日本ファクトチェックセンター(JFC)

Japan Fact-check Center(JFC)は、ファクトチェック(事実の検証)を専門とする非営利組織です。民主主義の基盤となるインターネット上の言論空間の健全性を維持、向上させることを目的として活動します。

日本ファクトチェックセンター(JFC)

Japan Fact-check Center(JFC)は、ファクトチェック(事実の検証)を専門とする非営利組織です。民主主義の基盤となるインターネット上の言論空間の健全性を維持、向上させることを目的として活動します。

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  • JFCファクトチェック講座

    日本ファクトチェックセンター編集長の古田大輔が、ファクトチェックの考え方や技術、便利なツールの活用方法を実践的に解説する連載です。これを読めば、あなたもファクトチェッカーに!

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記事一覧

固定された記事

日本ファクトチェックセンターは国際ファクトチェックネットワークに加盟しました!

誤情報対策の分野で世界的に影響力がある「国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)」の加盟団体として、日本ファクトチェックセンター(JFC)が認証されました。IFCNへ…

「(動画)ドローン配送の普及が進まないのは鳥に襲われるから」は誤り。動画は警察による犯罪対策の訓練【ファクトチェック】

ドローン配送の普及が進まないのは鳥に襲われるからとする言説が拡散しましたが、これは誤りです。添付された鳥がドローンを捕まえる動画は、オランダ警察がドローン犯罪の…

「Amazonが中国市場から全面撤退」は誤り。越境ECやクラウドサービスは継続【ファクトチェック】

「Amazonが中国市場から全面撤退」という言説が拡散しましたが誤りです。2023年7月に中国国内においてAmazonのアプリストアが閉鎖されるとの報道がありましたが越境電子商…

「コオロギ由来の成分を食品に添加しても『アミノ酸』と表記されるのみ」は不正確【ファクトチェック】

「コオロギ由来の成分を食品に添加しても『アミノ酸』と表記されるのみ」という言説が拡散しましたが不正確です。消費者庁は「コオロギを加工して食品に『添加物』として用…

トランスジェンダーの競泳選手が「男性に戻ることを願っている」は誤り【ファクトチェック】

アメリカのトランスジェンダー競泳選手リア・トーマスさんが「目標を達成し、男性に戻ることを願っている」という言説が拡散しましたが、誤りです。本人の発言ではなく、風…

醤油にmRNAが入っているという言説は誤り。公式サイトが否定【ファクトチェック】

ヤマサ醤油とmRNAに関する記事に「醤油もmRNAに」と記したツイートが拡散し、醤油にmRNAが入っているかのような言説が広がりましたが誤りです。ヤマサ醤油は公式サイトで…

「(動画)アメリカでは人の死体を液状化したものを水道水に添加」は誤り【ファクトチェック】

「アメリカでは人の死体を液状化したものを水道水に添加している」という情報が動画と共に拡散しましたが、誤りです。新たな遺体処理法を解説している動画に、誤った字幕と…

「民主党政権時代は世界と国交断絶状態」は誤り【ファクトチェック】

「民主党政権時代は世界と国交断絶状態」という言説が拡散しましたが、誤りです。特にASEANとの間がひどかったという指摘もありましたが、自民党政権下と比べてほぼ同等の…

「G7広島サミットでのゼレンスキー大統領の会見をNHKが打ち切って大河ドラマを放送した」は不正確 【ファクトチェック】

G7広島サミットが閉幕した2023年5月21日夜、NHKがゼレンスキー大統領の会見の放送を打ち切って、大河ドラマを放送したという言説が拡散しましたが、不正確です。NHKはゼレ…

「埼玉県、男女共用トイレを義務化へ」は誤り【ファクトチェック】

「埼玉県がLGBT推進条例でトイレ・更衣室・公衆浴場などの男女共用化を義務化へ」という言説が拡散されましたが、誤りです。義務化ではなく、対象も限られています。 検証…

