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中国軍公式アカウントが「専守防衛の原則を放棄」と批判した陸自部隊のロゴ? 画像を改変【ファクトチェック】

中国軍公式アカウントが「専守防衛の原則を放棄」と批判した陸自部隊のロゴ? 画像を改変【ファクトチェック】

中国軍のXアカウントが陸上自衛隊の部隊の新しいロゴが「日本国軍が『専守防衛』の原則を放棄していることを示す」などと批判しました。ただし、投稿に添付されたロゴは陸自が発表したものとは異なり、改変されています。 検証対象 拡散した言説 2026年5月7日、中国軍のXアカウントが陸上自衛隊の連隊が公開した新しいロゴを批判する投稿をした。画像には象を擬人化し、ドクロがあしらわれたロゴ画像が添付されていた。 検証する理由 5月12日現在、投稿は180回以上リポストされ、表示は15万件を超える。 投稿には「元画像を改変するなよ」「プロパガンダ流すならもっとバレないようにやりなよ」などの指摘もあるが、「日本は象を大量に生産していますか?」「日本は中国を急襲するぞ!(Japan will launch a surprise attack on China!)」など真に受けた反応も多いため検証する。 検証過程 新しい陸自部隊のロゴとは 2026年4月29日、陸上自衛隊の第1師団第1普通科連隊は、ロゴが新しくなったと画像とともにXに投稿した。 デザインをめ

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
ハンタウイルスの流行で中国が米国民の入国を禁止? そのような発表はない【ファクトチェック】

ハンタウイルスの流行で中国が米国民の入国を禁止? そのような発表はない【ファクトチェック】

クルーズ船でハンタウイルスの集団感染が疑われている問題で、 中国が米国市民の入国を禁止したという投稿が拡散しましたが、誤りです。2026年5月12日正午現在、中国はそのような発表をしていません。 検証対象 2026年5月7日、「速報:中国、正式にすべての米国市民の入国を禁止 ハンタウイルス流行を受けて」という投稿が拡散した。習近平国家主席やウイルスのような画像も添付されている。 検証する理由 12日現在、この投稿は6800件以上リポストされ、表示回数は143万回を超える。投稿について「コロナで起きたことを思えば、彼らを責める気にはなれない」「なんて大胆なことだ」というコメントの一方で「これ本当?」という指摘もある。 検証過程 ハンタウイルスとは ハンタウイルスとは、発熱、咳、筋肉痛、また、嘔吐や下痢を伴うこともある感染症。病原体を保有するねずみなどのげっ歯類の排泄物を含む粉じんの吸入や、排泄物で汚染された食品・飲料水の摂取で感染する。 基本的にヒトからヒトへは感染しないが、例外的にハンタウイルスの一種であるアンデスウイルスにおけるヒトヒト感染

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
WHO事務局長「ハンタウイルスで死者が出たのはアルゼンチンがWHOを脱退したから」と発言? そのような発言はない【ファクトチェック】

WHO事務局長「ハンタウイルスで死者が出たのはアルゼンチンがWHOを脱退したから」と発言? そのような発言はない【ファクトチェック】

クルーズ船でハンタウイルスの集団感染が疑われている問題で、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長が「アルゼンチンから出航した船でハンタウィルス感染症が起きたのは、アルゼンチンがWHOを脱退したから」と発言したかのような投稿が拡散しましたが、誤りです。テドロス氏は記者会見で「ウィルス対策には世界的な連帯が必要」という趣旨の発言をしていますが、拡散した投稿のような発言はしていません。 検証対象 拡散した言説 2026年5月10日、「【全てシナリオ通り】2026年3月、アルゼンチンは正式にWHOから脱退。その2ヶ月後にアルゼンチンから出航した船がハンタウイルスに感染し3人が死亡した。そしてWHOの事務局長が『WHOから脱退したから』と声明を出すカオス」という文章が付いた動画がXで拡散した。 検証する理由 5月11日現在、投稿は3300回以上リポストされ、表示は43.6万件を超える。 投稿には「なんて馬鹿げた話だ。船はオランダのものだ」などの指摘もあるが、「まじでシナリオ通りすぎて逆に怖い」「タイミング良すぎて完全に怪しいわ。WHOの圧力丸出し」など真に

