
「本人がそう言っている」では足りない:検証が止まる瞬間【ファクトチェックの舞台裏】
日本ファクトチェックセンター(JFC)がファクトチェックの舞台裏を語るコラム。第5回は、「組織の発表」や「当事者の説明」は偏っている可能性があるため、ボツになった記事を振り返ります。 立ちはだかる企業秘密→保留 2025年4月、エルメスやルイ・ヴィトンなど、ハイブランドのバッグが「実は中国産だ」と主張する動画が拡散しました。 ブランド側は「従業員の多くはフランスで働いている」「製造業者の95%がイタリアに拠点」などと公表しているため、その言葉を信じれば、拡散した動画の検証結果は「誤り」となります。 欧州のメディアやファクトチェック団体の中には、この動画を検証して「偽造品の可能性が高い」「主張は誤りだ」などと報じたところもありました。 一方で、イギリス公共放送のファクトチェックチームBBCVerifyは、ハイブランドの多くが「製造拠点を欧米諸国においていると公表している」と前置きした上で、「ハイブランド業界はサプライチェーンの透明化に対して非常に消極的で、実際のところを正確に知ることはできない。高級ブランドでも、中国で多くの製造が行われている。ただし、『最