ファクトチェック講座9:国際的な標準ルール 信頼性を確保する 

「ファクトチェック」を名乗りながら相手の意見をチェックしたり、自論の正当性を補強するための道具にしたりする例もあります。信頼されるファクトチェックとはどうあるべ…

「ビールに有害物質が含まれている」は誤り【ファクトチェック】

ビールに有害な物質が含まれているとの趣旨のツイートが拡散されていますが、誤りです。検証対象のツイートは、酸化グラフェンとアセスルファ厶K(アセスルファムカリウム)…

ファクトチェック講座8:公開情報こそ重要 OSINT技術を使いこなす

オープンソース・インテリジェンス(OSINT)とは、一般公開されている情報を収集・分析し、活用する手法です。デジタル技術を用いて多くの情報がネットで公開されるように…

ファクトチェック講座7:AIコンテンツの検証 細部を見る

AIで生成されたテキストや画像などのコンテンツが激増しています。その中から偽情報/誤情報をどう検証するかは、ファクトチェックにとって大きな課題です。現状では、自動…

「NATO軍が日本に駐屯を検討」は誤り 協議しているのは連絡事務所【ファクトチェック】

「NATO軍が日本に駐屯を検討している」という情報が拡散していますが、誤りです。北大西洋条約機構(NATO)が日本政府と協議しているのは東京への連絡事務所の開設で軍隊の駐…

ファクトチェック講座6:動画の検証 InVIDとYouTube検索

近年、特に増えているのが動画での偽情報/誤情報です。動画プラットフォームのYouTubeやTikTokを中心に、他のソーシャルメディアへも拡散していきます。画像と同じく、改変…

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日本ファクトチェックセンターは国際ファクトチェックネットワークに加盟しました!

誤情報対策の分野で世界的に影響力がある「国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)」の加盟団体として、日本ファクトチェックセンター(JFC)が認証されました。IFCNへの加盟が認められることは、ファクトチェック団体として高い評価を得たことを意味し、国際的なネットワークの一員として、活動へのサポートを得ることになります。 加盟団体は世界で120、JFCは審査で高い評価アメリカ・フロリダ州のジャーナリズム研究機関「ポインター研究所」を拠点とするIFCNは、誤情報対策で世界をリ

「(動画)ドローン配送の普及が進まないのは鳥に襲われるから」は誤り。動画は警察による犯罪対策の訓練【ファクトチェック】

ドローン配送の普及が進まないのは鳥に襲われるからとする言説が拡散しましたが、これは誤りです。添付された鳥がドローンを捕まえる動画は、オランダ警察がドローン犯罪の対策として鳥を訓練する様子を紹介したものです。鳥がドローンを襲う事例はありますが、配送用のドローンは大きく、「動物の方が避ける」(日本郵便)とのことです。 検証対象「ドローン配送がなかなか普及しない理由がこちら」との記述とともに、猛禽類が小型のドローンを捕獲する様子の動画を埋め込んだツイートが拡散した。6月7日現在、

「Amazonが中国市場から全面撤退」は誤り。越境ECやクラウドサービスは継続【ファクトチェック】

「Amazonが中国市場から全面撤退」という言説が拡散しましたが誤りです。2023年7月に中国国内においてAmazonのアプリストアが閉鎖されるとの報道がありましたが越境電子商取引(EC)サービスやクラウドサービスは継続します。 検証対象2023年5月24日に投稿されたツイートでは「速報朗報 Amazonは7月から中国市場から全面撤退!!中国国内のAmazonサイト運営も削除されます」というコメントとともに、中国語で「7月17日をもって、Amazon中国がApp Store

「コオロギ由来の成分を食品に添加しても『アミノ酸』と表記されるのみ」は不正確【ファクトチェック】

「コオロギ由来の成分を食品に添加しても『アミノ酸』と表記されるのみ」という言説が拡散しましたが不正確です。消費者庁は「コオロギを加工して食品に『添加物』として用いた場合、成分規格に該当するものとは想定されないため、食品衛生法に抵触する可能性がある」と説明しています。 検証対象ウェブサイト「RAPT理論+α」が「【危険】コオロギ由来の成分を食品に添加しても「アミノ酸」と表記されるのみと消費者庁が回答 消費者庁のトップは河野太郎」という記事を2023年3月に公開した。 この記