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
ハンタウイルスにも効く新型コロナの情報ワクチン/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

ハンタウイルスにも効く新型コロナの情報ワクチン/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

大西洋を公開中のクルーズ船で集団感染のニュースが報じられたハンタウイルス。世界中で話題を呼んでおり、すでに多数の偽・誤情報も流れています。 関連ニュースで紹介した記事「I'm fighting misinformation online. False hantavirus claims follow a now-familiar playbook(オンラインで誤情報と闘う:ハンタウイルスをめぐる虚偽の主張は見慣れたパターンを辿る)」は、ハンタウイルスに関する偽・誤情報が、新型コロナウイルスのときに拡散したものに類似していると指摘しています。 「イベルメクチンが効く」という主張。「感染拡大の理由は新型コロナワクチン」という主張。「製薬業界の陰謀」「中国の生物兵器」など様々です。 類似の偽・誤情報は新型コロナのときにも拡散しました。状況がまだわからない状況で根拠のない主張をするものもあれば、科学的に完全に間違っている主張もあります。 あっという間に大量に拡散する偽・誤情報を、一つずつファクトチェックしても間に合いません。こういうときに役立つのが、ウイルスが拡散する前に「

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
日本年金機構を騙ってPayPayで送金させる偽メールに注意 「国民年金保険料の未納」と嘘

日本年金機構を騙ってPayPayで送金させる偽メールに注意 「国民年金保険料の未納」と嘘

日本年金機構を騙り、国民年金保険料の未納があるとしてPayPayなどで送金させる不審なメールが確認されています。日本年金機構は、Xなどで「全国的に多発していますので、ご注意ください」と呼びかけています。 「最終通知」などと不安を煽り、送金に誘導 偽メールは筆者のもとにも届いた。2026年5月から立て続けに私用メールアドレスに8件届いたメールの件名はいずれも「【重要】差押予告通知書(最終通知)- 日本年金機構」。 送信元のFrom欄には「日本年金機構」と表示されているが、メールアドレスのドメインはchance.comで、日本年金機構のドメイン(nenkin.go.jp)とは別のものだ。このため、メールには「認証情報のドメインとFromアドレスのドメインが一致していません」という警告が出ていた。 メールには「差押予告通知書」とあり、「この期限を過ぎた場合、差押手続きを即刻開始いたします」という文面とともに締め切り日時と、「PayPay  |  18,500円を今すぐ納付」と書かれたリンクが添付されている。 メール本文にあるリンクをクリックすると、実際にPay

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
話題の書『フェイクニュースの免疫学』から学ぶ情報のワクチンの重要性 ファクトチェックだけではなぜ足りないのか

話題の書『フェイクニュースの免疫学』から学ぶ情報のワクチンの重要性 ファクトチェックだけではなぜ足りないのか

ファクトチェックは、偽・誤情報がすでに広がった後の「治療」です。流れた情報を検証し、誤りを指摘する。日本ファクトチェックセンター(JFC)が3年余りにわたって続けてきた仕事の中心も、ここにあります。しかし、誤情報の量と拡散速度はファクトチェックを遥かに上回ります。JFCに限らず、ファクトチェックは偽・誤情報に比べて常に遅すぎ、少なすぎます。 サンダー・ヴァン・ダー・リンデン著『フェイクニュースの免疫学--信じたくなる心理と虚偽の構造』(みすず書房)は、2023年に出版されて話題となった『Foolproof』の翻訳書。偽・誤情報が拡散する理由と、効果的な対策について解説しています。 人は事実と誤情報を見分けられない まず、人はどれだけ騙されてしまうのか。以下のような事例が紹介されています。 ・6本のニュース見出し(真偽が半分ずつ)を約1500人に提示し、すべての真偽を見分けられた人は4%。 ・数百人の中学生に「広告記事」を見せたら80%以上が「ニュース記事」と誤認、70%が石油企業の広告記事が世界の温暖化に関する科学的ニュース記事より「信頼できる」と回答。

