず【ファクトチェック】

沖縄の若者の半数以上が自分を「琉球人」だと考え、日本人だと思っていない? 根拠とされる調査が存在せず【ファクトチェック】

18~35歳の沖縄県民の半数以上が自分は「琉球人」だと考え、日本人だと思っていないと主張する投稿がXで拡散しましたが、誤りです。根拠とされた「ロイター通信とNHKが2025年7月に実施した合同世論調査」は存在しません。 検証対象 拡散した言説 2025年12月2日、「【中国国際放送局】琉球は日本の固有の領土などではない、18~35歳の半数以上が自らを『琉球人』と自認し、日本人とは考えていない」という投稿がXで拡散した。 検証する理由 12月15日現在、投稿は166回リポストされ、表示は15.1万件を超える。 投稿には「琉球人なんて沖縄県民から聞いたこともない」「沖縄に長らく住んでいたが、自らを琉球人だと言う人に会った事は一度もない。完全に作り話」などの指摘もあるが、「中国に行ってそんな説明をデニーがやってんのかな」「中国国際放送局wあ〜あんたらの中ではそうなんでしょうね」など、投稿を真に受けた反応も多い。 検証過程 投稿はまとめサイト 参照元はCGTNの記事 検証対象の投稿には、まとめサイト「エックス速報」の記事へのリンクがある。そのタイ

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
ファクトチェックの世界大会で日本チームが優勝!/JFC検証5本など【今週のファクトチェック】

ファクトチェックの世界大会で日本チームが優勝!/JFC検証5本など【今週のファクトチェック】

昨年に続いて、若者層を対象に情報検証スキルを競う「ユースファクトチェック選手権」2025の世界大会を12月13日に開催しました。 日本、台湾、タイ、インド、モンゴルの国内大会を勝ち上がった各5チーム(1チーム2~3人)が検索力やGoogleマップなどを駆使して、記事に隠された誤情報やAIによるディープフェイクなどの検証クイズに挑み、日本から参加したチーム「YAYO-SAN」が、昨年上位を独占した台湾からのチームを抑えて優勝しました! この大会はアジア地域のファクトチェック団体などで連携して開催をしています。日本では我々、日本ファクトチェックセンターと学生スタートアップでメディア情報リテラシー教育の普及に取り組む学生スタートアップClassroom Adventureで共同で運営しています。 Classroom Adventureを設立した学生たちは2022年、Googleが実施していたこの選手権の前身の大会に参加していました。私(古田)は当時、Google News Labで働いていて運営側にいたので、彼らとの共催は、とても感慨深いです。 今週のファクトチェックで紹

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
地震発生後に大量の生成AI動画、「ディープフェイク」は一般化 透かしや細部の確認など見分け方のコツも解説【ファクトチェック】

地震発生後に大量の生成AI動画、「ディープフェイク」は一般化 透かしや細部の確認など見分け方のコツも解説【ファクトチェック】

2025年12月8日に青森県八戸市で震度6強を観測した地震で、生成AIで作った「ディープフェイク」動画がTikTokなどで多数拡散しました。災害など注目を集める話題には、ディープフェイクが拡散することが一般的になっています。AI生成特有の透かしや関連情報の確認が必要です。 地震直後から拡散した大量の「ディープフェイク」 生成AIで作られた画像や動画を「ディープフェイク」と言う。12月8日に青森県東方沖で地震が発生すると、その直後からTikTokなどSNSで被害を訴える動画や、ニュース速報のように見せた動画が多数投稿された(例1、例2、例3)。 動画では、津波の高さが最大3mだと伝えるものや、建物が崩落したり、地面がひび割れたりする映像が映っている。投稿したアカウントには、国内からのものだけでなく、海外からのものもある。 これらの投稿に関して「ああ、なんてことだ」「深刻だ」など事実と受け取っているコメントも付いている。 AIで作ったことを示す「透かし」 これらの動画の一部には「Sora」という透かし文字が画面上に表示されている。 Soraは、Open

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
パーソナライズ【JFC用語解説】

パーソナライズ【JFC用語解説】

パーソナライズとは、一人ひとりの利用者にあわせて情報やサービスを最適化することです。新聞やテレビなどのマスメディアは、不特定多数に同じ情報を同時に伝えます。一方で、インターネットの情報プラットフォームは、アルゴリズムによって、ユーザーの好みや属性に合わせて、見せる情報を変えます。 例えば、YouTubeには世界中から1分間に500時間分を超える動画がアップロードされています。 その大量の動画の中から、アルゴリズムに則って、ユーザーの登録しているチャンネルや、これまでに見た動画の傾向、視聴時間などを分析し、そのユーザーがその瞬間にみたいであろう動画をオススメします。 筆者(古田)の場合なら、トレーニング、ランニング、格闘技、ニュース、コメディなどの動画が並ぶことになります。 音楽好きなら音楽、旅行好きなら旅行の動画が並びます。新聞の1面記事がユーザーによって変化することはありません。これがプラットフォームの強みの一つであり、フィルターバブルを生む理由でもあります。 アルゴリズムとは【JFC用語解説】アルゴリズムとは、広義には「問題を解決するための手順」のことですが、。料理のレシ