トランスジェンダーの競泳選手が「男性に戻ることを願っている」は誤り【ファクトチェック】

アメリカのトランスジェンダー競泳選手リア・トーマスさんが「目標を達成し、男性に戻ることを願っている」という言説が拡散しましたが、誤りです。本人の発言ではなく、風刺や冗談や皮肉を掲載するサイトの情報が元になっています。 検証対象拡散しているのはアメリカのトランスジェンダー競泳選手リア・トーマスさんが、女性の競泳大会で活躍した後、「目標を達成したので男性に戻ること」を願っているという言説(例1、例2)。 例えば、拡散されたツイートには、女性の競泳試合の表彰式らしき画像が添付さ

醤油にmRNAが入っているという言説は誤り。公式サイトが否定【ファクトチェック】

ヤマサ醤油とmRNAに関する記事に「醤油もmRNAに」と記したツイートが拡散し、醤油にmRNAが入っているかのような言説が広がりましたが誤りです。ヤマサ醤油は公式サイトでmRNAの構成物質である「シュードウリジン」を製造していると紹介していますが、「醤油やつゆには使われておりません」と強調しています。 検証対象2023年5月10日に拡散されたツイートでは「醤油もmRNAに。めでたいねw。」という文言とともに、化学工業日報の「ヤマサ醤油、mRNA修飾核酸を増産」という記事の画

「(動画)アメリカでは人の死体を液状化したものを水道水に添加」は誤り【ファクトチェック】

「アメリカでは人の死体を液状化したものを水道水に添加している」という情報が動画と共に拡散しましたが、誤りです。新たな遺体処理法を解説している動画に、誤った字幕とナレーションをつけたものです。 検証対象2023年5月、「米国の都市では人の死体を液状化したものを水道水に添加している」などのコメントとともに、屋内の施設で、眼鏡をかけた人が骨のようなものを機械に入れながら解説する動画が拡散した。引用を含むリツイートが1200件、表示回数が55万回を超えたものもある。 動画には「B

「民主党政権時代は世界と国交断絶状態」は誤り【ファクトチェック】

「民主党政権時代は世界と国交断絶状態」という言説が拡散しましたが、誤りです。特にASEANとの間がひどかったという指摘もありましたが、自民党政権下と比べてほぼ同等の政府要人の往来があり、「世界と国交断絶」した事実はありません。 検証対象2023年5月2日、「閣僚のGW外遊先と期間」という表の引用と共に「外交をやめ、世界各国と「国交断絶状態」になってしまった」「特にASEANはひどく、日本が空白になった」という内容のツイートが拡散した。5月24日現在、82万件以上の表示回数と

「G7広島サミットでのゼレンスキー大統領の会見をNHKが打ち切って大河ドラマを放送した」は不正確 【ファクトチェック】

G7広島サミットが閉幕した2023年5月21日夜、NHKがゼレンスキー大統領の会見の放送を打ち切って、大河ドラマを放送したという言説が拡散しましたが、不正確です。NHKはゼレンスキー大統領の演説をほぼ最後まで放送しており、大河ドラマのために打ち切った事実はありません。 検証対象G7広島サミット最終日の5月21日、ゼレンスキー大統領は広島市の国際会議場で記者会見し、その様子をNHKも放送した。 放送後に「NHKがゼレンスキー会見を打ち切った」という内容のツイートが複数投稿さ

「埼玉県、男女共用トイレを義務化へ」は誤り【ファクトチェック】

「埼玉県がLGBT推進条例でトイレ・更衣室・公衆浴場などの男女共用化を義務化へ」という言説が拡散されましたが、誤りです。義務化ではなく、対象も限られています。 検証対象4月27日、埼玉県のホームページの画像と共に「LGBT推進条例でトイレ・更衣室・公衆浴場などが男女共用化を義務化へ、異論は認めない方針」という言説が拡散(例1、例2)された。 1800回以上リツイートされ、1900以上のいいねを獲得したツイートもある。「区別を差別と取り違えた末の誤った結論を法制化する愚行」