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
高市首相が「自動車税の廃止」を正式決定? ニュース映像を加工した偽画像【ファクトチェック】

高市首相が「自動車税の廃止」を正式決定? ニュース映像を加工した偽画像【ファクトチェック】

高市早苗首相が自動車税を廃止したと発表したかのような画像つきの投稿が拡散しましたが、誤りです。そのような発表はなく、画像は加工されたものです。 検証対象 2026年4月、「高市首相がついに『自動車税の廃止』」を正式決定」などの投稿が相次いだ(例1)。「高志市長が自動車税の廃止を正式に決定」と書いている投稿もあり、これは「高市首相」の誤記と思われる(例2)。 検証する理由 例1、例2の投稿には、ともに2枚の画像が添付されており、一見、テレビのニュース番組から切り出した画像に見える。2枚目の画像を使った投稿は、ほかにもある(例3、例4)。 これらの投稿をしたアカウントの一部は5月7日時点ですでに凍結されているが、XやThreadsなど、多くのSNSで同じ画像が拡散しているため検証する。 検証過程 拡散した画像の1枚目は「速報 自動車税を廃止へ!! 家計負担の大幅軽減で関連株に追い風!」と書かれたもので投資を促す内容だ。 2枚目は高市氏の発言を取り上げたニュースのスクリーンショットのような画像で、画像の左上にテレビ朝日系列ANNのロゴがあり、「高市総

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
自動翻訳が偽・誤情報を国境を超えて拡散させる/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

自動翻訳が偽・誤情報を国境を超えて拡散させる/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

AIなど技術の発達が偽・誤情報の拡散状況を悪化させています。その事例の一つと言えるのが、自動翻訳による偽・誤情報の国境を超えた広がりです。 今週のファクトチェックの中には、米国のオバマ元大統領のX投稿が自動翻訳によって、まったく逆の意味で日本語化されていた事例を検証しました。 Xの自動翻訳はそれなりに正しく翻訳できていることもあり、便利な機能です。しかし、今回のように全く逆の意味になっていたり、日本語として意味が通じなかったりすることも多いです。また、もともとの外国語での投稿が、偽情報ばかりを流すアカウントによるものである場合、正確に翻訳されていても偽・誤情報であることに代わりありません。 悩ましいことに、そういった情報を日本の著名アカウントがシェアしてしまうこともあります。 自動翻訳は、翻訳自体に問題がある上に、間違った情報も翻訳して伝えている。そのことを理解したうえで使う必要があります。(古田大輔) ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容を

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
北海道の林野火災で放火した中国人が逮捕された? 逮捕されたのは別の容疑【ファクトチェック】

北海道の林野火災で放火した中国人が逮捕された? 逮捕されたのは別の容疑【ファクトチェック】

北海道の林野火災について、「放火で中国人が逮捕された」という投稿が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。中国籍の男が放火容疑で逮捕されたことは事実ですが、林野火災とは別のバス停への放火容疑です。 検証対象 拡散した投稿 4月29日、「やっぱり林野火災は放火だった!中国人逮捕された!テレビが報道してるよ!」という投稿が拡散した。 検証する理由 5月1日時点でこの投稿は4600件以上リポストされ、表示回数は393万回を超える。投稿について「岩手県の山火事も放火でしょう」「やっぱりね」というコメントの一方で「意味不明」という指摘もある。 検証過程 北海道の林野火災とは 北海道では、4月16日に北海道根室市で大規模な林野火災が発生した。この火災では約400ヘクタールが焼け、根室市が約350人に避難指示を発令した(FNNプライムオンライン.”大規模”野火”約400ヘクタール焼く…歯舞地区の約350人に避難指示―夜に入っても延焼中―火の勢いは衰えず―道の災害派遣要請を受け17日朝から自衛隊ヘリも空中消火活動へ<北海道根室市>”)。 消防庁によると、

