コロナワクチン「武見大臣が『殺人の証拠は調べません』と発言」は誤り 【ファクトチェック】

コロナワクチン「武見大臣が『殺人の証拠は調べません』と発言」は誤り 【ファクトチェック】

武見敬三厚生労働大臣が新型コロナワクチンについて「殺人の証拠は調べません」「危険なロットがあろうが 何人死のうが調べねーよ」と会見で発言したとする言説が拡散しましたが、誤りです。武見大臣はそのような発言をしていません。

検証対象

2024年1月21日、「国民に障害を追わせ・殺した側が、平然と会見を行い『殺人の証拠は調べません』と言っている」という投稿が拡散した。投稿には「危険なロットがあろうが 何人死のうが調べねーよ」という文字と共に、武見大臣が会見する様子の画像が添付されている。

2024年1月24日現在、このポストは2800回以上リポストされ、表示回数は19万回を超える。投稿について「最高の腐敗だ!」と同調するコメントの一方で「最早デマ垢としても機能しない」とデマの可能性を指摘する声もある。

検証過程

Xの投稿に添付されているURLは、ネットメディア「トータルニュースワールド」の記事。日本ファクトチェックセンター(JFC)はこれまでにもトータルニュースワールドの記事を検証し、誤りと判定している

今回の記事はXへの「不可解な死亡認定があっても、ワクチンにロット差があっても、厚労省は問題にしないのですね」という投稿を引用している。引用元の投稿には「殺人の証拠は調べません」「危険なロットがあろうが何人死のうが調べねーよ」などと武見大臣が発言したとは書いていない。

この投稿には、1月19日の厚労省定例会見の動画が添付されているが、この動画の中にも該当する発言はない。

武見敬三大臣の会見の概要は厚生労働省のサイトで確認できる。会見では記者が「佐賀県太良町でワクチン接種後死亡認定された2人が、同じロットのファイザー製ワクチンを接種していたことから、記者がそのロットのワクチンを接種した人々の追跡調査をするかどうか」と質問している。

これに対して武見大臣は「審議会において、ロット別の副反応数および死亡数、それらの頻度も資料を示している」「現時点で特段の懸念があるとの専門家のご意見はいただいていない」「副反応に関する十分な情報の収集には常に努めるとともに、様々な観点から安全性の評価も行う」と回答している。

「殺人の証拠は調べない」「危険なロットがあろうが 何人死のうが調べねーよ」などとは会見を通して発言していない。JFCが厚生労働省総務課広報室に確認したところ、厚労省サイトの会見概要には質疑応答の全てが載せられているという。

武見大臣が発言しているように、ワクチンの副反応の疑いの報告と専門家による評価については、厚労省がサイトで継続的に情報発信をしている

判定

武見大臣は「殺人の証拠は調べない」「危険なロットがあろうが 何人死のうが調べねーよ」などと発言していない。よって誤りと判定した。

検証:鈴木刀磨、木山竣策、高橋篤史
編集:宮本聖二、古田大輔

検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

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