ファクトチェック講座9:国際的な標準ルール 信頼性を確保する 

「ファクトチェック」を名乗りながら相手の意見をチェックしたり、自論の正当性を補強するための道具にしたりする例もあります。信頼されるファクトチェックとはどうあるべきか。国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)は守るべき原則を公開しています。 IFCNが公開するの5つの原則アメリカに本拠を置くIFCNは、世界中のファクトチェック組織のハブになっている組織です。ファクトチェックを実践する上で守るべき原則(Code of Principles)を公開し、遵守している組織が加盟で

「ビールに有害物質が含まれている」は誤り【ファクトチェック】

ビールに有害な物質が含まれているとの趣旨のツイートが拡散されていますが、誤りです。検証対象のツイートは、酸化グラフェンとアセスルファ厶K(アセスルファムカリウム)の危険性を言及していますが、酸化グラフェンは含まれておらず、アセスルファムKは基準の範囲内で使用されています。 検証対象「ビールに有害物質が含まれている」という趣旨のツイートが拡散した(例1、例2)。ツイートには「ビールは酸化グラフェン入り」とある。添付されたビールの原材料の画像には、アセスルファムKの文字が赤線で

ファクトチェック講座8:公開情報こそ重要 OSINT技術を使いこなす

オープンソース・インテリジェンス(OSINT)とは、一般公開されている情報を収集・分析し、活用する手法です。デジタル技術を用いて多くの情報がネットで公開されるようになり、取材だけでなくあらゆる調査にとって重要な技術であり、ファクトチェックでも多用します。解説します。 正しいものを正しいと検証するには日本ファクトチェックセンター(JFC)の記事を例に見ていきます。これは「なぜニュースにならないの?」 静岡県内の水害画像は本物、というJFCのファクトチェック記事です。 202

ファクトチェック講座7:AIコンテンツの検証 細部を見る

AIで生成されたテキストや画像などのコンテンツが激増しています。その中から偽情報/誤情報をどう検証するかは、ファクトチェックにとって大きな課題です。現状では、自動で完璧に検知する万能ツールはまだ存在しません。では、人の目でどのように検証できるのか。解説します。 AIによる偽情報の実例日本ファクトチェックセンター(JFC)の記事を例に、解説していきます。これは「 ドローンで撮影された静岡県の災害」はAI作成の偽画像というJFCのファクトチェック記事です。 2022年9月に静

「NATO軍が日本に駐屯を検討」は誤り 協議しているのは連絡事務所【ファクトチェック】

「NATO軍が日本に駐屯を検討している」という情報が拡散していますが、誤りです。北大西洋条約機構(NATO)が日本政府と協議しているのは東京への連絡事務所の開設で軍隊の駐屯ではありません。 検証対象 「NATO軍、日本に駐屯を検討」という見出しがつけられたまとめサイトの記事が拡散された。(例1、例2)。この記事は主にツイッターで拡散され、リツイート・引用リツイートが2400回、表示回数が127万回を超えたものもある。 リプライ欄には、「露の攻撃目標が増えるだけ」「ま、来た

ファクトチェック講座6:動画の検証 InVIDとYouTube検索

近年、特に増えているのが動画での偽情報/誤情報です。動画プラットフォームのYouTubeやTikTokを中心に、他のソーシャルメディアへも拡散していきます。画像と同じく、改変や文脈を変えてミスリードする事例が目立ちます。オリジナルを探すという対策も共通です。見ていきましょう(記事の最後にオンラインセミナーの案内を添付したので、そちらも是非ご参加を)。 その要約や翻訳は正しいのか動画の誤情報/偽情報というと、最近話題のAIによるフェイク動画を想像する人が多いでしょう。しかし、