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
米国で新型コロナ対策を指揮したファウチ氏を逮捕? ファウチ氏の元側近を起訴【ファクトチェック】

米国で新型コロナ対策を指揮したファウチ氏を逮捕? ファウチ氏の元側近を起訴【ファクトチェック】

米国で新型コロナ対策を指揮したアンソニー・ファウチ氏が逮捕されたという投稿が拡散しましたが、誤りです。2026年4月28日、米司法省は、ファウチ氏の元側近デビッド・モレンス氏を連邦法違反の罪で起訴したと発表しましたが、5月1日現在、ファウチ氏本人が逮捕されたという発表も報道もありません。 検証対象 拡散した言説 2026年4月30日、「ファウチ博士逮捕」「 COVID-ウイルスに関する真実を隠蔽したとして逮捕」という文言付きの画像がXで拡散した。 検証する理由 5月1日現在、投稿は2100回以上リポストされ、表示は23.6万件を超える。 投稿には「ファウチじゃなくて、ヤツの仲間な」「補佐官ですね」などの指摘もあるが、「ファウチ・・全て噓」「やっとここまで来たね。次はビルゲイツ!!」など、真に受けた反応も多いため検証する。 検証過程 画像は米メディアの一面 拡散した画像は、2026年4月29日の米New York Post紙の一面を写したものだ(New York Post "Covers"April29,2026)。 上段は英国王夫妻の訪

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
4月20日の三陸沖地震を予測していた? 日時や場所を特定する予知は不可能【ファクトチェック】

4月20日の三陸沖地震を予測していた? 日時や場所を特定する予知は不可能【ファクトチェック】

2026年4月20日に発生した三陸沖を震源とする最大震度5強の地震をうけて、「予測的中」などと投稿し、有料のnoteに誘導するアカウントが存在しますが、科学的に信頼性のある地震予報ではありません。専門家によると、日付や場所を正確に特定する地震予知は、現代の科学では不可能です。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、このアカウントに根拠を問い合わせましたが、期限までに回答はありませんでした。 検証対象 拡散した投稿 4月20日、三陸沖を震源とする最大震度5強の地震発生をうけて、「M7.4 予測的中」という投稿がXで拡散した。有料noteのURLも添付されている。 拡散した投稿には、20日の地震を予知したと示すためか、地震発生の前日に同じアカウントが投稿した「次の地震はマグニチュード7前後となる可能性がありますので、通常1〜3週間以内(4/20-5/10)に発生します,ご注意ください」という投稿を引用している。 検証する理由 投稿した「南海地震予測所」のアカウントは20日の地震発生時には約10万フォロワーだった。しかし、30日時点で11.3万フォロワ

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
岩手県大槌町の山林火災はレーザーによるもの? 大規模火災のたびに拡散する陰謀論【ファクトチェック】

岩手県大槌町の山林火災はレーザーによるもの? 大規模火災のたびに拡散する陰謀論【ファクトチェック】

2026年4月に岩手県大槌町で発生した山林火災について、レーザーのせいだと主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。4月28日現在、出火原因は調査中で、まだ特定されていません。大規模な火災のたびに、国内外で広がる陰謀論です。 検証対象 拡散した言説 2026年4月26日、大槌町の山火事だという山林火災の画像を引用し、「不自然。なぜ一直線?変な燃え方。レーザーでしょ」という文言をつけた投稿が拡散した。 検証する理由 4月28日現在、投稿は2400回以上リポストされ、表示は20.8万件を超える。 投稿には、「風の影響」「山火事ってこういう風に燃え広がるんですよ。少しは調べたら?」などの指摘もあるが、「違和感しかない」や「It could be DEW. Direct Energy Weapon.(指向性兵器DEWの可能性)」など、真に受けた反応も多いため検証する。 検証過程 公式発表では「出火原因は調査中」 総務省消防庁の公式Xアカウントは、大槌町の火災についてこまめに情報発信している。 「岩手県大槌町の林野火災による被害及び 消防機関等の対

By 根津 綾子(Ayako Nezu)