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
主成分に添加物がたくさん含まれているK2シロップは赤ちゃんに不要? ビタミンKの摂取は必要【ファクトチェック】

主成分に添加物がたくさん含まれているK2シロップは赤ちゃんに不要? ビタミンKの摂取は必要【ファクトチェック】

主成分に添加物がたくさん含まれているK2シロップは赤ちゃんには不要、という情報が拡散しましたが、誤りです。K2シロップは、新生児にビタミンKを与えるために必要です。また、使用されている添加物は全てPMDA(医薬品医療機器総合機構)で安全性が確認されています。 検証対象 2025年12月5日、「添加物がヤバ過ぎるんじゃないかと何かと話題のケイツーシロップ 一応赤ちゃんに(不要な)ビタミンKを与えるのが目的 その主成分『メナテトレノン』って実は…高齢者用の骨粗鬆症治療薬で👨‍🦲🧓これ自体ものすごい添加物が入ってる💦」という投稿が拡散した。 12月8日現在、この投稿は330件以上リポストされ、表示回数は44万回を超える。投稿について「何でこんなに添加物入るんですかね?」「そんなに要ります?」というコメントの一方で「必要だから飲ませてんだよ」という指摘もある。 検証過程 K2シロップとは 新生児はビタミンKの不足による出血症を起こしやすく、頭蓋内出血など致命的な事例もある。K2シロップは1mLあたりビタミンK2を2mg含むビタミンK不足の予防薬と

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
ニトリが中国に輸出しているからコメが高騰? 繰り返し拡散する誤情報【ファクトチェック】

ニトリが中国に輸出しているからコメが高騰? 繰り返し拡散する誤情報【ファクトチェック】

コメの価格高騰について、ニトリが中国に輸出していることが一因のように示唆する投稿が拡散しましたが、誤りです。ニトリが中国にコメを輸出したのは2022年1月に一度だけで、それ以降は輸出していません。同様の投稿は過去に何度も拡散しています。 検証対象 拡散した言説 2025年12月2日、「ニトリにお怒りです」という文言付きの動画がXで拡散した。 検証する理由 12月11日現在、投稿は2800回以上リポストされ、表示は22.4万件を超える。 投稿には「デマ認定でOK🙆‍♂️」などの指摘があるが、「ニトリでは絶対に買いません」「ニトリとイオンて中国側なんだ!」など、投稿を真に受けた反応も多い。 検証過程 拡散した動画は55秒。経済安全保障アナリスト・平井宏治氏が、ニトリのコメ輸出について話している。全文は以下の通りだ。 「実はですね、これ、日本経済新聞なんですけど、ニトリがやってることっていうのは、ホクレンのパールライス工場てありますね。ここで北海道でねとれたお米を集めて、小樽港に持っていって、ニトリのね、コンテナ船で中国に輸出してるんです。結局

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
青森の地震は人工地震? 繰り返し拡散する誤情報【ファクトチェック】

青森の地震は人工地震? 繰り返し拡散する誤情報【ファクトチェック】

2025年12月8日、青森県東方沖を震源とする地震があり、青森県で震度6強の激しい揺れを観測しました。この地震が人工地震であると示唆する投稿が多数拡散していますが、誤りです。大きな地震が発生したり、震災からの節目の日を迎えたりするたびに「地震は人工的な兵器」というような人工地震説が拡散しますが、専門家は大きな地震を人工的に起こすのは「非現実的」と否定しています。 検証対象 拡散した言説 2025年12月8日夜遅く、青森県東方沖を震源とする地震があり、青森県で震度6強の激しい揺れを観測した。この地震が人工地震であると示唆する投稿が多数拡散した(例1,2)。 検証する理由 こうした投稿は、大きな地震のたびに繰り返し拡散している。「他国からの攻撃だ」というような陰謀論に使われることもある。 検証過程 専門家「人工地震で震災級の地震は非現実的」 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、人工地震について、東京大学地震研究所の古村孝志教授にたびたび取材をしている。人工地震について、2023年3月に実施したインタビューを以下に再掲する。 古村教授は、

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
A Tsukiji Restaurant Lower Prices Due to Tourist Drop Following PM Takaichi's Remarks over Taiwan? Prices Lowered Before Remarks [Fact Check]

A Tsukiji Restaurant Lower Prices Due to Tourist Drop Following PM Takaichi's Remarks over Taiwan? Prices Lowered Before Remarks [Fact Check]

Amid reports of a wave of cancellations by Chinese tourists following Prime Minister Sanae Takaichi's remarks over Taiwan, an image circulated online alleging that a Tokyo restaurant popular among tourists had implemented “emergency price cuts.” However, this claim is inaccurate: the restaurant had already reduced its prices before

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)